大崩山は、宮崎県の延岡市にある日本二百名山の1つです。
大崩山(おおくえやま)という山をご存知でしょうか。
近年「祖母・傾国定公園」に指定されたことから登山者が増えましたが、深田久弥が「日本百名山」を連載していた頃は、人類の未踏の地の場所でした。
そのため、他の山に比べ、ルートの整備などがあまりされておらず、迫力満点の山の形も相まって「九州最後の秘境」と呼ばれています。
本記事では、そんな九州最後の秘境、大崩山の登山ルートを紹介します。
大崩山(おおくえやま)とは?
大崩山は、宮崎県延岡市の北西部にある山で、「日本二百名山」、「九州百名山」に選ばれている山です。
九州では阿蘇山や霧島連峰をはじめとして火山性の山が多い中で、大崩山系は花崗岩から成り、東側の花崗岩が崩れた様に風化していることから、大崩山と呼ばれるようになりました。
切り立った岩場がとても多いことから、ロッククライミングや冬のアイスクライミングに大人気のスポットとして近年注目されています。
山は昔から信仰の対象とされ、宗教的な祠や仏像などの人工物があることが多いですが、この山には全くその様なものがなく、昔から人が立ち入っていなかったことがわかります。
そんな大崩山も1965年に祖母傾国定公園に指定され、徐々に登山者が増えました。
さらに、2017年にはユネスコの生物圏保存地域「エコパーク」に指定されたことから、多少はルートや標識も整備され、以前に比べれば登りやすくなっています。
しかし、それでも登山道には鎖場や崖のトラバース、ハシゴなどが多く、滑落の危険は高い山となっています。
さらに、花崗岩の山は踏み跡がわかりにくく、遭難に至るケースも少なくないため、上級者向けの山であり、初心者の方が行く場合は必ず上級者の方と一緒に登るべき山となっています。
大崩山のルート紹介
大崩山はハシゴやロープのオンパレードなので、上級者向きの山です。
ルートによっては10時間ほどかかるので、登山ルートも慎重に選ぶ必要があります。
ここでは、そんな大崩山の登山ルートで最も簡単な「鹿川・宇土内谷ルート」と迫力満点の大崩山の魅力を満喫できる「湧塚・坊主尾根ルート」を紹介します。
鹿川・宇土内谷ルート
宇土内登山口ルートは、大崩山の登山ルートで最も難易度が低い登山道で、標高差も少なく、距離も短いため時間があまり時間がかからずに登れる登山道です。
他のルートに比べ圧倒的に危険箇所も少なく、比較的登山経験が少ない方におすすめの登山道です。
その分他のルートに比べ景色が悪く、大崩山のダイナミックな姿を見ることができませんが、代わりに春にはアケボノツツジが咲き誇り、鮮やかな登山ルートを楽しむことができるルートです。
宇土内登山口ルートの登山口は、高千穂町から国道218号を延岡方面に20kmほど進み、県道214号線を進むと鹿川渓谷駐車場に着きます。
そこから林道の砂利道を10kmほど進むと、宇土内登山口に到着します。
高千穂町からの所要時間は2時間弱、林道の道路はかなり狭いので気をつけましょう。
登山口を出てからは、荒れた林道を進みます。
25分ほど歩くと、原生林となります。樹木が少ないために晴れた日であれば明るくて歩きやすいです。
そのまま原生林を1時間強進むと、鹿納山への分岐があります。
そこから少し進むと視界がひらけ、傾山や祖母山を見ることができます。
ここまでくれば10分程度で大崩山の山頂となります。
このルートでは往復5時間程度で登山口まで下山できますが、春のツツジが綺麗な時期や紅葉の時期以外はこれと言って特筆すべきことありません。
このルートを使う場合は、春か秋に登ることをおすすめします。
湧塚・坊主尾根ルート
湧塚・坊主尾根ルートは、大崩山登山口から出発します。
大崩山登山口へはバスが通っていないため、車でのアクセスが必須です。
大崩山登山口からは、森の中の緩やかな道が続きます。
しばらくすると大崩山荘がある場所に出ますが、ここで湧塚尾根ルートとの分岐点になりますので、坊主尾根方面に進みましょう。
少し進むと祝子川に出るので、ここで川を渡ることになるのですが、道がわかりにくいため、迷わない様に気をつけましょう。
また、増水時にはこの川を渡ることができません。
そのため、登山数日前から天候はチェックしておきましょう。
大崩山は花崗岩なので、雨が降るとすぐに水が増水します。
下山時も水が増水していると渡ることができなくなってしまうので、午後の天候も必ずチェックし、登山中に雨が降ってきた場合は必ず引き返すようにしましょう。
川を越えると本格的な登りが始まり、急な上り道が続きます。
40分ほどは森の中を進みますが、その後はハシゴが連続するような道になり、ハシゴの道を抜けると大崩山の切り立った岩壁が見える場所に出ます。
ここからは視界が開け、ゴツゴツした山が常に視界にあるので、景色はとても迫力があります。
しかし、ここからの道は滑落の危険もあるので、景色を楽しむ時は必ず止まるようにしましょう。
片道2時間半〜3時間ほどで大崩山の山頂に到着します。
山頂は木が茂っており、あまり景色はよくないので、写真を撮る場合は、途中のビュースポットで撮っておきましょう。
下山は湧塚尾根ルートから下山すれば、登りの道とは違った迫力満点の岩場の景色を楽しめるのでおすすめです。
ただ、こちらの道もとても道がわかりにくいので、スマホの地図アプリを使うなど、道に迷わないように気をつけましょう。
下山も2時間半〜3時間ほどで下山することができます。
大崩山ではハシゴやロープが多いため、登山する際は必ず手袋を持っていくようにしましょう。
また、いざというときのためにモバイルバッテリーや、多めの水分を持っていくと安心です。
大崩山へは複数人で!
大崩山は、切り立った岩場と綺麗な川が広がっており、まさに秘境といったところです。
その分登山の難易度はかなり高いため、ソロで登山するのはあなり危険です。