【モンベルvs無印良品】雪山登山で使える?厚手靴下を徹底比較

ウェア・服

目次

雪山用靴下を選ぶときのポイント2つ

素材

出典:Pixta(grey sheep wool socks isolated on a white…の写真素材 [87228232] – PIXTA)

登山用靴下にはポリエステル素材のものと、ウール素材のものが多いです。
保温性が重視される雪山では、ウール素材を選ぶのが良いでしょう。

ハイクアップ中に汗をかいたとしても、ウールの繊維内に水分を取り込んでくれるため、濡れている感覚がしません。
湿度を自動でコントロールしてくれるため、行動中ずっと快適に過ごせます。

厚みは中厚手のものから極厚手のものまでありますが、登山靴と使用シーンに合わせて選ぶのがおすすめです。
標高1,000m前後の雪山で保温剤入りの靴を履く場合、ウールの極厚手靴下だと暑すぎる可能性があります。
反対に2,000m級の雪山で3シーズン用の中厚手の靴下を選んでしまうと、足先が冷えてしまいます。

持っている登山靴と、行く山に合わせて上手に靴下を選定しましょう。

フィット感

筆者撮影

雪山の靴下はフィット感も重要です。
夏は靴下がずり下がってしまっても、すぐに上げられます。
ですが雪山はアルパインパンツを履いた上に、スパッツを重ねるので対処ができません。

また歩いている最中にずれてくると靴下と足が擦れて、靴擦れの原因にもなります。

とは言えフィット感が高すぎる靴下は締め付けが強いです。
血流が悪くなって足先が冷える原因になるので、緩すぎず、きつすぎない適度なフィット感の靴下を選ぶことが重要です。

モンベルと無印良品の靴下を徹底比較

無印良品で一見登山で使えそうな厚手の靴下を発見しました。
アウトドアブランド「モンベル」の冬山登山用靴下と、徹底比較します。

モンベル無印良品
商品名メリノウールアルパインソックスヤク混ルームソックス
値段2,640円1,490円
混率ウール63%
ナイロン28%
ポリエステル8%
ポリウレタン1%
ポリエステル27%
ウール25%
アクリル23%
ヤク16%
ナイロン6%
レーヨン2%
ポリウレタン1%
商品品番111841883193805

素材は?

筆者撮影

無印良品の「ヤク混ルームソックス」の混率は上記の写真のようになっています。

「ヤク混」なのでヤクの毛が多く入っているかと思いきや、ヤクは16%でポリエステル、ウール、ナイロン、アクリルなどの繊維も混紡されているんです。

保温性の高い動物性の天然繊維だけでなく、吸水速乾性にも優れるポリエステルも配合されているので、一見すると雪山登山で使っても問題ないように思われます。

ですが1点気になるのが、吸湿性の高いレーヨン素材も使われていることです。

吸湿発熱性があり、保水してしまうとなかなか乾かない素材なので、この繊維が2%含まれることでどのような影響が出るのか後ほどチェックします。

筆者撮影

一方モンベルの「メリノウールアルパインソックス」の混率は、上記の写真です。
さすがアウトドアブランドだけあって、ウールが63%とウールリッチな素材を使っています。

ナイロンが28%使用されていますが、これは靴下の耐久性を高めるためです。
ウールだけだと毛羽が引っ掛かって毛玉になりやすいため、ナイロンを入れることで毛玉になりにくく、破れにくい靴下に仕上げています。

サイズ感は?

筆者撮影

右足にモンベルの「メリノウールアルパインソックス」、左足に無印良品の「ヤク混ルームソックス」を履いています。
見た目には無印良品の靴下の方が、ふっくらと分厚いように見えます。

フィット感はモンベルの方がピタッと、足にフィットしている印象です。
無印良品は足首付近のたるみからも分かるように、ゆったりとしたフィット感になっています。

厚みは?

筆者撮影

テーブルの上に置いて厚みを計測します。
写真ではモンベルの靴下が厚み2cmに見えますが、どちらも1.5cmほどの厚みで大差はありません。

内側のパイル地も確認してみます。

筆者撮影

モンベルの靴下の方が、パイルの密度が高いように感じます。
無印良品の靴下はフワッと柔らかな質感が見てとれますが、モンベルの靴下に比べるとパイルの密度はあまり混んでいません。

この密度の差が登山で履いたときに、どれほどの差が出てくるのかもチェックしていきます。

実際に雪山で履いて比較

履き心地は?

まず履いた瞬間から履き心地の違いを感じました。

無印良品の「ヤク混ルームソックス」は柔らかな履き心地ではありますが、ふくらはぎ部分が緩めに編まれていることもあり、若干冷気が入って来る印象です。

一方モンベルの「メリノウールアルパインソックス」は、足にピッタリとフィットしてくれ、冷気をシャットアウトしてくれる感覚です。

足の裏部分はどちらもふっくらと柔らかく、クッション性が高いように感じます。

部屋の中で履いてこれだけ感覚に違いがあるので、山に入ると如実に違いを感じられそうです。

1日山を歩いて感じた違い

筆者撮影

片足ずつ履いて滋賀県にある綿向山を登ってきました。
冷え込みがさほど厳しくない日だったため、登山口の気温は2℃で、山頂は-4℃まで下がりました。
登山靴は保温剤入りのものを履いています。

冷え込みが厳しくなかったことと、山道に入ってすぐ九十九折れの道をハイクアップしたことにより、発汗量が多かったです。

無印良品の「ヤク混ルームソックス」は、汗をかいてくるとすぐにシットリと濡れている感覚がありました。
一方モンベルの「メリノウールアルパインソックス」は、汗をかいても濡れている感覚が一切なく、蒸れも気になりません。

3時間ほど歩いて山頂に着くころには、無印良品の「ヤク混ルームソックス」の方は濡れて、足先が冷たく感じるほどでした。
2%ですがレーヨンが入っているため、汗を吸って保水した状態でなかなか乾かなかったのだと思われます。

モンベルの「メリノウールアルパインソックス」の方は、終始程よく調湿、保温してくれて冷たさは全く感じませんでした。
保温剤入りの登山靴は暑いと感じるコンディションでしたが、汗をかいて濡れている感覚はありません。

登りのときはモンベルも無印良品も、フィット感の違いに差は感じられませんでした。
歩いている間のクッション性も、どちらも気にならず足の痛みは感じません。

筆者撮影

ですが下山する時にフィット感の差異が明らかに表れました。

モンベルの「メリノウールアルパインソックス」はずれることなく、終始足にピッタリとフィットしてくれていました。

ですが無印良品の「ヤク混ルームソックス」は、つま先部分の縫い目がずれてきて、足の裏に回ってきたんです。
足を接地するたびに縫い目が足の指の付け根に干渉して、とても痛かったです。

「ルームソックス」という商品名なので、長時間外を歩くことは想定されていないのでしょう。
部屋でゆっくりする時に履くように、緩めの編み方になっていることを痛感しました。

雪山で履き比べてみて、アウトドアブランドの靴下のフィット感の高さ、素材がもたらす快適性を体感できました。
無印良品の「ヤク混ルームソックス」も素材だけ見ると、登山でも使えそうな気はしますが、フィット感が段違いでした。

夏山よりも凍傷のリスクを伴い、危険度が上がる雪山では信用のおけるアウトドアブランドの靴下を選ぶようにしましょう。

雪山用靴下はアウトドアブランドが安心!

筆者撮影

雪山を実際に歩いて無印良品の「ヤク混ルームソックス」と、モンベルの「メリノウールアルパインソックス」を比較しました。

素材が少し違うだけで、足の蒸れや冷えが圧倒的に違いました。
またフィット感の違いも如実に感じる検証結果となりました。

無印良品の靴下が悪いという訳ではなく、適材適所で登山にはアウトドアブランドの靴下を選ぶ方が安心です。
素材と厚みを確認して、自分に合う雪山用の靴下を見つけてください。