登山靴、安く済ませられない?
登山用品3種の神器の中の1つ登山靴ですが、「いざ買おうと思うと値段が高くてなかなか買えない」、「これから登山続けるかも分からないのに高いお金出して買う必要ある?」と思われている方も多いのではないでしょうか?
高コスパで話題のワークマンで登山に使えそうな靴を発見したので、実際に山で使っても問題ないのか検証してみます。
ワークマンの高耐久アクティブハイクが使える予感
ワークマンで発見したのは「高耐久アクティブハイク」という靴。
お値段はなんと¥1,900(税込み)なんです。
「いくら登山靴を安く済ませたいとは言え、ここまで安いとちょっと不安・・・」という方もいらっしゃるのでは?
高耐久アクティブハイクの特徴に迫り、登山靴との比較をしていきます。
特徴①ソールの作り
ソールは写真のように細かいブロックが全面に配置されています。
アプローチシューズとして使用している5.10のガイドテニーと比べると、アクティブハイクも同じようにグリップ力を持たせるためのブロックが間隔を開けて配置されているのが分かります。
こちらワークマンのアーバンハイクというキャンプやタウンユース向けの靴なのですが、凹凸の少ないブロックがソール全面に配置されており、上の2足と比べてみると一目瞭然です。
またソールの柔らかさですが、登山靴や5.10のアプローチシューズと比べるとかなり柔らかいです。
アーバンハイクよりは少し硬さがあるかなという印象ですね。
特徴②アッパーの素材
アッパーにはSplaTECHいうワークマン独自の耐久撥水加工が施されており、多少の雨でも安心です。
柔らかいアッパーということもあり、本革の登山靴と比べると履き心地はかなり柔らかいです。
タグに書いてありますが、JIS法で50回洗濯後3級レベルの撥水性能が付いているんですね。
JIS法の撥水テストでは5級が一番撥水性能が高く、数値が1に近づくほど撥水性能は悪くなります。
アウトドアブランドレベルだと洗濯後4級が求められるレベルですが、ワークマンのこの安さで50回洗濯後3級をクリアしてるのはすごいことだと思います。
ちなみに撥水性を見るために水を垂らしてみたところ、動画のようにアッパー部分はよく水を弾きますがタン部分に撥水性能はなく、水は染み込んできました。
特徴③靴ひも
靴ひもはつま先近くから足首部分まで甲の広い部分に配置されています。
これによってフィット感を細かく調節できるようになるんです。
よりフィット感がほしい登山の時はつま先から足首まできつめに締めれば安心ですし、リラックスして履きたいタウンユースやキャンプなどでは靴ひもを緩めにして履くことができます。
またシューレースは細めのものが使用されているため、耐久性がやや不安なものの、素早くフィットさせられる結びやすさがあります。
特徴④タンの作り
タンはガゼットタンという作りになっており、小石や砂利などが靴の中に入り込みにくくなっています。
アウトドアブランドの登山靴と同じような作りになっているため、ワークマンの作りこみが伺えるポイントです。
またタンの素材にはcorduraナイロンが使用されているので耐久性にも優れます。
アクティブハイクと登山靴を比較
ワークマンのアクティブハイクと同じくワークマンのアーバンハイク、登山靴メーカーであるキャラバンのC1-02Sを比較していきます。
アッパーの素材
ワークマンのアーバンハイクはレザーライクな見た目のポリウレタン素材が使われています。
アクティブハイクにも同じくポリウレタンが使われていますが、ポリエステルも使用されています。
こちらの方がスポーティな見た目ですね。
どちらも耐久撥水加工が施されており、ワークマン公式サイトによると雨や泥も弾くとされています。
一方キャラバンのC1-02Sは合成皮革とメッシュ地のポリエステルが使用されており、適度な剛性と通気性に優れます。
またGORE-TEXのメンブレンも使用されているので、耐水性・透湿性共に抜群です。
アッパーに関してはやはり登山靴に軍配が上がりますが、お値段を考えるとワークマンの靴にGORE-TEXは使用できないのでこれは仕方ないです。
靴ひもの締め込み具合
3足ともつま先近くから足首近くまで甲の広い範囲に靴ひもが配置されており、フィット感の調節はしやすいです。
アーバンハイクは太めの丸紐で締め込むときに、紐同士の摩擦によって締め込みにくいような感じがあります。
アクティブハイクは細めの丸紐になっており、サッと締め込むことができました。
この締め込みやすさはお値段以上だと思います。
C1-02Sは平紐を採用しており、さすが登山靴という具合で締めれば締めただけキッチリ足をホールドしてくれる感覚があります。
靴ひもの締め込みやすさ、フィット感はキャラバンのC1-02Sが群を抜いていますが、アクティブハイクも低山ハイキングに使用するのであれば問題なさそうです。
ラバーカップの範囲
ラバーカップとは登山靴でよく見るつま先のこのゴムの部分のことを指します。(写真赤丸)
ラバーカップがあることによって岩などの固いものからつま先を保護してくれるんです。
キャラバンのC1-02Sは登山靴ということもあり、ラバーカップはしっかりついています。
一方ワークマンのアクティブハイクはラバーのようなもので甲周りが覆われてはいますが、登山靴ほどの硬さはありません。
そのため岩などでつま先をぶつけてしまったときはかなり痛いと思います。
ワークマンのアーバンハイクに至ってはラバーカップは一切ないので山で履くのはオススメできません。
ソールの柔らかさ
岩に足をかけて体重移動をした時にどれぐらいソールが曲がるのかを検証します。
まずワークマンのアーバンハイクから行ってみましょう。
岩に乗ろうと体重をかけた時にグニャッと曲がっているのが分かりますね。
続いて同じくワークマンのアクティブハイクを見てみましょう。
アーバンハイクほどではないですが、ソールはやや曲がっていますね。
最後にキャラバンのC1-02Sを検証します。
3足比較してみると、登山靴としての用途で作られているキャラバンの靴が1番ソールの曲がりが少ないですね。
低山ハイキング程度ならアクティブハイクぐらい柔らかくてもあまり問題はないですが、重たい荷物を背負ったり、岩場が多いところを通過するような登山においてはソールが硬いほうが良いんです。
登山で疲れにくい歩き方とされているのは「フラットフッティング」と呼ばれるベタ足で歩く方法です。
お尻やハムストリングスなど大きい筋肉を使って歩くことができるため、ふくらはぎの筋肉だけを使って歩くよりも疲れにくくなります。
ソールが硬ければ踵から付いて母指球→つま先へと抜けていく普段の歩き方がしにくくなり、必然的にベタ足で歩くことを意識できるようになるんです。
また岩場や木の根っ子などに足をかけた時に、ソールが柔らかければ体重をかけきれずにスムーズな体重移動がしにくくなります。
その反面ソールが硬ければしっかりと体重をかけて乗り込んでも、ソールがしならないことによりスムーズな体重移動ができるんです。
実際にアクティブハイクを山で使って検証
今回は六甲山の風吹岩で実験してきました。
ルート的には岩場と砂地が入り混じったようなところです。
岩場ではアクティブハイクのソールが柔らかいこともあり、登山靴と同じような足運びだと歩きにくく感じました。
足場が小さいところだと登山靴なら爪先で乗って体重移動だけで通過できるようなところでも、アクティブハイクで同じようなところに立とうとするとやや立ち込みにくい感じです。
ソールが柔らかいことのデメリットをここで痛感しました。
砂道は細かい砂利に足を取られやすいのですが、スリップする心配はなく思っていたより快適に歩けました。
グリップ力はそれなりにある感じです。
またガゼットタンのおかげで靴の中に砂利が入り込んでくることもなかったです。
このお値段で砂利が入ってこないのはかなり嬉しいですね。
下りで岩場を通過するところがあったのですがこの時もやはりソールが曲がるため、ちゃんと足場を決めきれているのか不安感はありました。
岩場や木の根っこが多いようなルートだと慣れていない方は捻挫してしまう懸念があると思います。
ですが砂道でのグリップ力は思いの外あったので、低山ハイキングでは十分使えそうです!
結論:高耐久アクティブハイクは低山ハイキングなら使えそう
ワークマンのアクティブハイクはソールのブロックパターンやタンの作り、耐久撥水加工が施されたアッパーなど¥1,900(税込み)とは思えないスペックになっています。
比較的整備された道(上高地ハイキングや高尾山ハイキングなど)であれば十分使用できるスペックだと思います。
ですがソールの柔らかさやローカットであるという点から、岩場や木の根が多い登山道での使用はオススメしません。
もちろん富士登山やアルプス登山などに履いていくのは絶対にやめましょう。危険です。
「登山が趣味として続くかどうかは分からないけど、まずは低山ハイキングから初めてみたい!」という方にワークマンの高耐久アクティブハイクはオススメの一足です。