雪山と聞くとエベレストのような猛吹雪の中、ダウンを着込んで険しい斜面を登っていくという印象はありませんか?
実はそういった山は一部で初心者でも雪山登山する事ができる山は多くあり、その時の注意点や山の選び方などをご紹介したいと思います!
雪山登山する地域選びが重要
雪山は地域によって積雪具合や天候が大きく異なります。
この特徴を知っていると山選びが格段に楽になります。
特徴としては日本海側は
- 晴れが少ない
- 積雪量が多い
- 常に風が吹く事がある
太平洋側や内陸部の特徴は
- 日本海側より晴れが多い
- 日本海側より積雪量は少ない
- 突風はあるが数日続く事は少ない
このような特徴から低山でも日本海側は雪深くなる事が多いため、初心者の方は太平洋側か内陸部の山に行くことが多くなります。
標高(森林限界)を見極めよう
内陸部と言ってもアルプス、八ヶ岳など標高が2400mを超え始めると森林限界に近づき、急激に環境が過酷になります。
特に風が強くなり、気温に対しての体感温度も大幅に下がるため難易度の高い山となるでしょう。
初心者の方はまずは森林限界に到達しない山から始めることが重要です。
時期を知ろう
標高の高いアルプスの山頂近くは10月には雪が降り始め11月にはしっかり雪の積もった山となります。
10月を超えると小屋閉めするところも多くなるため小屋を利用する場合は営業を確認しましょう。
雪山には厳冬期と残雪期があります。
厳冬期は最も厳しい時期となり森林限界を超える山などでは複雑な状況判断が必要になりベテラン向きとなるでしょう。
残雪期になると雪が降ることがなくなり、天候も安定し、ルートに関しても踏み跡が消えることがほとんどなくなるため初心者の方には適した時期となります。
- 12月〜2月:厳冬期、積雪量も多く、トレースが消え風も強いため難易度が高い時期。
- 3月〜5月:残雪期、天候は安定するが、雪崩の危険性がでてくる時期。
残雪期あたりから小屋開きが始まることも多いので、食事もゆっくり楽しめるでしょう。
まとめると、時期は3月から5月の残雪期で森林限界を超えない山が雪山入門に適している事になります。
登山初心者におすすめの雪山
関東圏
東北
- 安達太良山
北陸
- 荒島岳
関西
- 武奈ヶ岳
- 六甲山
- 竜ヶ岳(三重)
雪山の心得
とはいえ、雪山に対して何を準備していけばよいのか不安になりますよね。
雪山は夏山と違った装備や心得が必要になります!
基本的な雪山装備
残雪期に限った装備をご紹介したいと思います。
基本的にはアイゼン、ストック、ウェアを中心に夏山と装備を入れ替えることになります。
ウェア
上下レインウェアなど防水性能がある服装と、温度調節ができるように2〜3枚インナーを持っていきます。
こちらは夏山と同様にレイヤリングが重要になります。
ダウンは行動中には暑すぎるため、休憩中や電車バスなどの移動中、小屋泊を想定している場合は持ってくとよいでしょう。
スキーウェアのように中綿入りジャケットは温度調節が難しく、暑すぎる事が多いため避けたほうがよいでしょう。
アイゼン
アイゼンは12本アイゼン、6本アイゼン(軽アイゼン)、チェーンスパイクなどの種類がありこの順でスパイクの利きが高くなり、より堅い氷や雪質でも安定して歩行する事ができる反面、重さも増していきます。
残雪期かつ上記で紹介した山では急な斜面での歩行はあったとしても限定的なため軽アイゼンを前提にご紹介してきたいと思います。
ゲータ(スパッツ)
ゲータは雨の日に靴の中に水や泥を混入する事を防げる装備となりますが、雪山でも天候に関わらずゲータを装備することがほとんどです。
アイゼンと併用することを想定しているゲータは硬い素材でできており、誤ってアイゼンが当たっても破れづらくなっています。
ストック、ピッケル
ストックは普段ご利用しているトレッキングポールに雪の抵抗を高くして安定させるための、スノーバスケットに交換します。スノーバスケットがない状態ですと雪の斜面には刺さらず、雪の奥まで進んでしまうので体制を安定させる事が難しく、雪から抜くのに時間と体力がかかるなどの問題が発生します。1000円以下で入手できる事が多いです。
ピッケルについてはあれば安心なのですが、適切に使うには一定の訓練を受けないと難しい事が多く今回残雪期として紹介する山では必要なシーンが多くないため必須装備からは除外しております。
日焼け対策
どんなに日焼けに強い人でも雪山は格別です。
気をつけるのは凍傷じゃないの?と思う方も多いと思いますが雪山での目へのダメージ非常に大きく雪目という症状になり帰りや翌日に目が開けられない場合や、視力が大幅に低下することもあります。
必ず、日焼け止め、サングラスは持参しましょう。
特にサングラスは雪山で忘れると登山を中止するほど重要な装備となり、照り返しの目へのダメージも大きく大幅に視力低下する事になったり下山時目が開けられず救助となるケースも珍しくないため最重要装備となります。
凍傷対策
目の対策ができたら、皆さんが最も関心のある凍傷でしょう。
上記で紹介した山であれば深刻な凍傷になるリスクは低いものの、最低限の凍傷対策は必要となります。
- 手袋は複数準備する
- 行動中は暑いので綿などの薄い手袋
- 急な斜面がでてきたり風が強い場合は防水やゴアテックスの手袋
- 防水の手袋の予備かミトンやダウンが入った大きめの手袋
この3つがあれば多くの山で対応できるでしょう。
- 靴下
- 雪山の靴下(中厚手がおすすめ)
- 厚手すぎると靴の圧迫が強くなり凍傷の原因となります。行動中は暑くなりやすいです。
- ベースレイヤーの靴下をできれば利用する
- 発汗性の高い靴下を下に履くとより凍傷対策になります。
- 雪山の靴下(中厚手がおすすめ)
靴下は個人差が多くむずかしいのですが、こちらはとにかく厚手すぎない事を気をつけていただければと思います。
無理に山頂は目指さない
高い計画性が求められる登山ですが、雪山では天候が刻々と変化する事も多い事とアイゼンなどの装備は重たく、計画よりも遅くなることも珍しくありません。その場での判断が重要になり無理に山頂を目指さないようにしましょう。
森林限界を超える山、尾根にほとんど木がないような山では山頂に近づくにつれて風の影響も大きくなるので無理せず山頂に行かない判断が重要なため夏山よりもピークに到達できる可能性は低くなることを理解しておくことで無理な計画になりずらくなると思います。
絶景を楽しむ!!
雪山はこれに尽きます!白銀の世界で澄んだ空気で普段見えない山が青白く見えたときはとても感動します。
稜線も綺麗に見えることで「あの山まで行きたい」と彷彿させるものがあります。
雪山は夏山よりも確かに様々なリスクがありますが、それをマネジメントできれば大いに楽しむことができるアクティビティですので、是非挑戦してみましょう!