ワークマンのレインウェアって実際どうなの?
「コスパが高い!」と大人気のワークマンですが、レインウェアの品ぞろえも多いです。
アウトドアブランドのレインウェアと比べると、上下セットを買っても値段は半分以下で済むという激安価格で販売されています。
ですが登山で使うレインウェアとなると、いくら安くても「スペックは大丈夫なの?」と不安になりますよね。
ワークマンの大人気レインウェアを着て実際に山で検証してきました。
レインウェアを選ぶときに注目すべきポイント3つ
耐水圧
耐水圧とはどの程度の水圧まで耐えられるかを数値化したものです。
傘の耐水圧は250~500mmとされています。
ですが身体に直接身に着けるレインウェアであれば、より高い耐水圧が必要になります。
アウトドアブランドのエントリーモデルと呼ばれる初心者向けのレインウェアは耐水圧20,000mmが標準スペックです。
登山用のレインウェアを選ぶときには、耐水圧20,000mm以上の物を選ぶようにしましょう。
透湿性
透湿性は蒸れにくさを数値で表したものです。
数値が高ければ高いほど、レインウェアの生地がウェア内の蒸れを出す力が強くなります。
アウトドアブランドのエントリーモデルでは15,000g/㎡/24hrsが標準です。
Gore-texを使ったレインウェアになれば透湿性は30,000gを超えるものがザラですが、「数値が高い=蒸れない」というわけではありません。
ウェア外部と内部の湿度差が生じたときに初めて透湿性能が機能し始め、透湿防水フィルムがウェア内部の水蒸気を外に放出してくれます。
湿度差が生じるまではGore-texであっても蒸れるため、過信しすぎは禁物です。
収納性
レインウェアは雨や強風に備えて持って行くものなので、雨が降っていなければバックパックの中に閉まっているものですよね。
そこで大事なのが収納性になってきます。
小さくコンパクトにまとまるものであれば、バックパックの中に入れておいても邪魔になりません。
メーカーによっては収納袋が付いていないものもあるので、購入前にしっかり確認することが大切です。
ワークマンのINAREMストレッチレインスーツを紹介
INAREMストレッチレインスーツはメンズとレディースでモデルが分かれています。
製品の仕様はまったく同じです。
上下セットで¥4,900と破格の安さで、アウトドアブランドのエントリーモデルと比較しても半分以下の値段で買えてしまいます。
メンズモデルはSサイズから展開されているので、身長160cm前後の女性であればメンズモデルからも選ぶことができますね。
価格 | ¥4,900(税込み) 上下セット |
サイズ展開 | S, M, L, LL, 3L |
色展開 | 4色(ベージュ, ブラック, オレンジ, オリーブ) |
耐水圧/透湿 | 20,000mm / 25,000g/m2/24hrs |
素材 | 3レイヤー ポリエステル100% |
管理番号 | 68516 |
仕様は先に述べた通りメンズと同じです。
カラーバリエーションは女性らしいペールピンクやラベンダーが展開されており、華やかな印象があります。
サイズ展開はMサイズからなので、身長が低い女性だとサイズが合わないかもしれません。
価格 | ¥4,900(税込み) 上下セット |
サイズ展開 | M, L, LL |
色展開 | 3色(ベージュ, ピンク, パープル) |
耐水圧/透湿 | 20,000mm / 25,000g/m2/24hrs |
素材 | 3レイヤー ポリエステル100% |
管理番号 | 44842 |
INAREMレインスーツのおすすめポイント
アウトドアスペックの耐水性と透湿性
ワークマン独自の透湿防水素材INAREMを採用しており、耐水圧は20,000mm、透湿は25,000g/㎡/24hrsとアウトドアブランドと比べても遜色ないスペックになっています。
ちなみにモンベルの独自素材DRYTECを使用した3レイヤー構造のサンダーパスジャケットは耐水圧20,000mm、透湿は15,000g/㎡/24hrsです。
数値だけ見るとなんとINAREMの方が透湿性能は高いのです。
3レイヤー構造になっているので、Tシャツの上に羽織る場合でもベタツキにくく、袖通りも良くなっています。
また縫製も縫い目の頂点が肩に来ないラグランスリーブになっており、縫い目からの浸水も予防されているんです。
柔らかくしなやかな着心地
一般的に3レイヤー構造のレインウェアだと硬くゴワゴワする着心地になりがちです。
ですがワークマンのINAREMレインスーツはそれに反して柔らかくしなやかな着心地になっています。
カサカサ感も少なく、生地自体にストレッチも効いているので動きやすさは抜群です。
腕部分の縫製パターンはラグランスリーブになっており、腕の上げ下げもしやすいんです。
INAREMレインスーツの残念なポイント
収納サイズの大きさ
収納袋は付いていますが、サイズが大きいです。
モンベルのレインウェアに付いている袋と比べてみると1.5倍ぐらいの違いがあります。
できるだけ荷物をコンパクトに携行したい登山で、この大きさだと結構嵩張ってしまいます。
生地自体が割と分厚いため、これ以上コンパクトに収納するのは難しそうです。
パンツの裾にジッパーがない
ワークマンのレインパンツは裾にジッパーが付いていません。
裾が開かないと登山靴を履いたままレインパンツを履くのはかなり困難です。
手間ですが一旦靴を脱ぐか、無理やり靴を履いたまま履くことになります。
もし「パンツの中が泥で汚れてしまうのが嫌」という場合は、ビニール袋を一旦登山靴の上にかぶせてそのままパンツを履くと中が汚れません。
とは言え裾が開けば楽に脱ぎ履きできるので、ここは改善してほしいポイントですね。
撥水性を検証
レインウェアは耐水圧・透湿性能が重要ですが、同じぐらい撥水性能も重要です。
どんなに耐水圧・透湿性能の数値が高くても、撥水が効いていなければ水が生地表面に付着し続けることにより、身体に濡れた生地が当たり続けて「冷たい」と感じてしまいます。
今回は強い雨ぐらいの水滴が当たる距離で滝に打たれて検証しました。
まずジャケットを10秒ほど当ててみます。
しっかり水を弾いてくれていますが、一部色が変わって濡れてしまっている部分もありますね。
続いてパンツを確認します。
水は玉になって転がってくれていて、手でサッと払うと落ちていくのが分かります。
ですがこちらもジャケットと同様、ところどころ色が変わって濡れているように見えるところもありますね。
続いて5分間水滴が当たるぐらいの距離で検証してみましょう。
ジャケットは5分間水に当てた方が、全体的に濡れていることが分かります。
パンツも水滴がかなり残っています。
ジャケット・パンツ共に4分ほど当てていると表の生地が濡れてきて肌に当たり、冷たさを感じました。
木のない稜線上で長時間雨に打たれていると、表の生地が濡れてきて肌面も冷たさを感じてしまう可能性が高いです。
2,000m以上の森林限界を超える場所でINAREMレインウェアを着ることはオススメしません。
山に登って着心地を検証
シルエットはややゆったりしており、後ろの丈が長いデザインです。
ポケットはジャケットの胸に1か所、腰部分に2か所の計3か所付いています。
ちなみにパンツにはポケットは付いていません。
胸部分は止水ジッパーになっているので、水の侵入を防いでくれます。
腰部分のポケットは止水ジッパーにはなっていませんが、2重のフラップによって雨の侵入をガードしてくれます。
袖はアルパインカフ仕様になっていて、マジックテープで絞り具合を調節することが可能です。
裾はゴムになっていて、自然に身体にフィットするような作りです。
ですがドローコードは付いていないので風の強い稜線上で着たり、ゴムが緩んできたりすると裾がバタつく可能性があります。
フードは顔部分が広く開いています。
視界は良いのですがドローコードが付いていないため締められず、雨風の強い日は顔に雨粒がたたきつけるようなことになるでしょう。
今回は六甲山系の地獄谷を歩いて検証してきました。
ジャケットはストレッチの効いた生地と縫製パターンのおかげで肩回りのツッパリ感もなく、岩を登る場面でもスムーズに歩けました。
パンツも膝のツッパリ感は感じず、ストレスなく履くことができます。
ジャケット・パンツ共に裏面は3層構造になっているので袖通りも良く、汗をかいた肌面に直接着てもベタツキは感じず快適です。
また表の生地が柔らかいので、3レイヤー構造のウェアにありがちなゴワゴワ感もなく、着心地はかなり良かったです。
ただし先述の通り、耐水圧・透湿性能はアウトドアスペックですが、撥水性能がとても高いわけではなさそうです。
またフードや裾にドローコードが付いていないことも考えると、夏山高山に使うことはオススメしません。
ですが登山を始められたばかりで低山しか登らないという方にはコスパも高いので、オススメのレインウェアです。
ワークマンのINAREMレインは低山登山におすすめ
ワークマンのINAREMストレッチレインスーツは細かなギミックや生地の撥水性能にやや懸念があるため、標高2,000mを超えるような高山での使用はオススメしません。
ですがアウトドアスペックの耐水圧・透湿性能に加え、ストレッチの効いた3層構造の生地、柔らかくしなやかな着心地はレインウェアとは思えない快適性でした。
上下セットで¥4,900と破格のお値段なので、夏山デビューをされる方は試してみる価値アリの逸品です。