【神の宿る山】赤く輝く稲荷神社、神南山(かんなんざん)の登山コース

四国

愛媛県大洲市は伊予の小京都と呼ばれていて、大洲盆地を流れる肱川での観光鵜飼や景勝地「臥龍淵」にある別荘「臥龍山荘」など歴史情緒溢れる城下町です。
その大洲盆地の東にあるのが標高654mの神南山で、この山が1年で一番輝くのが秋の紅葉シーズンです。

<大洲市の神南山>

神南山の麓にある稲荷山公園には稲荷神社境内を含めた緩傾斜地帯に楓が林生しており、秋になると斜面一帯が赤と黄色に染まります。

<稲荷山公園の紅葉>

大手旅行会社の団体ツアーで企画される程の知る人ぞ知る紅葉の名所なのです。
今回、その稲荷山公園を散策しながら神南山の山頂までの登山ルートをご紹介します。

稲荷山公園ルート

コースタイム(往復)体力レベル技術レベル
3時間30分★★☆☆★☆☆☆

稲荷山公園までのアクセス方法

公共交通機関(JR)

  • JR新谷駅から徒歩10分

マイカー

松山自動車道大洲北ICから国道56号線を松山市方面へ。JR新谷駅前交差点を右折して稲荷山公園の看板を目印に進む。

神南山の登山道は2通りありますが、今回は稲荷山公園を散策後山頂を目指すルートをご紹介します。
JR新谷駅から徒歩で山頂まで行く事もできますが、駅は無人駅となっていて特急列車は停車しませんのでご注意下さい。

<JR新谷駅>

マイカーの方は稲荷山公園近くにある駐車場(3か所)を利用しましょう。

<稲荷山公園駐車場>

最初の駐車場を利用すると稲荷山公園へ続く階段を通りますが山頂までは少し距離がありますので、一番奥にある駐車場からだと山頂まで歩く距離が少し短縮されます。

1.稲荷山公園を散策

では山登りする前に稲荷山公園を散策してみましょう。
駐車場横の階段を登ると赤い鳥居が見えてきます。

<稲荷山公園境内>
<稲荷山公園境内>

太陽の光が差し込んでとても幻想的な雰囲気ですよ。
鳥居の先にはお手洗いがあり出店もありますが、紅葉シーズン以外の時はお店は閉まっているようです。
そして奥の稲荷神社へ続く参道の右側一帯が斜面になっていて、ここに楓が密集しているのです。
この日は10月上旬で、1ヶ月後の紅葉シーズンに備えて地元の方が清掃草刈りを行っていました。
緑の楓も十分綺麗なのですが、これが11月になるとこのような感じになります。

<稲荷山公園の紅葉>

参道近くの楓はまだ緑ですが斜面の楓はかなり紅葉していて、太陽の光が当たると更に真っ赤に浮かび上がるのです。
今にもお稲荷様が現れそうな荘厳な気配すら漂っているこの空気をぜひ体感してほしいです。
なおこの稲荷山公園の楓は、約200年前に大洲藩主が参勤の帰途、京都の高雄の苗木を持ち帰り植え付けたと伝えられています。
高雄山の中腹にある神護寺は京都屈指の紅葉の名所となっています。

2.神南山への分岐点を目指す

稲荷山公園を散策したらいよいよ山頂に向かいましょう。

最初は舗装された道ですが、途中から砂利道になります。
ただ道自体はかなり整備されているので、車高の高い車なら頂上近くまで行く事もできそうです。
木々の隙間からは、大洲市新谷地区を望むことができます。

途中にはいくつかの分岐点があって、ハングライダー発車場への道もあります。
山頂への案内看板がありますので、それに従って進んでいきましょう。
登山道周辺は木々が生い茂っていて市街が展望できる個所はほとんどありませんが、途中に咲いているお花に癒されます。

そして1時間程歩くと、左右に分かれる分岐点に差し掛かります。

<神南山分岐点>

左へ行くと五十崎神南山へ行く事ができますが、今回は大洲盆地を展望できる新谷神南山を目指すべく右へ進みましょう。
ここまでで山頂まで残り半分の距離です。


3.新谷神南山山頂へ
整備された砂利道を更に進んでいきます。
少し道は狭くなりますが、ギリギリ車1台通れる程の道幅はあります。
そして途中から急こう配の山道になると山頂に近づいてきた証拠ですよ。

山頂まで残り500mになるとかなりの急坂になるので、滑らないよう慎重に進みましょう。
ちなみに三角点は大きな石の横にあるのですが、展望は全く望めず更に登り坂が続きます。
そのすぐ先には池田亀五郎の洞窟があります。

<神南山の池田亀五郎洞窟>

明治末期にこの大洲周辺を荒らしまわった大泥棒らしく、その名は全国警察年鑑にも見られた程。
警察の捜査の厳しい時はこの洞窟で寝起きしていたと伝わっているようですが、実際は洞窟というより岩の隙間という感じでしょうか。
更に奥へ登ると神南山大権現があって、その先が頂上になります。

<神南山大権現>

頂上からは大洲盆地から肱川を望めて、遠くには瀬戸内海が見えます。

<神南山から大洲市内を望む>

この肱川を山の上から望むとかなり曲がりくねった様子が分かるのですが、秋から冬にかけて大洲盆地に滞留した霧が一気に肱川を経由して海に流れ出る自然現象が発生することがあります。
それが肱川あらしです。

<肱川あらし>

海の河口近くでは風速10m以上の強風になり、最後には海へ扇状に広がる肱川あらしですが、毎日発生する訳ではなく、気象条件があるようです。
肱川河口近くには「肱川あらし展望公園」がありますが、この新谷神南山山頂からでもバッチリ見る事ができそうですね。

4.まとめ

<稲荷山公園の紅葉>

稲荷山公園の紅葉の見ごろは、例年11月中旬から下旬になります。
樹齢200年の老楓など約3000本の楓が赤く染まった稲荷神社の境内を散策すると、秋の風景のすばらしさを堪能できるでしょう。
神南山の山頂からは、大洲盆地から瀬戸内海に流れる肱川の景色を望めます。
低山ゆえに夏場に登るのはあまりお勧めしませんが、秋から冬に移り変わる晴れた日には燃えるような紅色の楓があなたをお待ちしています。