【TJAR】全てが自己対応、そして孤独の世界。日本一過酷な山岳レースとは?

コラム

目次

極限の山岳レース「トランスジャパンアルプスレース」とは?

トランスジャパンアルプスレース(Trans Japan Alps Race:TJAR)とは、日本海の富山湾から日本アルプス(北アルプス・中央アルプス・南アルプス)を縦断し、太平洋・駿河湾までの約415km を、8日間以内に、自分の足だけで縦断する世界屈指の過酷な山岳レースです。

体力はもちろん、登山全般における非常に高いレベルの知識と経験、そして勇気を兼ね備え、途中のアクシデントは全て自己対応しなければなりません。またレースへの参加、競技ルールに関しても、厳しい条件が求められます。

2002年に始まって以来、2年ごとの開催となっています。

トランスジャパンアルプスレース 公式HP

日本一過酷な山岳レース

日本海から太平洋へ

スタートは標高0mの日本海・富山湾。そこから、3000m級の山々が連なる北アルプス・中央アルプス・南アルプスへと縦断していきます。ゴールとなる太平洋・駿河湾を目指し、約415kmの道のりを8日間以内に走破しなければなりません。

出典:TJAR 公式HP
開催時期8月(選考会は6月)
スタート富山県魚津市 早月川河口(日本海・富山湾)
ゴール静岡県静岡市 大浜海岸(太平洋・駿河湾)
コース早月川河口〜北アルプス〜中央アルプス〜南アルプス〜大浜海岸
距離約415km
累計標高差約27,000m
平均勾配約6.4%
最低標高0m(日本海、太平洋)
最高標高3120m(南アルプス・赤石岳)
制限時間192時間(8日間)
通常のコースタイムでは、約33日間
コース概要

国際的なトレイルレース中でも、トップレベルの難易度を誇ります

海外で最も過酷なウルトラマラソン・トレイルレースのひとつと言われる「ウェスタンステイツ・エンデュランスラン(約160kmを24時間以内、登り5,500m、下り7,000m)」と比較しても、およそ2.6倍の距離となる過酷さです。

ウェスタンステイツ・エンデュランスラン 公式HP

選ばれし者に突きつけられる、厳しい制約

「多くの援助(サポート・エイド)を受けてのチャレンジではなく、自らの力で走破する」をコンセプトに、レースには下記のような厳しいルールが設けられています。

参加資格・過去に70Km以上のトレイルランニングレースを完走している。
・過去に標高2,000m以上の場所で10泊以上のキャンプ経験がある。
参加条件・起こり得る全ての悪条件を理解し、怪我や遭難等のアクシデントは自己対処
・一親等の成人親族の参加承諾書の提出。
・「すべての責任は、自らに帰する」旨の誓約書の提出。
コース・指定のCP(30ヶ所)を、走り+歩きのみで忠実に繋ぐ。
CPの不通過や交通機関の利用は失格
サポート・応援・選手への応援場所は自由だが、物品の受け渡しは禁止
デポ
(一時預かり)
各種物品のデポはコース上に1箇所のみ
・食糧や装備等を事前にコース上にデポすることは禁止。
キャンプ・キャンプ指定地以外の露営は禁止。
宿泊はすべて露営(テント、ツェルト等)のみ
施設利用山小屋、その他施設等での宿泊、仮眠の禁止
・用便は山小屋、施設、携帯トイレを利用。
山小屋での食事、食料等の購入禁止。水のみ購入可
・山小屋の利用は5:00~18:00を越えてはならない。
救助医療スタッフに手当てを受けた場合、自己対応不能として失格
大会ルール(一部抜粋、改変)

待ち受ける数多のチェックポイント

コ-スには30ヶ所のチェックポイント(以下CP)が設定されており、その間を繋ぐ手段は「徒歩+走り」のみとなります。公共機関の使用、CPの不通過、関門となるCPを所定の時間までに通過できない場合は失格となります。

また、このレースのための標識、指示板等は設置されておらず、ルートは読図により導かなくてはなりません

所在 チェックポイントNo.と地点名(太字は主要CP) 標高
備考
富山県 早月川河口 0m スタート
1 馬場島 750m 剱岳山麓
北アルプス
(飛騨山脈)
2 剱岳 2999m 日本百名山
3 立山(大汝山) 3015m 立山最高峰
4 五色ケ原 2500m  
5 薬師岳 2926m 日本百名山
6 太郎平小屋 2330m 薬師岳手前
7 黒部五郎小舎 2340m 黒部五郎岳〜三俣蓮華岳
8 双六小屋 2600m 双六岳〜樅沢岳のコル
9 槍ヶ岳山荘 3080m 槍ヶ岳頂上直下(南)
10 上高地 1500m 関門
長野県 11 奈川渡ダム 約900m  
12 境峠 1486m 木祖村 / 松本市の境界
13 薮原駅 924m  
14 旧木曽駒高原スキー場    
中央アルプス
(木曽山脈)
15 木曽駒ケ岳 2956m 日本百名山
16 空木岳 2864m 日本百名山
長野県 17 駒ケ根高原 800m  
18 市野瀬 829m 関門
南アルプス
(赤石山脈)
19 仙丈ヶ岳 3033m 日本百名山
20 塩見岳 3052m 日本百名山
21 三伏峠 2580m 関門
日本最高所の峠
22 荒川岳(前岳) 3068m 日本百名山
23 赤石岳 3120m 日本百名山
ルート最高地点
24 聖岳 3013m 日本百名山
25 茶臼小屋 2400m 茶臼岳直下(北東)
静岡県 26 井川オートキャンプ場 666m 関門
27 井川ダム 691m  
28 富士見峠 1184m 井川の玄関口となる峠
29 静岡駅 16m  
30 大浜海岸 0m 関門 / ゴール

上記中から、主要なチェックポイントとなる5箇所を紹介します。

深夜0時、レース開幕

  • 富山県 魚津市
  • 標高 0m
早月川河口(PIXTA)

日本海側の富山県魚津市にある早月川(はやつきがわ)の河口が、レースの出発地点になります。

レースは深夜0時にスタートし、ここ日本海からゴールの太平洋(静岡県静岡市・大浜海岸)を目指します。

北アルプス南部の玄関口「上高地」

  • 長野県 松本市
  • 標高 1500m
上高地(梓川・河童橋・穂高連峰)(PIXTA)

上高地(かみこうち)は、北アルプス南部の梓川上流に位置する景勝地です。
中部山岳国立公園に属し、日本を代表する傑出した山岳景観から、国の文化財(特別名勝・特別天然記念物)に指定されています。

北アルプスを代表する穂高連峰、槍ヶ岳の登山基地になっているほか、シーズン中は大勢の観光客で賑わいます。

中央アルプスを越え、南アルプスへ「市野瀬」

  • 長野県 伊那市
  • 標高 829m

市野瀬(いちのせ)は、中央アルプスと南アルプスの谷間にあるチェックポイントであり、最長の南アルプスに入る直前のポイントとなります。ここでの応援は、選手の力になること間違いありません!

これまでは市野瀬に限り選手関係者がデポの持参、不用品の回収、荷物の受け渡しが許可されていましたが、今後そのようなことは禁止となりました。

日本最高所の峠「三伏峠」

  • 長野県 下伊那郡大鹿村 / 静岡県 静岡市葵区
  • 標高 2580m(日本最高所の峠
三伏峠

三伏峠(さんぷくとうげ)は、塩見岳の南西に位置し、長野県と静岡県の境界になります。
長野県側に三伏峠小屋があり、塩見岳・荒川岳・赤石岳への登山拠点となります。

後立山連峰の針ノ木峠、秩父の雁坂峠と合わせて「日本三大峠」と呼ばれることもあります。

南アルプスの終着点「井川オートキャンプ場」

  • 静岡県 静岡市葵区田代
  • 標高 666m

静岡県の奥大井エリアに位置する、井川ダム最上流部の湖畔のオートキャンプ場です。南アルプスを下ってきた選手たちは、太平洋に向けて約70kmのラストスパートを駆け抜けます。

数々の試練を越えて「大浜海岸」

  • 静岡県 静岡市駿河区西島
  • 標高 0m
大浜海岸(PIXTA)

日本海を出発した参加選手たちは、太平洋の大浜海岸を目指します。

息を飲むアルプスの美しくも過酷な環境で悲鳴を上げる身体、何度も折れそうになる心を奮い立たせ、僅か8日間でアルプスを縦断します。この大浜海岸は、数々の試練を乗り越えた一握りの者だけが辿り着ける場所なのです。

TJAR 初級者向けオススメ応援スポット

出場選手への応援は自由で、その場所についても決まりはありません。選手はGPS機器を持っているため、レース中は公式HPから現在地をリアルタイムで確認することができます

過酷なレースを走る選手たちにとって、ささやかな声援が大きな励みになるはずです!

注意点として、選手への差し入れや伴走などはできません。また、選手の行動の妨げとならないよう、必要以上に話しかけないなど、適度な距離感を保ちましょう

「選手たちを一目見てみたい!」「実際にコースを歩いてみたい!」という方々のために、日本アルプスの初心者〜上級者向けのオススメ応援スポットをご紹介します!

北アルプス

山岳信仰の象徴「立山(大汝山)」

  • 標高 3015m

「立山(たてやま)」とは、雄山(3003m)か、浄土山・雄山・別山を含めた「立山三山」のことです。ですが、立山連峰といった広い山域をいうこともあり、その最高峰が大汝山(おおなんじやま)となります。立山は霊山として古くから信仰されており、修験道の山としての一面もあります。

大汝山には天然記念物にも指定され、氷河地形として知られる「山崎カール」があり、室堂から見ることができます。

室堂から約2時間30分で雄山へ、そこから大汝山へは約15分の道のりです。

立山三山(PIXTA)
大汝山頂上
公共機関
電車 富山側 富山駅(徒歩 / 約9分)〜電鉄富山駅(富山地方鉄道 / 約60分)〜立山駅〜
立山黒部アルペンルート
長野側 長野駅(アルピコ交通バス / 約1時間45分)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート
※4/16〜11/30の運行

長野駅(バス / 約1時間10分)〜信濃大町駅(バス / 約40分)〜
扇沢(徒歩)〜立山黒部アルペンルート

長野駅(特急しなの / 約50分)〜松本駅(大糸線 / 約55分)〜
信濃大町駅(バス / 約40分)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート

松本駅(大糸線 / 約55分)〜信濃大町駅(バス / 約40分)〜扇沢〜
立山黒部アルペンルート
高速
バス
富山側 東京・新宿(約8時間)〜JR富山駅(徒歩 / 約9分)〜立山駅〜
立山黒部アルペンルート
長野側 東京・新宿(約7時間)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート
マイカー
富山側 北陸道 立山IC(一般道 / 約35分)〜立山駅〜立山黒部アルペンルート
北陸道 富山IC(一般道 / 約40分)〜立山駅〜立山黒部アルペンルート
長野側 長野道 安曇野IC(一般道 / 約60分)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート
立山黒部
アルペンルート

富山側 立山駅(ケーブルカー / 約7分)〜美女平(バス / 約50分)〜室堂
長野側 扇沢(バス / 約16分)〜黒部ダム(徒歩 / 約15分)〜
黒部湖(ケーブルカー / 約5分)〜黒部平(ロープウェイ / 約7分)〜
大観峰(バス / 約10分)〜室堂

登山口となる室堂(むろどう)へは、長野県側は扇沢富山県側は立山駅が起点となります。

富山県側からは、立山駅より美女平を経由して室堂へ。
長野県側からは、扇沢より各種交通機関を乗り継いで室堂へ。扇沢〜室堂は1時間30分以上かかるので、混雑時は待ち時間に注意が必要です

アルペンルートは通年マイカー規制のため、各起点の駅周辺に駐車することになります。駐車場の混雑を考え、余裕をもった計画を立てましょう

日本屈指の山岳景勝「上高地」

  • 標高 1500m

日本屈指の山岳景勝地として名高い上高地。

穂高連峰・槍ヶ岳をはじめ、北アルプス南部の代表的な登山口となっています。梓川の清流と穂高連峰の眺望、大正池や田代池など、周辺は見どころ満載です!

7月〜8月のシーズン中は多くの観光客で賑わいます。

河童橋
梓川と穂高連峰
公共機関
電車 松本駅(松本電鉄・当駅始発 / 約30分)〜新島々駅(路線バス / 約60分)〜
上高地バスターミナル
※路線バスは1日12便
高速バス 新宿バスターミナル(直通)〜上高地バスターミナル
※直通バスは1日2〜3便
マイカー 長野側 沢渡駐車場(シャトルバス / 約30分)〜上高地バスターミナル
※沢渡からのバスは約30分おきに運行
岐阜側 平湯温泉(バス or タクシー)〜上高地バスターミナル

最も混雑するのは例年7月20日~8月15日の前後で、沢渡・平湯温泉をそれぞれ午前10時前に出発しなければ混雑は避けられません!

上高地へは通年マイカー規制のため、沢渡か平湯温泉へ駐車することになります。駐車場の混雑を考え、余裕をもった計画を立てましょう

中央アルプス

日本全国の駒ヶ岳、中央アルプス最高峰「木曽駒ヶ岳」

  • 標高 2956m
  • 日本百名山

日本全国にある「駒ヶ岳」、そして中央アルプスの最高峰となるのが木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)です。北アルプスの立山と同様、古くから山岳信仰の山として登られています。

日本アルプスの中央に位置し、北アルプスの山並みと乗鞍岳目前の御岳山、さらに南アルプスを一望できます。山頂付近は花崗岩による白い斜面が広がり、ハイマツの緑が見事なコントラストになっています。高山植物も多く見られ、色とりどりの花々が出迎えてくれます。

多くの登山ルートがありますが、しらび平からロープウェイを利用して千畳敷へ、そこから中岳を経ての登頂が一番気軽でオススメです!(千畳敷から約1時間30分)

木曽駒ヶ岳頂上(PIXTA)
公共機関
電車 JR飯田線 駒ヶ根駅(路線バス / 約45分)〜駒ヶ岳ロープウェイ
高速バス 中央道 駒ヶ根IC(路線バス / 約33分)〜駒ヶ岳ロープウェイ
マイカー 中央道 駒ヶ根IC(約3分)〜菅の台バスセンター(路線バス / 約30分)〜
駒ヶ岳ロープウェイ
※バスセンターからは一般車両進入禁止
駒ヶ岳ロープウェイ しらび平駅(ロープウェイ / 約7分30秒)〜千畳敷駅

県道駒ヶ岳公園線、黒川平~しらび平間は一般車両通行禁止となっています。専用路線バスに乗換えてから、しらび平駅まで行くことになります。

シーズン中のロープウェイは大変混雑するため、数時間待ちもあり得ます。前日に駒ヶ根高原に宿泊し、朝一番のロープウェイに乗るのがオススメです。

南アルプス

日本最高所の峠「三伏峠」

  • 標高 2580m(日本最高所の峠)

三伏峠は、塩見岳の南西に位置し、長野県と静岡県の境界になります。
長野県側に三伏峠小屋があり、塩見岳・荒川岳・赤石岳への登山拠点となります。

後立山連峰の針ノ木峠、秩父の雁坂峠と合わせて「日本三大峠」と呼ばれることもあります。

公共機関 電車 JR飯田線 伊那大島駅(タクシー / 約90分)〜鳥倉林道ゲート
高速バス 松川バス停(レンタカー or タクシー / 約100分)〜鳥倉林道ゲート
登山バス 松川ICバス停・伊那大島駅前バス停〜梅の里バス停(登山バス鳥倉線  / 約120分)〜鳥倉登山口
※登山バスは7月下旬〜8月下旬のみ運行
マイカー 中央高速 松川IC(約50分)〜大鹿村(約50分)〜鳥倉林道ゲート

公共機関の場合、シーズン外ではタクシーが一番早くなります。通常のバスも運行していますが、出発時間が遅く登山には向きません。マイカーの場合、大鹿村からゲートまでは細い山道となるのでスピードに注意しましょう。

麓の山塩館には塩が湧き出る「鹿塩温泉」があります。日帰り入浴もオススメです!

TJAR 上級者向けオススメ応援スポット

北アルプス

岩の殿堂「剱岳」

  • 標高 2999m
  • 日本百名山

剱岳(つるぎだけ)は北アルプス北部「立山連峰」の、立山三山や大日岳と同じ山域に位置しています。北アルプス南部「穂高連峰」と同じく、氷河によって岩が削られてできた岩峰です。 

近年の測量調査の際、山頂に槍の穂と錫杖などがあったことから、立山とともに古くから修験道の霊場だったと思われています。日本でもトップクラスの岩峰で、ロッククライミングの対象として多くのルートが開拓されています

一般登山道は、雷鳥沢を起点とした「別山尾根」。前剱を越え、カニのヨコバイ、カニのタテバイなど岩壁に張り付くように移動する箇所があるなど、難所が多いのが特徴です。落石や滑落事故が多く、ヘルメットは必須装備です。

もう1つは、TJARのルートにもなっている「早月尾根」。馬場島(標高750m)から剱岳へ突き上げるルートで標高差が大きく、途中の早月小屋で泊まる健脚向きのコースとなっています。馬場島から早月小屋へ約7時間、早月小屋から山頂へは約3時間30分のコースタイムです。

剱岳(前剱岳より)
公共機関
電車 富山側 富山駅(徒歩 / 約9分)〜電鉄富山駅(富山地方鉄道 / 約60分)〜立山駅〜
立山黒部アルペンルート
長野側 長野駅(アルピコ交通バス / 約1時間45分)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート
※4/16〜11/30の運行

長野駅(バス / 約1時間10分)〜信濃大町駅(バス / 約40分)〜
扇沢(徒歩)〜立山黒部アルペンルート

長野駅(特急しなの / 約50分)〜松本駅(大糸線 / 約55分)〜
信濃大町駅(バス / 約40分)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート

松本駅(大糸線 / 約55分)〜信濃大町駅(バス / 約40分)〜扇沢〜
立山黒部アルペンルート
高速
バス
富山側 東京・新宿(約8時間)〜JR富山駅(徒歩 / 約9分)〜立山駅〜
立山黒部アルペンルート
長野側 東京・新宿(約7時間)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート
マイカー
富山側 北陸道 立山IC(一般道 / 約35分)〜立山駅〜立山黒部アルペンルート
北陸道 富山IC(一般道 / 約40分)〜立山駅〜立山黒部アルペンルート
長野側 長野道 安曇野IC(一般道 / 約60分)〜扇沢〜立山黒部アルペンルート
立山黒部
アルペンルート

富山側 立山駅(ケーブルカー / 約7分)〜美女平(バス / 約50分)〜室堂
長野側 扇沢(バス / 約16分)〜黒部ダム(徒歩 / 約15分)〜
黒部湖(ケーブルカー / 約5分)〜黒部平(ロープウェイ / 約7分)〜
大観峰(バス / 約10分)〜室堂

登山口となる室堂(むろどう)へは、長野県側は扇沢富山県側は立山駅が起点となります。

富山県側からは、立山駅より美女平を経由して室堂へ。
長野県側からは、扇沢より各種交通機関を乗り継いで室堂へ。扇沢〜室堂は1時間30分以上かかるので、混雑時は待ち時間に注意が必要です

アルペンルートは通年マイカー規制のため、各起点の駅周辺に駐車することになります。駐車場の混雑を考え、余裕をもった計画を立てましょう

日本のマッターホルンの頂上直下「槍ヶ岳山荘」

  • 標高 3080m

槍ヶ岳山荘(やりがたけさんそう)は、鋭く天を突く岩峰から「日本のマッターホルン」と称される、槍ヶ岳(標高3180m)の頂上直下に位置しています。頂上の氷河によって削られた槍の穂先のような姿をはじめ、東西南北の尾根にも数多くの氷河地形が残っています。

南から穂高連峰の縦走路、東から常念山脈や燕岳からの表銀座、上高地からの槍沢、新穂高温泉から登るコースなど、北アルプス南部のすべての登山道が槍ヶ岳に集結し、中央部の双六岳へは西鎌尾根が唯一のルートとなっています。これらのことから、北アルプス南部の交通の要になっています。
 
一般的なコースは、上高地から槍沢経由で槍ヶ岳 へ(約9時間30分)、新穂高温泉から飛騨沢(約8時間40分)の2本になります。ほかに穂高連峰からの縦走コース(約7時間30分)、燕岳からの表銀座コース(約8時間40分)、双六小屋から西鎌尾根コース(約6時間)と数多いの特徴です。

槍ヶ岳山荘(槍ヶ岳頂上より)
公共機関
電車 松本駅(松本電鉄・当駅始発 / 約30分)〜新島々駅(路線バス / 約60分)〜上高地バスターミナル
※路線バスは1日12便
高速バス 新宿バスターミナル(直通)〜上高地バスターミナル
※直通バスは1日2〜3便
マイカー 長野県 沢渡駐車場(シャトルバス / 約30分)〜上高地バスターミナル
※沢渡からのバスは約30分おきに運行
岐阜県 平湯温泉(バス or タクシー)〜上高地バスターミナル

最も混雑するのは例年7月20日~8月15日の前後で、沢渡・平湯温泉をそれぞれ午前10時前に出発しなければ混雑は避けられません!

上高地へは通年マイカー規制のため、沢渡か平湯温泉へ駐車することになります。駐車場の混雑を考え、余裕をもった計画を立てましょう

中央アルプス

北アルプスと南アルプスの大パノラマ「空木岳」

  • 標高 2864m
  • 日本百名山

空木岳(うつぎだけ)は中央アルプスのほぼ中央に位置し、伊那谷の太田切川、木曽谷の伊奈川の源となっています。

「日本百名山」を選定した深田久弥も、「空木、空木、何というひびきのよい優しい名前だろう。もし私が詩人であったなら空木という美しい韻を畳み入れて、この山に献じる詩を作りたいところだ」と書いています。

頂上からの展望はもちろんすばらしく、北アルプスをはじめ、八ヶ岳、目前には南アルプス、中部地方の山々を一望できます。また、山頂付近は花崗岩の白い斜面とハイマツの緑とのコントラストが印象的です。

一般的なコースは「池山尾根」で、駒ケ根高原から登ります。ここから一気に高度を上げ、池山小屋〜空木平を経由し山頂へ至ります(約6時間)。また、木曽駒ヶ岳と同様に、駒ヶ岳ロープウェイを利用して一気に千畳敷(標高2650m)まで行けば、容易に中央アルプスの主稜線を縦走できます。

木曽駒ヶ岳から雲湧く空木岳への稜線(PIXTA)
公共機関
電車 JR飯田線 駒ヶ根駅(路線バス / 約45分)〜菅の台バスセンター
高速バス 中央道 駒ヶ根IC(路線バス / 約33分)〜菅の台バスセンター
マイカー 中央道 駒ヶ根IC(約3分)〜菅の台バスセンター(徒歩)〜空木岳登山口
or 菅の台バスセンター(路線バス / 約30分)〜駒ヶ岳ロープウェイ

※バスセンターからは一般車両進入禁止
駒ヶ岳ロープウェイ しらび平駅(ロープウェイ / 約7分30秒)〜千畳敷駅

木曽駒ヶ岳と同様に、駒ヶ岳ロープウェイを利用して一気に千畳敷(標高2650m)まで行けば、容易に中央アルプスの主稜線を縦走できます。

マイカーの場合、県道駒ヶ岳公園線、黒川平~しらび平間は一般車両通行禁止となっています。専用路線バスに乗換えてから、しらび平駅まで行くことになります。

南アルプス

南アルプスの女王「仙丈ヶ岳」

  • 標高 3033m
  • 日本百名山

仙丈ヶ岳(せんじょうがたけ)は南アルプスの北端に位置しています。対をなす甲斐駒ヶ岳と比較し、穏やかな山容で、片や男性的とすれば、こちらは女性的な印象を受けることから「南アルプスの女王」と称されます。

氷河によって形成された雄大なカールは、高山植物のに富み、夏はお花畑の大群落を見ることができます。

山頂からは、南は遠く塩見岳、東は大菩薩連嶺から富士山、白峰三山、北は八ヶ岳、奥秩父の峰々、目前には甲斐駒ヶ岳、鋸岳を一望できます。また、遠方に北アルプス、中央アルプスも見ることができます。

登山口となる「北沢峠」へのアクセスが良く、伊那側・甲州側ともに、それぞれ村営バスで入ることができます。
北沢峠から藪沢を上がり、馬ノ背を経て頂上へと至ります。また、甲斐駒ヶ岳とセットで8の字に歩くこともできます。周辺に山小屋が多いことで登山し易く、多くの登山者が訪れます。

仙丈ヶ岳(仙塩尾根より)
公共機関
電車 JR飯田線 伊那市駅(JRバス / 約30分)〜高遠駅(伊那市営バス / 約30分)〜
仙流荘(南アルプス林道バス / 約55分)〜北沢峠
高速バス 東京・新宿〜仙流荘(南アルプス林道バス乗換)〜北沢峠
※高速バスは1日2便運行
マイカー 中央道 伊那IC(国道361号、152号経由)〜仙流荘(南アルプス林道バス乗換)〜北沢峠
広河原(南アルプス市営バス乗換 / 約25分)〜北沢峠

※仙流荘~芦安・奈良田間はマイカー規制のため、バスに乗り換え

登山口は「甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳・早川尾根」の拠点となる北沢峠(きたざわとうげ)になります。トイレなども設置され、周辺には北沢峠こもれび山荘、長衛小屋があります。

南アルプスの盟主「赤石岳」

  • 標高 3121m
  • 日本百名山

赤石岳(あかいしだけ) は、静岡・山梨・長野の県境に位置しています。

山頂からは360度の大パノラマが広がります。南アルプスの山々をはじめ、富士山、奥秩父連峰、八ヶ岳、遠くは北アルプスの槍ヶ岳や穂高連峰、中央アルプスといった、南アルプスきっての眺望です。

一般的なルートは「椹島」からでですが、多くの登山者は赤石岳を単にピストンせず、千枚岳〜荒川岳〜赤石岳と縦走し、椹島へ下山します。幸いにも、千枚小屋、中岳避難小屋、荒川小屋、赤石岳避難小屋、赤石小屋が程良い間隔にあるため、余裕を持った計画を立てられます

ですが、登山口の椹島から山頂までは約2000mの標高差があります。また森林限界が2700m付近のため、展望の開けない登りが約6時間以上続きます。

赤石岳(聖岳頂上より)
赤石岳頂上
赤石岳(荒川岳中腹より)
公共機関
電車 大井川鐵道 千頭駅(バス / 約65分)〜白樺荘(徒歩 / 約45分)〜
畑薙第一ダム(東海フォレスト送迎バス / 約60分)〜椹島
高速バス 東京・竹橋(夜行 / 約7時間)〜畑薙第一ダム(東海フォレスト送迎バス)〜椹島
マイカー 東名高速 新静岡IC(一般道 / 約120分)〜畑薙第一ダム(東海フォレスト送迎バス)〜椹島

※夏季は畑薙ダム手前の臨時駐車場へ
※夏季以外はダムを超えた畑薙第一駐車場へ

畑薙第一ダムから送迎バスへ乗るには椹島(さわらじま)、二軒小屋、赤石山荘などの東海フォレストが管理する山小屋への宿泊が条件となります。テント泊の場合は利用できないので注意が必要です。

椹島は聖岳、赤石岳、千枚岳、笊ヶ岳などの登山口が集まる、南アルプス南部最大の登山基地となっています。
椹島ロッヂと登山小屋のほか、テント場、水場、トイレなどがあります。

高山植物の宝庫「聖岳」

  • 標高 3013m
  • 日本百名山

聖岳(ひじりだけ)は長野県と静岡県の境界となっており、日本の3000m級の山の中では最南端に位置します。

山頂は広く、西峰の前聖岳(3013m )と東峰の奥聖岳(2982m)からなっていますが、一般に前聖岳を聖岳と呼んでいます。

森林限界を抜けると、高山植物のお花畑が広がっています。特に山頂からの聖岳東尾根、薊畑〜聖平に至る稜線上の群落が見事です。

聖岳(小聖岳より)
聖岳頂上
公共機関
電車 大井川鐵道 千頭駅(バス / 約65分)〜白樺荘(徒歩 / 約45分)〜
畑薙第一ダム(東海フォレスト送迎バス / 約75分)〜聖岳登山口バス停 or
畑薙第一ダム(井川観光協会登山バス / 約60分)〜椹島(徒歩 / 約50分)〜聖岳登山口バス停

※登山口は井川観光協会送迎バスのバス停。
※東海フォレスト送迎バスでは途中下車不可。
高速バス 東京・竹橋(夜行 / 約7時間)〜畑薙第一ダム(東海フォレスト送迎バス)〜
椹島(徒歩 / 約50分)〜聖岳登山口バス停
マイカー 東名高速 新静岡IC(一般道 / 約120分)〜畑薙第一ダム(東海フォレスト送迎バス)〜
椹島(徒歩 / 約50分)〜聖岳登山口バス停

※夏季は畑薙ダム手前の臨時駐車場へ
※夏季以外はダムを超えた畑薙第一駐車場へ

畑薙第一ダムからは、井川観光協会登山バスを利用するか、東海フォレスト送迎バスで椹島へ、椹島から徒歩で登山口バス停まで向かいます。

畑薙第一ダムから送迎バスへ乗るには椹島、二軒小屋、赤石山荘などの東海フォレストが管理する山小屋への宿泊が条件となりますテント泊の場合は利用できないので注意が必要です。

椹島は聖岳、赤石岳、千枚岳、笊ヶ岳などの登山口が集まる、南アルプス南部最大の登山基地となっています。
椹島ロッヂと山小屋、テント場、水場、トイレなどがあります。

まとめ

トランスジャパンアルプスレースとは

トランスジャパンアルプスレース(TJAR)とは、日本海の富山湾から日本アルプス(北アルプス・中央アルプス・南アルプス)を縦断し、太平洋・駿河湾までの約415km を、8日間以内に、自分の足だけで縦断する世界屈指の過酷な山岳レースです

体力はもちろん、登山全般における非常に高いレベルの知識と経験、そして勇気を兼ね備え、途中のアクシデントは全て自分で対応しなければなりません。またレースへの参加、競技ルールに関しても、厳しい条件が求められます。

そのスタイルや考え方は、トレイルランニングではなく登山そのものと言えます。

選手への応援について

応援場所について特に制限はありませんが、コース全域において以下の行為は禁止されています。違反した場合は選手が失格となる恐れがあるので注意が必要です。

  • 選手および選手の持ち物に触れること(マッサージ等は不可、単純な握手等は可)
  • 選手との物品の受け渡し(差し入れ、ごみや不用品の回収等)、荷物の運搬
  • 選手への継続的な伴走、それに類する行為

また、他の登山者や山小屋等に迷惑を掛けない、道路上では交通法規を守る、住宅地では大声を出さないなど、節度ある応援を心がけましょう

登山へ行く前に

自分の体力と技術に見合った山を選びましょう。また公共機関を使う場合は、運行・運休情報を、マイカーでは駐車場の場所や制限台数などを事前に必ず確認しましょう