山梨県に位置する小金沢山稜。日本百名山として知られる大菩薩嶺の南側にあり、笹原から見る稜線の眺望に加え、静かなエリアの中で山々を繋ぐ縦走登山が味わえる場所としても人知れず知られています。
この隠れた人気エリアの中には日本一長い山として知られる牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)があり、その個性的な名前だけでなく、同山稜の魅力を感じられる山としておすすめです。
今回は牛奥ノ雁ヶ腹摺山と、山稜の主峰、小金沢山を歩くコースをご紹介します。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山とは
標高1,990m、山梨県大月市と甲州市の堺に位置するのが牛奥ノ雁ヶ腹摺山です。
名前の長さもさることながら、どこか個性を感じる名前の同山頂。その由来は、雁が腹を擦りそうなほど高い山という意味で名付けられたとされています。
雁ヶ腹摺山という名は牛奥ノ雁ヶ腹摺山の他にも2座あり、笹子雁ヶ原摺山(ささごがんがはらすりやま)と雁ヶ原摺山があり、牛奥ノ雁ヶ腹摺山が位置する、大月市や甲州市にあります。また、同じ名を持つ3座の中で最も高い標高にあるのが牛奥ノ雁ヶ腹摺山です。
山頂に至るコースは幾つかあり、北側の大菩薩嶺方面からと、南側の湯ノ沢峠方面、西側のすずらん昆虫館方面などから登ることができます。周辺の山々にも繋げることで長大な縦走登山も可能にできるため、日帰りのみならず1泊2日でも牛奥ノ雁ヶ腹摺山を訪れる方法もあります。
眺望に優れ、広々とした山頂からは周辺の山域を一望でき、大月市が定める秀麗富嶽十二景にも選ばれています。
随所に見える景色と山々を繋ぐ縦走登山等、登山の魅力がコンパクトに楽しみつつ柔軟な登山計画が組める特長を持ったのが、牛奥ノ雁ヶ腹摺山です。
今回のおすすめコース
今回は南側に位置する湯ノ沢峠をスタートし、黒岳・牛奥ノ雁ヶ腹摺山・小金沢山を往復するコースをご紹介します。
本コースは1,652mの湯ノ沢峠までマイカーで上がるので、稜線歩きでアップダウンがある小金沢山まで脚の負担を出来る限り抑えて歩くことができ、稜線歩きとなるので視界が広がる場所も多く、開放感に浸れる場所が随所にあるので気持ちの良い登山に終始できます。
序盤は勾配が急なポイントがあり脚慣らしとしては強烈ですが、白谷ノ丸付近まで来ればそこからは富士山をはじめとした清々しい景色が迎えてくれ、牛奥ノ雁ヶ腹摺山頂までモチベーション高く歩けます。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山の広く落ち着く山頂で一息入れたら、小金沢山まで40分程度。牛奥ノ雁ヶ腹摺山の名が示す2,000m級の眺望をその目やカメラに収めながらのんびり歩きます。
小金沢山は牛奥ノ雁ヶ腹摺山と比較して小ぢんまりとした山頂ですが、山稜の主峰に相応しい静かな存在感があり、奥秩父の甲武信ヶ岳を彷彿とさせます。
全行程5時間20分、休憩込みで日帰りで歩けるので、牛奥ノ雁ヶ腹摺山とその周辺の山々を堪能するコースとしておすすめです。
アクセスとトイレ
登山口の湯ノ沢峠までは国道20号線の景徳院入口より県道218号線を進み、天目山温泉付近から湯ノ沢峠方面に入って行きます。途中大菩薩峠方面との分岐があり、標識通りに湯ノ沢峠方面まで進めば到着です。
景徳院入口から湯ノ沢峠までは車で50分ほどです。
駐車スペースは空いているところに駐めますが、休日は混雑が予測されるので早めの到着がおすすめです。
トイレは湯ノ沢峠にあります。
行程
コースタイム | 体力レベル | 技術レベル |
5時間20分 | ★★☆☆ | ★☆☆☆ |
湯ノ沢峠をスタートします
分岐を左へ
はじめは急勾配が続きます
急勾配区間を終えると視界が開けます
この日の朝は雲が厚かったですが、それでも眺望の良さを感じます
白谷ノ丸。ここを過ぎると一旦樹林帯の稜線を歩きます
静けさが心地良いコースです
あっという間に黒岳
道は続きます
広々とした場所に出て、見上げると登るのが大変そうな傾斜
急傾斜を登り終えると目的地のひとつ、牛奥ノ雁ヶ腹摺山に到着です
復路の天気が好転した時間に撮影。行きでは雪が舞っていました
牛奥ノ雁ヶ腹摺山を過ぎ、小金沢山へ向かいます。
難所もなく歩きやすい区間です
景色もグッドです
小金沢山に到着。山頂は静かで落ち着きます。
景色と山頂時間を堪能したら、来た道を引き返して下山します。ところどころ滑りやすい場所や急勾配があるので、疲労で転倒しないよう注意しましょう
牛奥ノ雁ヶ腹摺山で贅沢な日帰り登山を
牛奥ノ雁ヶ腹摺山は眺望に優れた山で、山頂に至るコースも湯ノ沢峠なら適度な疲労感で楽しめるとして、日帰り登山におすすめです。また牛奥ノ雁ヶ腹摺山を歩く際は小金沢山まで整った登山道で足を伸ばせるので、小金沢山稜の主峰を登頂する達成感と、縦走登山の醍醐味を1日で体感できます。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山に登って、ぜひ日帰り縦走登山を楽しんでみてください。