【テント泊】三俣蓮華岳:小池新道から登る贅沢な山旅

山紹介

日本の山域を代表する北アルプス。
岐阜県・長野県・富山県に跨る山脈は、深部に至るのに1泊以上の日数を要し、そこから観る世界は原始の日本を想像させる美しい景色が広がっています。
三俣蓮華岳は、3県に跨るピークとして知られ、北アルプス最奥の山々を目指す方には、ぜひ訪れてほしいおすすめの山頂です。今回は三俣蓮華岳を新穂高温泉から目指すルートをご紹介します。

三俣蓮華岳とは

岐阜県・長野県・富山県、3県の境に位置する標高2,841mの山が、三俣蓮華岳です。複数の登山ルートを持つ北アルプス深部の山ですが、どのルートからも日帰りは困難とされ、山頂へ至るには十分な登山経験が必要となります。

山頂周辺には夏でも見られる残雪、健気で可憐に咲く高山植物、ライチョウをはじめとした貴重な生物が見られ、堂々たる山体と合わせ、訪れる人を魅了します。

付近の山頂である双六岳の稜線上にあり、同じく周辺の山である鷲羽岳・水晶岳等と合わせて登ることで、北アルプスのダイナミックな世界を堪能することができるため、三俣蓮華岳を予定に組み込み、3泊日以上の行程とすれば充実とした山行とすることができます。

山の世界の深さを知り、そして自然の美しさを存分に堪能できる山、それが三俣蓮華岳です。

今回のおすすめルート

今回は西穂高岳・槍ヶ岳・笠ヶ岳・双六岳などの登山口として知られる新穂高温泉をスタートし、1日目は小池新道を登って双六小屋で1泊、2日目で三俣蓮華岳へ登頂し、双六小屋へ戻って2泊目、3日目で小池新道を利用して下山するルートです。

行程は体力を求められるルートで、1日目の小池新道は前半部の急登から後半部の稜線に至るまで、宿泊装備を背負って歩くことで歩きごたえは抜群。苦労して双六小屋にたどり着けば、2日目は双六岳から三俣蓮華岳へ、言葉にならない絶景を視界に入れながら歩く贅沢な時間になります。

途中のわさび平小屋や三俣蓮華岳を下った先にある三俣山荘など、登山の楽しみのひとつである山小屋も点在しているので、山小屋を通して山の世界を知るのも、この山旅の醍醐味です。

駐車場とトイレ

駐車場は新穂高温泉に点在している無料、または有料駐車場が利用できます。登山者用の無料駐車場は繁忙期はすぐに満車となるので、確実にマイカーでアクセスしたい方は、前泊や予約が可能な駐車場を利用するといった対策が有効です。
トイレは新穂高温泉・わさび平小屋・鏡平山荘・双六小屋・三俣山荘に設置されています。維持管理のために有料となっているので、小銭を用意しておきましょう。

山小屋

ルート上にはわさび平小屋・鏡平山荘があり、本ルートの宿泊地である双六小屋、また三俣蓮華岳に最も近い三俣山荘があります。
宿泊は主に双六小屋ですが、三俣山荘に宿泊するプランも、日程や1日の移動時間を工夫することで組むことができます。

行程

コースタイム体力レベル技術レベル
16時間25分★★★☆★★☆☆
Yamarii登山グレード

1日目

新穂高温泉をスタートします。

林道を経てわさび平小屋に到着します。水のせせらぎが安らぐおすすめの休憩スポットです。


小池新道入り口に到着。ここから本格的な登山道に入ります。


登山道は急登が続きますが、途中の秩父沢出合は沢の冷たい水が気持ち良く、以降も休憩スポットがあります。

足を休めるだけでなく、焼岳をはじめとした眺望を見ながら登れるので、モチベーションをしっかり維持して歩を進められます。


鏡池に到着。槍ヶ岳などの絶景が望めます。水面に映る山々がとても幻想的です。


鏡池・鏡平山荘を過ぎたら小池新道の後半戦。トラバース道を経て笠ヶ岳に通じる稜線に出た後、双六小屋を目指します。

この日は雲が湧いて眺望が望めませんでしたが、復路では5分歩いては立ち止まってしまうほどの景色を楽しみました。

景色にウットリしますが、脚はしっかり疲労が溜まっています。小屋は見えていても、たどり着くまでが長い最後の稜線。気持ちを切らさないよう歩きます。

初日の宿泊地、双六小屋。テントの受付をして設営し、1日目を終えます。

2日目


双六岳を経て三俣蓮華岳を目指します。

双六岳の稜線。広々とした道からは、槍ヶ岳・笠ヶ岳などが望め、朝の眠気が吹き飛びます。

双六岳山頂。ここまででも十分楽しめますが、今日はこの先にある三俣蓮華岳まで歩きます。

アップダウンを経て山頂に至ります。

2日間の苦労の末、三俣蓮華岳に登頂です。

頂上は広く、ゆっくり休憩しながら三俣蓮華岳登頂の喜びを噛み締めます。

登頂後、足早に双六小屋に戻りたいので、復路は往路とは異なる巻き道を使います。


双六小屋で2泊目。のんびり休みながら北アルプスで過ごす時間を満喫します。

3日目

小池新道を戻り下山します。十分に休息は取っていますが、転倒・滑落などには十分に注意して下っていきます。

日の出前後の小池新道の稜線は、忘れることのない圧巻の眺望です。

下りは天候が荒れない内にサクサクと下山です。

おすすめ温泉:中崎山荘 奥飛騨の湯

新穂高温泉にある温泉で、日中に下山すれば日帰り入浴として最適な場所にあります。
この日は下山後、無料駐車場から車で移動して利用しました。

大浴場と露天風呂があり、露天風呂からは日本の山岳史にその名を刻む笠ヶ岳が望める好立地。長い歴史を持つ中崎山荘での入浴は、北アルプス登山の締めくくりとしておすすめです。

入浴のほか食事も楽しめ、登山の疲れを十分に癒し、これからの登山に想いを馳せながら帰路に着けます。

三俣蓮華岳で北アルプスの世界に浸ろう

北アルプス深部に位置し、3県に跨る三俣蓮華岳は、人を惹きつけて止まない数多の魅力を持つ山です。高山植物をはじめとした生物、雄大な眺望、点在する山小屋で人と山の歴史に触れられるルートなど、山頂のみならず、その道中で出会う体験は、必ず忘れられないものとなります。

三俣蓮華岳に行けば、深い山の世界に触れられます。ぜひ登ってみてください。