【検証】モンベルのジオラインとユニクロのエアリズム最適なベースレイヤーはどちらか?

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ユニクロのエアリズムインナーは登山で使える?

なかなか外出しずらい世の中になり、自然のなかで密にならずにリフレッシュできる登山を始めた人も多いのではないでしょうか?

登山を始めるにあたってトレッキングシューズにバックパックにレインウェアにと、必要な装備を揃えていくとかなり出費がかさみますよね。

できるだけ普段使っているもので済まそうとユニクロのインナーを着て登山されている方もいらっしゃると思います。

ユニクロ夏の定番インナーである「AIRism(エアリズム)」は登山でも使えるインナーなのか検証していきます。

エアリズムの素材

出典:UNIQLO(エアリズムタンクトップ (WOMEN) | ユニクロ (uniqlo.com))

エアリズムと言えばサラッとした着心地とヒンヤリした触感で、気持ちの良いインナーをお手頃価格で買えるので愛用されている方も多いと思います。

その着心地の良さを産んでいる秘密はなんなのか?まずエアリズムの素材を見ていきましょう。

エアリズムはMen’sとWomen’sで使われている素材が違います。

Men’s

  • ポリエステル88%
  • ポリウレタン12%

Women’s

  • ナイロン66%
  • キュプラ24%
  • ポリウレタン10%

ポリエステルとは?

それぞれの素材について細かく見ていきます。
まずMen’sのインナーに使われているポリエステルからいきましょう。

ポリエステルの特徴は水分の拡散性と速乾性です。

水を吸った瞬間広範囲に拡散してくれ、濡れた部分の表面積を広げることによって速乾性を生み出しています。
アウトドアメーカーのインナーでもよく目にする素材ですね。

エアリズムに使われているポリエステル素材は株式会社東レが開発したもので、髪の毛の約12分の1ほどの極細繊維を束ねて1本の糸にしたものを編み上げています。

さらに「毛細管現象」と呼ばれるテクノロジーが使用されているので高い吸水性と拡散性を実現しています。

毛細管現象とは物理的に言うと、毛細管(細い管)の内側にある液体が管の中を上昇したり下降したりする現象のことです。

この現象を利用した東レの素材は図のように肌面に太い糸を、1番上に細い糸を使用することで、汗を素早く吸収し1番上の層に拡散しています。

ポリウレタンとは?

出典:pixta

Men’s、Women’sの両方に使われているポリウレタンはゴムのように伸びる繊維のことです。

アウトドアのパンツなどに使用されているのが多いですが、ポリウレタンを使うことによってストレッチ性を持たせることができます。

長年エアリズムやヒートテックを使用したときに白いゴムのようなものが表面に出てきたりしませんか?
あの白いものがポリウレタンです。

ナイロンとは?

出典:Pixta

Women’sに使用されているナイロンは吸湿性の高さが特徴の繊維です。
そのため着た時にヒンヤリするような冷感性を持たせることができます。

また耐久性の高い繊維で、洗濯してもシワになりにくいのも特徴です。

コットンなどの天然繊維に比べると乾きは早いですが、同じ合成繊維のポリエステルに比べると速乾性には劣るとされています。

キュプラとは?

出典:旭化成(ベンベルグの原料|ベンベルグとは|ベンベルグ|旭化成株式会社 繊維事業 (asahi-kasei.co.jp))

キュプラは再生繊維というものに分類され、上の写真のように綿花の種に巻き付いた産毛部分=コットンリンターを原料としています。

キュプラを使った素材で有名なのが旭化成の「ベンベルグ」ですね。
高級スーツの裏地に使われる滑らかな肌触りと高級感のあるツヤが特徴の生地です。

Women’sのエアリズムにも旭化成が開発したキュプラ繊維が使用されています。

キュプラは呼吸する繊維とも呼ばれ、吸湿・放湿性に優れます。
インナー内の蒸れをキュプラ繊維が吸って外に出してくれるんですね。

また滑らかな肌触りも特徴です。

ですがキュプラはポリエステルやナイロンに比べると速乾性に劣ります。
Women’sのエアリズムではナイロンと一緒に使われているので、キュプラ単体よりは速乾性は高いかもしれません。

乾きの早さを検証

筆者撮影

エアリズムのMen’sとWomen’s、比較対象としてモンベルのZEO-LINE薄手を使って乾きの早さを検証していきます。
まずはインナーの裏面(肌面)に30mlの水を垂らして拡散性を見ます。


その後気温28℃、湿度62%の部屋で少し風が入ってくる窓際にかけて、それぞれ15分間置いてどれぐらい乾くかを見ていきます。

モンベルのZEO-LINEとは?

検証の前にまずは比較対象であるモンベルのZEO-LINE薄手の特徴を少し紹介します。

混率

  • ポリエステル:93%
  • ポリエステル(複合繊維):7%

ストレッチ性はありますがポリウレタンというゴムのように伸びる糸を使用していないところを見ると、東レのT400というポリエステルでありながらストレッチ性のある糸を使用していると思われます。

ポリエステルなので吸汗速乾性に大変優れており、繊維と繊維の間にデッドエアと呼ばれる空気の層を保持することができるので、保温性もあります。

3シーズンを通して快適に着用でき、肌寒い春山・秋山の低山だけでなく、夏のアルプスなど高山での使用がオススメです。

検証結果 モンベル ZEO-LINE

筆者撮影

水を垂らした瞬間素早く広範囲に拡散されました。
これは速乾性に期待が持てます。

15分後

筆者撮影

さすがにまだ濡れていますが、広範囲に拡散されました。
肌面を触ってみてもベタっと肌に貼りつくような不快感は少ないです。

検証結果 エアリズム Men’s

筆者撮影

水を垂らした瞬間、ZEO-LINEほどの素早い拡散性はないものの、広い範囲には広がりました。
繊維が水を吸いきれていないのか、べちゃついている印象です。

15分後

筆者撮影

水分の拡散はされていますが、15分後もまだベチャッとしています。
裏面を触るとベタッと貼りつく感じもあり、ひんやりとする冷感性も感じました。

検証結果 エアリズム Women’s

筆者撮影

Men’sのエアリズムほど素早く水分を拡散せず、ジワーっと広がっていきました。
Women’sもMen’sと同様ベチャッとした感じがあります。

15分後

筆者撮影

15分後も水をかけた後そのままという感じでした。
裏面に手を当ててみてもベタっと貼りつくような感じがあり、冷感性も感じます。

Men’sよりも肌への貼りつき感は強いように感じました。

検証結果まとめ

モンベル ZEO-LINEエアリズム Men’sエアリズム Women’s
拡散性
速乾性
肌へのベタツキ

【結論】エアリズムインナーは運動量の多い登山には向かない

ユニクロのエアリズムインナーは綿などのインナーに比べれば吸水速乾性は高いのですが、アウトドアメーカーであるモンベルのものと比べるとやはりモンベルのインナーに軍配が上がります。

Men’sのエアリズムであればまだ水分の拡散性はあったので、春や秋など涼しい季節にアップダウンの少ない低山でハイキングをする程度の運動量であればまだ着用しても良いかなという印象です。

ですが真夏の低山やアルプスなどの高山では汗冷えしてしまう可能性が高いため着用はオススメしません。
汗かきの方はそもそも山で着るのは控えた方が良さそうです。

Women’sのエアリズムはMen’sよりも拡散スピードが遅いように感じたので、山では着用しない方が良いでしょう。

ユニクロのエアリズムインナーはお手頃価格で手に入れやすいですが、山で活用する場合は汗冷えのリスクも考えて上手に活用してくださいね。