登山計画しっかり立ててる?
「山に行こう!」と思ったとき、あなたは登山計画を立てていますか?
登山計画を立てずに何となくスタート時間を決めて山に登ったとき、もし途中でトラブルが起こったら冷静に対処して、安全に下山できるでしょうか?
しっかり登山計画を立てておくと、もし何か事故が起きたときに冷静に対処できます。
登山計画を立てる手順とコツを解説します。
登山計画のやり方を身に付けて、安全に登山を楽しめるようにしましょう。
登山計画を立てるときの4つのステップ
登る山とコースを決める
まずは登る山とコースを決めましょう。
登る山は自分が登ってみたい山や、見たい景色からいくつか選んでみましょう。
だいたいピックアップできたら、登山地図やアプリでコースタイムを確認します。
自分の体力度に応じてコースを選定し、体力に余裕をもって登れそうな山を選ぶのがポイントです。
体力に不安がある方は、まずは3時間前後で登れるコースを選んでみましょう。
山歩きに慣れてきたら、5時間前後のコースにチャレンジしても良いですね。
低山に慣れてきたのでアルプス縦走を目指す方は、6~8時間のコースを歩くと良い練習になります。
コースを決めるときの注意ポイント
- 選んだコースは自分の体力に余裕をもって歩ける?
- 鎖場、崩落個所など危険個所はない?
- 道に迷いやすい場所は通る?
入山時刻と下山時刻を設定する
コースを決めたら入山時刻と下山時刻を設定します。
このときまず下山時刻を先に設定するのがポイントです。
日帰り登山の場合は、日没時刻から2時間の余裕をもって下山できると安心です。
公共交通機関でアクセスしているなら、その下山時刻でバスや電車に間に合うかもチェックしておきましょう。
テント泊・小屋泊で縦走する場合は、15時までに宿泊地に着くよう計画しておくと安心です。
高山は午後から天気が崩れやすくなるので、天候悪化の前に安全な場所に着いておくようにするためです。
下山時刻が決まったら、コースタイムに休憩時間を足し、その時間分逆算して入山時刻を設定します。
例えば下山時刻を15時に設定して、コースタイム5時間+休憩1時間=6時間かかるとしましょう。
この場合9時にはスタートできるように、登山口に着いておく必要があります。
入山時刻と下山時刻を決めるときの注意ポイント
- まずは下山時刻を決める
- 基本は早出早着
- 日没までに余裕をもって下山できる?
エスケープルートを考える
意外と見落としがちなのがエスケープルートの設定です。
エスケープルートは、緊急時に使うルートです。
元々決めていたルートが途中崩落していて通れなかった時や、途中で体調や天候が悪くなった時に使いましょう。
エスケープルートを決めるときの基準は、早く安全に最寄りの車道に降りれるかどうかです。
全体の登山ルートを分割して、A地点~B地点で下山を決めたら引き返す、B地点~C地点の間ならこのルートを使うというように決めておくと安心です。
単純にコースタイムの短さだけを見て決めるのではなく、ルートの状況も考慮に入れましょう。
例えば初心者の方なら3点支持が必要な岩稜帯を降りるより、少しコースタイムは長くても緩やかな下り坂の方が安全に降りられます。
エスケープルートはコースタイムと、ルート状況の2つを考えて設定しましょう。
エスケープルートを決めるときの注意ポイント
- そのエスケープルートに危険個所はなく、安全に下山できる?
- 下山したところはタクシーや救急車を呼べるところ?もしくは自力で駅やバス停に行ける?
登山計画を作って提出
ここまで計画を立てたら、登山計画書を作りましょう。
ルートだけでなく、山に行くメンバー全員の氏名、住所、連絡先、緊急連絡先を提出する必要があります。
登山口に紙で作った登山届を提出する登山ポストがあるので、そこで提出しても大丈夫です。
ですが事前に作って登山メンバーだけでなく、緊急連絡先に入っている家族やパートナーにも渡しておくと万が一の時に安心です。
今はアプリで簡単に登山計画から計画書の作成・提出までできるようになっています。
アプリを上手く活用して、登山メンバーと帰宅を待つ家族に共有しておきましょう。
エスケープルートを決めるときの注意ポイント
- 登山メンバー以外に、緊急連絡先の人にも共有できている?
- 遭難してしまった場合、捜索隊が分かりやすいように行動予定は詳細に書いてある?
登山計画作りに便利なアプリ3つを紹介
YAMAP
初めて登山地図アプリを使う方はYAMAPがおすすめです。
日本で一番ダウンロード数が多い登山アプリで、その分得られる情報が多いです。
無料プランでも十分使えるので、登山初心者の方も気軽に始められます。
登山計画を立てるときは、行きたい山の地図を表示して調べる以外に、他のユーザーの活動記録から調べることも可能です。
ユーザー数が多いことが利点となり、他のアプリより多くの活動記録を見られるんです。
登る山を決めたら地図をダウンロードして、ルートをなぞって入山時間を決めるだけで登山計画ができてしまいます。
一緒に行くユーザーがYAMAPを使っていれば、そのままシェアが可能です。
ネット上で登山計画書の提出が完結でき、アルプスや関東の山など人気山岳エリアの山岳救助隊にも万が一の時に共有されます。
簡単に登山計画が立てられて、万が一の時には救助隊が登山計画書を見られるので、スマートフォンに入れておいて損はないアプリです。
山と高原地図アプリ
ロングセラーの登山地図「山と高原地図」にはアプリもあるんです。
「山と高原地図」の紙地図を見慣れている人にとっては、使いやすいでしょう。
登山計画を立てるときには、見慣れた「山と高原地図」の地図をアプリ上で見ながら計画ができます。
YAMAPと違う点は地図に書かれた情報は、その山域に精通したプロが書いているということです。
YAMAPは他の登山者が寄せた情報を見られますが、「山と高原地図アプリ」では地図の執筆者が入念に調査した情報が掲載されています。
「山と高原地図アプリ」では登山地図をダウンロードして、実際に登山でGPS機能を使うことは無料でできます。
ですがYAMAPと違って、アプリから登山計画書を出す場合にはサブスクサービスに課金する必要があります。
登山頻度が高く、紙の「山と高原地図」に慣れている方は、サブスクに加入して使うと便利なアプリでしょう。
コンパス
コンパスもYAMAPや「山と高原地図アプリ」のように、地図をダウンロードして登山計画を作成できるアプリです。
登山中はGPS機能で現在地の把握もできます。
コンパスは日本山岳会をはじめ、4つの山岳系の団体が所属する「山岳安全対策ネットワーク協議会」の一員として、安全登山を呼び掛けています。
その一環として信州や山梨など人気登山エリアの山岳救助隊との関わりがあり、万が一の時にコンパス上で提出した登山計画書を手掛かりにして捜索できる体制を整えているんです。
先ほど紹介した2つのアプリに比べて、連携している山岳会や救助隊が多いのが特徴です。
登山計画を立てるときには、おすすめルートが表示されるので登山初心者の方でも気軽に計画が立てられます。
コンパス一番のポイントは、確実に下山通知をさせることです。
下山通知をすることでコンパスのサーバーと、緊急連絡先にも下山したことが通知されます。
下山予定時刻を過ぎても下山通知がされず、下山通知督促メールが届いてからも通知が来なければ、緊急連絡先の家族や友人に「下山していない」と連絡がいきます。
もし遭難してしまった場合、いち早く対策ができるようなネットワークが構築されている地図アプリです。
アプリの比較
サブスク金額 | 無料でできること | 有料でできること | |
YAMAP | 780円/月 5700円/年 | ・地図の閲覧とダウンロード ・登山計画書の作成と提出 ・山行中のGPSによる現在地確認 ・ルートの記録 | ・登山地図使い放題 ・詳細な天気予報の閲覧 ・地図作成のリクエスト ・ルート外れ警告 など計19機能 |
山と高原地図アプリ | 500円/月 4800円/年 | ・地図の閲覧とダウンロード ・山行中のGPSによる現在地確認 ・ルートの記録 | 登山計画の作成 |
コンパス | 480円/月 3300円/年 | ・地図の閲覧とダウンロード ・登山計画の作成と提出 ・ルートの記録 ・下山通知 | ・地点気象予報の閲覧 ・山行中のナビゲーション ・登山記録 など計10機能 |
登山計画をしっかり立てて安全登山を楽しもう
登山計画を作るときの手順と注意すべきポイントを解説しました。
技術の発達により、地図からだけでなく実際に山に登った人からも情報を得られるようになりました。
山に行く前にしっかりと危険な箇所がないか、自分の体力度でも登れるのかを調べておくと安心です。
安全で楽しい登山に、事前の計画は欠かせません。
しっかりと計画を立てて、家族や友人と共有して登山に出掛けてくださいね。