【奥高尾縦走】陣馬山から高尾山の登山コースと紅葉情報の紹介

山紹介

Yamarii編集部による実際の取材を通して得た、ハイカー・登山者向けの奥高尾縦走路(陣馬山~高尾山)の紅葉情報をお送りいたします。

起点は首都圏と甲斐・信州方面を結ぶ甲州街道の相模湖付近にある藤野(ふじの)、終点は「明治の森高尾国定公園」の玄関口にあたる高尾山口までの情報を取りまとめています。

奥高尾縦走路は、ほぼ全線にわたり東京都と神奈川県の都県境を縦走するコースとなり、途中「陣馬(陣場)山」、「景信山」、中央高速の渋滞でも有名な「小仏峠」、「小仏城山」といった主要地点を経て、高尾山に至る全長約10㎞(これに陣馬山までのアプローチと高尾山からの下山がプラスされる)の比較的長いコースとなります。

小仏城山付近の紅葉

全線が「関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)」に重複しており、またコース後半の高尾山から小仏城山間については、大阪「明治の森箕面国定公園」に至る約1,700㎞の長距離自然歩道「東海自然歩道」との重複区間となっています。

目次

紅葉インフォメーション(陣馬山・景信山・高尾山)、2021年11月

観測場所標高紅葉の情報
相模湖・藤野約200m色づき始め
栃谷登山口(栃谷集落)約450m色づき始め
陣馬山(陣場山)855mピーク~散り始め
明王峠740mピーク
堂所山731mピーク~散り始め
景信山727mピーク~散り始め
小仏城山670mピーク~散り始め
高尾山599mそろそろ見頃~ピーク
高尾山口約200mそろそろ見頃
2021年11月14日 Yamarii調べ

藤野駅~陣馬山(陣場山)の紅葉情報

藤野駅~栃谷登山口:色づき始め

中央線を高尾駅で乗り継ぎ、2駅目にあたる標高約200mの藤野駅からスタートします。

新宿から50㎞強の場所ではありますが、既に駅前ロータリーにはコンビニなど見当たらない風景が広がっています。駅の裏側には山裾が拡がっていますが、朝日に照らされた紅葉の色づきが綺麗に見られます。

藤野駅から陣馬山までのメインアクセスは、藤野駅からバスを利用し標高350mの終点「和田(わだ)」で下車、そこから登山道で一ノ尾尾根を目指し山頂に至るコースとなります。

今日は山麓からの紅葉の移ろいを確認するために、メインの一ノ尾尾根に隣接するサブコース、栃谷(とちや)尾根コースを駅から徒歩で目指していきます。

栃谷までは山間の田舎道を歩くことになる。

ちなみに藤野駅にはお手洗いが設置されておりましたが、電車の到着時間に合わせて利用が集中するようでした。この時期にバスで「和田登山口」を目指す場合、接続時間に余裕を持たれた方が良いかもしれません。この日は8時6分発の始発バスに途中追い抜かれましたが、臨時便が増発されておりました。

栃谷登山口~陣馬山:色づき始め~ピーク

栃谷登山口周辺は、都会の喧騒とは程遠い山村となる

藤野駅から県道と集落への山岳道路を経由して1時間ほど歩くと、山の斜面に「へばりつく」ように広がる栃谷の集落が見えてきます。

柑橘類と並び尾根筋などの水はけのよい斜面地栽培が適しているキウイ畑の中を抜けていくと、ほどなくしてハイカーが歩く登山道(栃谷尾根コース)に入っていきます。

登山道に入ると、意外と青葉が目立っている

登山道に入った直後の紅葉は、まだ色づき始めといったところです。

栃谷尾根コースは全体的に複層をなす植林帯となっておりましたので、全体的には紅葉は控えめでした。登山道に入り賑やかな縦走路と合流すると、陣馬山の山頂に間もなく到着です。

陣馬山(陣場山)山頂の紅葉情報:ピーク~散り始め

錦秋の奥高尾縦走路

日当たりのよい陣馬山山頂は全方位の展望が非常によく開けており、富士山を始め奥多摩や道志、丹沢の山並みを一望することが出来ます。

山頂には売店やお手洗い、都が設置した休憩施設が設置されており、多くのハイカーで賑わっています。また、山頂直下はナラやカエデ類を中心とした紅葉・黄葉がピークを迎えていました。

秋晴れの陣馬山。中央にモニュメント。

陣馬山から景信山の紅葉情報

陣馬山~明王峠の紅葉:ピーク

陣馬山から先は、稜線伝いの縦走路となります。

陣馬山から高尾山を目指す場合コースは全体的に下り基調(逆の場合は10㎞のぼり基調)となりますが、途中小刻みなアップダウンを繰り返しながら進んでいくことになります。

明王峠付近の紅葉の様子

早速、山頂から奈良子峠までは標高差約100m強を下っていくことになります。

植林帯の中を基本進んでいくことになるため紅葉箇所はそう多くはありませんが、時折出てくる紅葉は全体的に見頃を迎えており、場所や木々によっては既に落葉しているといった状況でした。

都県境の縦走路が植生の境界となっている

東京都側は都立高尾陣場自然公園(高尾山周辺は明治の森高尾国定公園)、神奈川県側は県立陣馬相模湖自然公園にいずれも指定されており、優れた自然の風景地として自然景観の保護と利用の計画が体系づけられています。

明王峠~景信山の紅葉:ピーク~散り始め

明王峠から先は堂所(どうどころ)山を経由して景信山を目指すことになります。

地図上では小さなピークがいくつも存在していますが、おおむね各ピークを経由する尾根道とピークを回避する「巻き道」があるため、体力に合った選択が随所で可能になっています。

景信山の紅葉の様子。木によっては既に落葉している。

陣馬山から約5.5㎞、コースタイム約2時間で景信山山頂に到着します。この日は秋の週末、ハイシーズンということもあり、山頂の茶屋を中心とした景信山山頂は非常に賑わっておりました。

秋は落ち葉で登山道が隠れる

登山道は非常によく整備されておりトレースも明瞭、登山者も必ず視界に入るほど賑やかなコースになりますので、所要時間を確認する以外では地図や地図アプリの出番はないかもしれません。

しかし紅葉シーズン特有の落ち葉による登山道トレースの消失、先行者がいない場合などは一瞬ルートを失いヒヤリとする可能性のある場所もありましたので、ルートや現在地を把握するための準備は必要だと思われます。

景信山から小仏城山、高尾山への紅葉情報

景信山~小仏城山の紅葉:ピーク~散り始め

景信山より縦走先のピークを望む。徐々に都会の喧騒が感じられるようになる。

景信山を出発すると、標高548mの小仏峠まで約200m弱、一旦大きく下ることになります。

普段山を歩きなれている方には造作のない下りになりますが、これまでの区間に比べて若干傾斜が急になり、また足元が若干ザレ気味ですのでスリップには注意をしたい場所になります。

紅葉は景信山直下では間もなくピークを迎える様子でしたが、全体的に針葉樹の植林帯の区間となるため、紅葉を見られる場所はかなり限定的です。

小仏峠

旧甲州街道が通じていた小仏峠は比較的広い鞍部となっており、ベンチなどが設置されているほか、小仏バス停方面への下山路が交差している場所になっています。

残念ながら展望には恵まれませんが、これから控える小仏城山への上りに向けて一呼吸置きたいところです。

小仏城山~高尾山の紅葉:そろそろ見頃~ピーク

小仏城山、紅葉は既にピークを過ぎつつある

小仏峠からだらだらとのぼりを詰めていくと、30分程で視界が開け小仏城山山頂に到着します。景信山同様山頂には茶屋があり、またここまでくると東京都心部の景色や目的地の高尾山が大きく見え始めます。

国定公園内園地歩道からの紅葉。一丁平付近。

小仏城山から先は明治の森高尾国定公園となり、整備された園地内遊歩道を約2キロ進むことになります。

この区間は特にカエデ類の紅葉が非常に美しく、既ピークを迎えておりました。夕陽に照らされ、一層鮮やかさが際立った紅葉をのんびりと鑑賞しながら、疲れた脚に鞭をうちつつも「もみじ台」の小ピークを越えていきます。少し下り高尾山頂を環状する5号路と交わると、間もなく奥高尾縦走路も終点、高尾山頂に到着します。

高尾山付近「もみじ台」の紅葉はまもなくピークを迎える

高尾山口へかけての下山、紅葉と混雑状況

黄昏の高尾山頂は、都市部と山域の結節点となる

山頂周辺は言わずもがなの賑やかさですが、今回は14時を回っているために6号路※を利用して下山していきます。混雑する1号路を横目にハイキングコースを折れると、一気に雰囲気が和やかになります。前半は所々に珍しいモミの木々を見ながら尾根伝いの整備された木道を下り、中盤からは沢伝いのコース取りをしていきます。

※6号路は2021年10月30日(土)から2021年11月28日(日)の8:00~14:00、登り一方通行となります。

※高尾ビジターセンター【お知らせ】6号路登り方向一方通行のお知らせ – 東京都 高尾ビジターセンター (ces-net.jp)

高尾山からの6号路は沢沿いの登山道となる

なお、尾根と沢の出会い付近では水流の中を歩く箇所がありましたので、底の薄いスニーカー等では、さすがに浸水する懸念が感じられました。

山頂から60分程度すすみ、琵琶滝が現れると間もなく高尾山口に到着となります。

なお、高尾山の下り方向ケーブルカーとリフトは、夕方17時頃に60分程度の待ち時間が発生しておりました。

日中の奥高尾の稜線は日当たりも比較的良好、ポカポカと汗ばむ陽気でしたが、標高の低い高尾とて、この時期は日没付近からは急速に冷え込んできます。ケーブルカー等で下山をする場合、待ち時間に羽織る防寒着は必須となるでしょう。

おわりに

見頃を迎えている陣馬山から高尾山にかけての都県境、「奥高尾縦走路」の紅葉情報とコース紹介をお送り致しました。

今回の取材では紅葉情報を取りまとめてお伝えさせて頂く都合上1日での縦走となりましたが、日暮れの早い秋季は、各区間を分割しながらのんびり・じっくりと、奥高尾の自然と大都市圏の人間が織りなす独特な雰囲気を楽しんでみるのはいかがでしょうか。

※奥高尾の散策の際には、登山・ハイキングの準備が必要となります。安全な登山をお願いいたします。