【紅葉】丹沢の紅葉コースまとめ(大山編)

山紹介

この記事は首都圏郊外に位置する日本百名山・丹沢の「紅葉情報」と「秋季の混雑傾向」を東丹沢(大山編)の各エリアごとに取りまとめたものになります。

また、『〔丹沢〕登山道別・秋季混雑予想マップ(土休日)』を紹介しておりますので、是非ご活用ください!

紅葉の傾向と混雑状況

秋の大倉尾根(PIXTA)

標高1,500m級の峰々が連なる関東南部の丹沢山地は、「大山(おおやま)」や「塔ノ岳」、主峰の「丹沢山」といったピークを有する東丹沢と、「檜洞丸(ひのきぼらまる)」や「ユーシン渓谷」といったスポットを有する西丹沢に大きく区分されます。

今回ご紹介する東丹沢は、電車・バスでのアクセスが比較的良好であり、混雑する場所も見られますが、西丹沢は総じて登山者も少なめであり、全身で自然を感じながら静かな山歩きを楽しむことができます。

しかし、難易度は全体的に西丹沢の方が高く、登山道の不明瞭箇所・渡渉・クサリ・ハシゴなど岩場の通過箇所が東丹沢以上に見られます。また入山者も少ないことから、緊急時には相応の対応が必要となります。

丹沢の紅葉は10月上旬頃から

日中の賑やかさから~黄昏の丹沢山地~

丹沢の紅葉は、その年の天候・気温、斜面の位置により若干の違いはありますが一般的に10月上旬に「ブナ」や「シロヤシオ」などが稜線付近で色づき始め11月中旬~下旬の2か月にわたり徐々に山麓へ降りていきます。

また、県の紅葉情報によると、東丹沢よりも西丹沢で紅葉のペースはやや早いようです。

Yamarii編集部ライターと協力者の延べ約500日分の山行および県の短報等を参考に予想

現在の社会情勢下において、首都圏に近い山岳地帯では「紅葉の見どころ」と「混雑」を気にしながら計画を立てる方もいらっしゃると思いますが、難易度も含めエリアごとの特徴が異なるため自分やグループの登山に対するスキル・経験を加味しながら計画を立てる必要があります。

東丹沢(大山編):おなじみ大山の厳選3コースを紹介

(PIXTA)

大山・おおやま(1,252m)

関東平野からも美しい三角形の山としてランドマークになっている東丹沢の主要な峰の一つで、国定公園内のスポットとしては最も人気のあるエリアです。

大衆向けの登山の歴史としては江戸時代の信仰登山「大山詣り」までさかのぼり、特に夏季は「富士講」の信仰登山ルートとして、江戸→富士山→大山→江戸と富士信仰登山とセットにされるケースが多かったとの研究結果もあります。

令和現在は開発も進み、ケーブルカー駅周辺での参道散策や大山阿夫利神社(下社)の参詣、ライトアップされた紅葉鑑賞といった観光のみでも十分に楽しむことができます。

秋の大山阿夫利神社(下社)

大山への基本的なアクセス

大山の登山口は伊勢原市側の最もメジャーな大山阿夫利(あふり)神社を経由する大山ケーブル口に加え、日向薬師(ひなたやくし)、厚木市側の広沢寺温泉(こうたくじおんせん)、秦野市側の蓑毛(みのげ)からの裏参道、表丹沢・塔ノ岳方面の登山口ともなっているヤビツ峠など複数の登山口が存在し、各登山口まではマイカー(蓑毛除く)・公共交通機関の両方でのアクセスが可能です。

見どころの多い大山ケーブル口からの表参道への集中が終日ともに顕著で、次に午前中を中心にヤビツ峠から山頂方面の通称「イタツミ尾根線」が混雑する傾向にあります。

大山秋季混雑予想マップ

〔大山地区〕登山道別・秋季混雑予想マップ:ヤマプラに加筆

ベテランコースに迷い込まないように注意

山域に足をよく運ぶ方の中には、比較的空いている蓑毛、日向薬師、広沢寺温泉(不動尻)などの登山口を組み合わせ、混雑を回避している登山者もいます。

また、大山周辺にはいわゆる「破線ルート」とされる、読図を伴う熟達者向けの不明瞭なトレースが多数存在するので、迷い込まないよう注意しましょう。

【大山のメジャールート】ケーブルカーでも登山でも登頂可能!

江戸時代の信仰登山に由来を持つ、大山登山のでのフラッグシップルートです。

令和現在の登山では大山ケーブルカーの終点「阿夫利神社駅」もしくは、標高300m下にあるバスターミナルから女坂・男坂を経由して「阿夫利神社駅」へ至るコースで、秋季は登山者で大変にぎわいます。

表参道の入口「こま参道」(PIXTA)

中腹の登拝門からは「1丁目」~「28丁目」までの石杭が登山道脇に打たれており、山頂までの大まかな位置を確認することができる。山頂には「阿夫利神社・奥の院」が鎮座。

「阿夫利神社駅」付近から大山の中腹を巻き、日向薬師方面からの登山道と合流する「見晴台」経由で東の肩を登っていく周回コースも人気です。

(PIXTA)

紅葉箇所は秦野・蓑毛からの裏参道が合流する「16丁目」より上部の標高1,000m付近より高いエリア、あるいは11月中旬~下旬に毎年ライトアップされる大山ケーブルカーの「阿夫利神社・下社周辺」「大山寺」周辺が有名です。

中腹は、杉の大木が優勢となり紅葉箇所はそう多くはないですが、古道ならではの厳かな雰囲気が味わえます。

登山者で賑わう日中の表参道

アクセス方法

公共交通機関(電車・バス)

小田急伊勢原駅が起点となります。

数年前までの過度な集中は若干緩和されているが、それでも1日数千人の来訪者がおり、バスやケーブルカーの乗車で30分以上の乗車待ちが11月を中心に発生する日もあります。

バス・ケーブルカーはいずれも土日祝を中心に臨時便が設定され、約5分程度の間隔で運行となります。

マイカー

(PIXTA)

大山ケーブル口付近には市営駐車場2か所のほか民間経営の駐車場が点在しており、過去には日中は駐車場待ちで2㎞以上の渋滞が11月を中心に発生する日もあります。

満車の場合は、市街地側に下った大山小学校ほか数カ所に臨時駐車場が設けられることもあり、シャトルバス等の利用で大山方面へのアクセスが可能です。

公共交通は優先通行なため、満車の場合は公共交通機関をご検討ください。

ここもポイント! 

(PIXTA)

新東名高速「伊勢原大山IC」が昨年開通。登山口周辺までマイカーで約10分とアクセスが大幅に向上。中腹付近の紅葉のピーク(11月中旬からの2週間程度)期間中は、夜間の紅葉ライトアップが実施される。

グルメ

勇気のある山男・登山女子は是非大盛をお試しを。外の情報だけでは真実が分からない典型例。

入浴

紅葉シーズンの土休日を中心に、大山ケーブル~鶴巻温泉駅への直通バスが毎時1本程度運行され、直接の乗り入れが可能となった。詳細はバス会社(神奈川中央交通)webサイトで。

大山ライトアップ(PIXTA)

【ヤビツ峠ルート】混雑を避けるならヤビツ峠から!

標高約761mのヤビツ峠までバス・マイカーでアクセスし、大山の西の肩をつくっているイタツミ尾根を登るコースです。

大山までの単純標高差は約500mと初心者を含め老若男女、無理なく楽しむことができ総じて植林帯も表参道方面に比べて少なく、スタートから比較的黄葉・紅葉スポットとなります。

休憩用のベンチも随所に設置されており、空気が澄んだ日には相模湾や伊豆諸島を望むことができる。

高山に届かぬ山地帯ならではの植生;丹沢の紅葉&黄葉

朝は秦野駅からのバス到着に合わせ、ヤビツ峠8時~10時前の出発がピーク時間帯となります。

午後はヤビツ峠のバス便数が少ないことを敬遠し、メインルートの表参道方面に下山が流れる傾向にあることから、イタツミ尾根コースの混雑は幾分緩和される傾向にあります。

ヤビツ峠;バスが乗入された反面、今は歴史上の建物となった三ノ塔山荘(現在は避難小屋)などが廃業となった

アクセス方法

秦野駅からのバスは7時~9時の間に毎時1~2便で、繁忙期には増発便が運行されています。

丹沢表尾根方面の登山者と同じバスに乗ることから、それでも乗車までの待ち時間が発生する日があるので、余裕を持った登山計画が必要となります。
下山時のバスは1時間に1本程度と少ない。マイカーはヤビツ峠駐車場に駐車することになるが、早朝からすでに満車になる日もあります。

ここもポイント!

丹沢(塔ノ岳)を水源とする水無川が秦野市街を貫く(PIXTA)

2021年3月下旬に、ヤビツ峠新レストハウスが新たにOPEN。

軽食提供や売店も併設されているので、下山後のバス待ち時間など、紅葉を鑑賞しながら峠でのひと時を過ごすのはいかがでしょうか?

標高761mの新オアシス、ハイカーのみならず、自転車愛好家、バイカーなどで賑わう

広沢寺温泉からのルート】静かな登山を楽しみたいなら広沢寺温泉からもオススメ!

七沢温泉郷の一角である大山東麓の厚木・広沢寺温泉から不動尻(ふどうじり)経由で大山山頂を目指すルートです。

秦野市側のヤビツ峠や伊勢原市側の大山ケーブル・表参道ルートよりも登山者は少なく、比較的静かな山歩きができ、下山後の入浴・食事にも困らないでしょう。

登山口から不動尻までの前半は舗装された植林帯の林道を歩くため紅葉箇所は少ないが、途中にはライト必須の「山神トンネル(通過約5分)」など、グループ登山では盛り上がれる場所もあります。

山神隧道(ずいどう)先、不動尻より静かな山歩き 

不動尻からは登山道となり、途中の唐沢峠にはベンチ等休憩箇所もあります。

唐沢峠付近から先は紅葉箇所も多く右手大山側の展望も良いです。

山頂まで約30分のところで、見晴台・日向薬師方面からの登山道と合流し一気に賑やかになります。

単独行も、時として内省の時間となり明日からの活力となる

アクセス方法

小田急線本厚木駅(厚木バスセンター)より「七沢行」で広沢寺温泉入口下車、もしくは「広沢寺温泉行」で終点下車。
バスは1時間に1便程度。マイカーの場合、七沢観光協会の広沢寺前駐車場(無料)に駐車することができます。

ここもポイント!

入浴

広沢寺温泉を含む七沢温泉郷は数件の旅館がひっそりとたたずむ、アルカリ性の泉質が自慢の温泉。日帰り入浴も可能です。

グルメ

冷える紅葉の時期には、下山後あの暖かい食べ物が欲しくなりますよね。姉妹店AFURIは都内にも店舗を構えています。

ZUND BAR(〒243-0121 神奈川県厚木市七沢1954−7) : AFURI

まとめ

古くから「大山詣り」として江戸から徒歩で参詣する際、当時の人々は東京・赤坂を起点とする「青山通り・大山街道」(現在の国道246号線にほぼ相当)を下ってきていました。

渋谷駅付近の青山通り・大山街道(PIXTA)

沿線の賑わいからは想像できないですが、「徒歩が自動車→鉄道」、「信仰登山→余暇としての近代登山」に変わったものの、400年以上にわたり大山登山の文化は登山者一人ひとりの想いで継承されています。

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