登山の一形態である、山と山を繋いで歩く縦走登山。高所の稜線から、低山で名もなきピークを歩くなど、縦走登山といっても多様な魅力と楽しみ方があります。
今回は標高1,000m前後の稜線、丹沢の鍋割山稜に位置する隠れた名峰、小丸へ登るコースをご紹介します。
小丸とは
神奈川県に位置する丹沢山域において、表丹沢エリアに属する鍋割山と塔ノ岳を結ぶ鍋割山稜。その間に位置するのが小丸(こまる)です。標高は1,341m、秦野市と山北町の境にある静かなピークで、気づかなければすぐに通り過ぎてしまうほどです。
小丸は単体で登ることは少なく、鍋割山とセットで登ったり、鍋割山〜塔ノ岳の縦走時に通り過ぎることが多い山ですが、何度か小丸を訪れている筆者としては、山頂とその周辺は丹沢の魅力がまとまっているおすすめのピークです。
小丸がある鍋割山陵は、丹沢の原生林を現在に残す稜線で、不揃いに佇む樹木が植林帯とは異なる丹沢ならではの世界を作り出し、その名を冠した小丸尾根を登りきれば、南面の街並みや山々を望める眺望に優れたスポットがあります。
通り過ぎるだけではもったいない名峰、それが小丸です。
今回のおすすめコース
鍋割山・檜岳などの山々に続く登山口である松田町の寄(やどりき)をスタート、鍋割山を登頂して小丸へと至る稜線を歩くコースをご紹介します。
小丸のみを目指すコースもありますが、鍋割山稜の美しさを体感できるので、鍋割山から続くコースとしています。
小丸を過ぎたら小丸尾根を降り、林道を通って表丹沢の玄関口のひとつ、大倉でゴールとなります。
本コースは柔軟性に富んだ計画が可能で、寄から小丸まで登った後、そのまま塔ノ岳を目指して下山しても良し、来た道を戻って安全に降りたり、経験者の方ならバリエーションルートで周回するなど、経験や状況に合わせた行動ができます。
アクセスとトイレ
登山口へは小田急線新松田駅・JR御殿場線松田駅より寄行きのバスに乗り、終点の寄で下車します。
周辺施設でトイレを借りることができ、鍋割山にもトイレが設置されています。
行程
コースタイム | 体力レベル | 技術レベル |
7時間45分 | ★★★✩ | ★★✩✩ |
寄をスタートします
登山道へ向かう途中は里山の好展望です
登山道に入ります
途中の櫟山
道は続きます
大倉方面と合流する後沢乗越
急登になり、息を整えながら登ります
ゼェハァ言いながら登っていると、鍋割山山頂に飛び出します
ちょっと休憩
鍋割山稜を歩きます
この原生林がお気に入り
目的地の小丸。眺望はなく標識があるのみです。ここで原生林に囲まれて休むのも良いですが、小丸尾根付近まで行きます
小丸尾根への分岐点からの眺望。麓の街並みから山々まで見渡せます。この近くで一休みして、小丸尾根を降ります
小丸尾根をひたすら下ります
小丸尾根分岐に降りました。ここから大倉を目指します
林道を歩きます
大倉に到着です。荷物を整えてバスに乗り込みます
小丸を登って丹沢の魅力を体感しよう
丹沢の人気エリア、表丹沢に位置するマイナーな山、小丸。塔ノ岳と鍋割山に挟まれその名はあまり知られていませんが、稜線を縦走しながら原生林・付近からの眺望を堪能できる登山が楽しめる隠れた名峰です。
柔軟な登山計画で経験やパーティに応じたコースで歩けるので、一度ならず何度でも訪れることができるのも魅力です。
小丸に登って、静かな丹沢の世界と低山の稜線歩きをぜひ楽しんでください。