ワークマンから本格登山ザックが登場
ワークマンから2023年春夏の最新商品として、本格登山ザックが登場しました。
サイズは50リットルと80リットルの2サイズが用意されています。
アウトドアブランドの約3分の1の値段で買えてしまうのですが、雨蓋つきで2気室になっていて本格的な見た目になっているんです。
見た目通り小屋泊やテント泊で使っても問題ないのか、実際に登山で使って徹底レビューしていきます。
価格 | 6,800円 |
素材 | ポリエステル100% |
容量 | 50リットル |
本体重量 | 約1.8kg |
背面長 | 約32~38cm |
品番 | YFC02 |
INAREMギアシェルパックの特徴3つ
表地にワークマンの透湿防水素材INAREMを使用
ザックの表地にはワークマンの独自透湿防水素材「INAREM」を使用しています。
そのため生地自体に耐水圧10,000mmの防水性があるんです。
コスト削減のためにレインウェアと同じ薄い素材を使っているのかと思いきや、実はザック向けに強度の高い厚みのある素材が使われています。
全体にINAREM素材を使用することによって、多少の雨でも問題ないようなザックに仕上がっています。
本格登山ザックの見た目
「INAREMギアシェルパック」は雨蓋つき、2気室タイプの作りになっています。
本格アウトドアブランドのザックによくある作りになっていますが、50リットルで6,800円という驚異の値段なんです。
サイドポケットもあり、ヒップベルトの部分にもポケットが付いています。
各部のテープもアウトドアブランドのザックと同じような部分に付いています。
背面には分厚いパッドが付いていて、フレームもしっかり入っているので、重たい荷物を持っても安定しそうです。
レインカバー付き
「INAREMギアシェルパック」にはレインカバーが付いています。
ザックの底部のジッパーを開けたところに収納されています。
ザック本体の生地に透湿防水素材「INAREM」を使っていますが、縫い目にシームテープは貼られておらず防水処理はされていません。
そのため長時間雨に打たれ続けると、浸水してくるんです。
アウトドアでの使用中に雨が降ってきた場合は、INAREM素材を信用しすぎずにレインカバーをかけた方がよいでしょう。
INAREMギアシェルパックの気になる点3つ
耐荷重がある
「INAREMギアシェルパック」には耐荷重があります。
テント泊1~2泊が可能な50リットルで約10kg、テント泊2泊以上が可能な80リットルは約20kgです。
テント泊で10kgを超えることはよくあります。
アウトドアブランドのザックであれば耐荷重の記載はありませんが、20kg、30kgは問題なく背負えます。
ワークマンの「INAREMギアシェルパック」の耐荷重は、登山のテント泊でギリギリ使えるかどうかというところです。
アルプスのテント泊縦走に使うには、不安要素になります。
透湿防水素材を使っているのに防水ではない
ワークマンの独自透湿防水素材「INAREM」が使われていますが、完全防水ではありません。
縫い目に防水処理が施されていないため、雨が降ってきたらザックカバーをつける必要があります。
アウトドアブランドのザックも防水になっておらず、ザックカバーをつける物がほとんどです。
せっかくINAREM素材を使うのであれば、コストは上がりますが縫い目に止水テープを貼った方が良かったでしょう。
もしくはINAREM素材を使用せずに、ザックカバーをつけておくだけで良かったかもしれません。
INAREM素材を使っているにも関わらず、縫い目の防水処理がされていないことから、中途半端な位置づけになっているように感じます。
背面長の調節ができない
ワークマンの「INAREMギアシェルパック」は背面にフレームがついていて、背中上部のパッド部分を動かせます。
パッドが上下するので背面長が変えられると思いますが、変えられません。
パッドを動かしても固定するパーツがないため、元の位置に戻ってしまいます。
ワークマンの商品ページに「背面長約32~38cm」と記載があるため、この背面長より長いまたは短い方にはフィットしないでしょう。
アウトドアブランドのお店であれば、店員さんが重りを入れてフィッティングをしてくれます。
ですがワークマンの店頭ではそのようなサービスはなく、自分で背負ってフィット感を確認する必要があります。
背面長が調節できないということ、自分でフィット感を確認しなければいけないということから、初めて大型ザックを買う方にはおすすめできません。
実際に登山で使って本音レビュー
ワークマンの「INAREMギアシェルパック」を背負い、3時間山を歩いて検証してきました。
50リットルの商品に、耐荷重より少し重たい12kgを入れてテストしてみます。
ヒップベルト、ショルダーハーネスの調節ベルト、ザック上部を体側に寄せるストラップ、チェストストラップすべてしっかりと付いています。
ですが全体的にテープが太く、テープが通っているパーツも大きい印象があります。
アウトドアブランドのザックに比べると、テープを締めたり緩めたりするのに摩擦が大きいように感じました。
ヒップベルトをしっかりと締めたくても、締まりきれません。
チェストストラップには緊急時用のホイッスルが付いています。
背面のパッドはしっかりと厚みがあります。
反発があるパッドではなく、押し込むとグッと沈んでいくので、好き嫌いが分かれそうなパッドです。
3時間背負ってみましたが、背中部分がずっとフワフワとして不安定な感覚がありました。
12kgを背負って歩いてみたところ、腰にザックが乗り切っていない感覚がずっとあり、肩が痛くなりました。
背面フレームが入っている部分にはパッドがなく隙間が空いているので、背中全体を使ってザックの荷重を支えられません。
肩だけで荷重を支えていたので、長時間のトレッキングには向かないように感じます。
背負ったところをドイターのザックと比べてみます。
ドイターのザックは身体にしっかり密着して、重心が真下にかかっているのが分かります。
ワークマンの「INAREMギアシェルパック」は重心が斜め後ろにかかっているように見えます。
重心が真下にないと身体全体でザックを支えきれず、荷重が肩に一極集中して疲れやすくなってしまいます。
INAREMギアシェルパックは背中との接触面が肩甲骨周りと腰の下部しかなく、重心も斜め後ろにいっているため、肩に荷重がかかってしまうんです。
ワークマンの大型登山ザックを使うときの注意点
ワークマンの「INAREMギアシェルパック」を実際のテント泊の重量を入れてテストしました。
10kg前後の重量を入れると、背中全面で支えられずに肩に荷重がかかるという結果になりました。
では50リットルまたは80リットルのザックに、5kg程度の荷物を入れるとしたらどうでしょうか。
5kg前後の荷物は、30リットルのザックに十分収まる重量です。
大型ザックに少なすぎる荷物を入れて登山をすると、このようなリスクが考えられます。
大型ザックの中に大きく隙間が空いてしまい、歩いている最中に中の荷物が大きく揺れます。
荷物が揺れると重心がぶれてしまって疲れやすくなります。
さらに狭い登山道で振り向いた瞬間に中の荷物が振れ、バランスを崩して転倒・滑落もあり得るんです。
「日帰り登山しか行かないから、値段的にもINAREMギアシェルパックでちょうど良い」という考えだけで、ワークマンのINAREMギアシェルパックを購入するのは危険です。
歩く距離の短い旅行やキャンプであれば、十分な収納スペースと耐荷重があるのでおすすめです。
ですが登山で使う場合は、リスクを理解した上で購入を検討しましょう。
ワークマンの最新大型ザックは使い方に注意!
ワークマンの2023年最新商品「INAREMギアシェルパック」を紹介しました。
本格登山ザックの見た目で1万円を切る破格の安さですが、実際の登山で使うには注意すべきポイントが多くあります。
自分の登山スタイルに合うか、身体に合うかをしっかりと見極めるようにしましょう。
うまく活用できればコスパ最強のザックです。