地図アプリ3強と言えば「YAMAP」、「ヤマレコ」、「山と高原地図」の3つですね。
その中で特に比較されるのが、同等のサービスを展開している「YAMAP」と「ヤマレコ」です。
「どちらのアプリを使っても大して変わらない」という印象を持っている方も多いでしょう。
しかしここ最近「YAMAP」が2度にわたりサービス変更を行いました。
一方、地図アプリ、ルートロギングの先駆者であるヤマレコも技術的な改善に取り組んでいます。
本記事では、「YAMAP」と「ヤマレコ」の最近のサービス内容の変更点を解説。
地図アプリの有料会員について考えていきます。
YAMAPの変更点は?
YAMAPは2021年になってから、2度にわたってサービスの内容変更をしました。
まずはどの部分が変更されたのか確認しましょう。
軌跡の標準化
今までのYAMAPの山行記録は、端末のGPSチップの性能によって左右されていました。
そのため同じ登山をしていたにも関わらず、iPhone端末では8km歩いたことになっていたが、Android端末では12km歩いていた、ということが起きてしまっていました。
そのような端末の差異をなくすために、今回標準化を行ったとのことです。
今回の変更で注意すべきは、休憩時間の計測方法が変わったことです。
今までであれば、「ランドマーク上で停止した場合のみ休憩判定」でしたが、今回の変更では「3分以上停止した場合休憩判定」と変更になりました。
そのため、写真を撮って止まっている時なども3分以上停止した場合は休憩判定となります。
今までであれば、登山の際に2台のスマホを使用しYAMAPとヤマレコ2つを使って山行を記録。
2つのデータのいいとこ取りをするという方もいたかと思いますが、今回の変更により活動時間がヤマレコの記録と大きく違ってくる可能性があるので注意しましょう。
地図のダウンロード仕様の変更
今までは無料会員でも5枚まで地図のダウンロードができていましたが、今回の変更により無料会員が1ヶ月でダウンロードできる地図の枚数が2枚に変更となりました。
そのため、無料会員の場合は翌月移行に2つの地図をダウンロードする際は、その都度地図を削除しなければ新たな地図がダウンロードできない仕様となりました。
YAMAPプレミアムであれば無制限なので、地図の枚数制限はありません。
しかし、こちらも端末への保存は50枚までとなり、それ以上はダウンロード済みの地図を削除する必要があります。
【重要】地図のダウンロードに関する仕様変更のお知らせ | ダウンロード枚数の変更&プレビュー機能実装【3月1日より】
ヤマレコはApple Watchに対応
一方、ヤマレコも日々アプリの改善に取り組んでいます。
ここ最近でのめぼしい機能は、Apple Watchに対応したことでしょう。
AppleWatchはAndroid Wearと違い技術的に地図アプリとして使うことが難し側面があり、そこを突破してきたヤマレコの開発力の高さが伺えます。
国内の地図アプリで初めてApple Watchに対応し、登山中にApple Watchの文字盤で現在の歩行ペース、標高グラフ、予想通過時刻、予想下山時刻、予定の進行状況を見ることができます。
今まではスマホをわざわざポケットやサコッシュなどから出して確認していた方も多いと思いますが、Apple Watchでは腕を傾けるだけでこれらが確認できてしまうので非常に利便性が高いと感じました。
時計であれば落としてしまったり、紛失してしまう心配もスマホよりは少なく手袋をしたまま見れるというメリットもあります。
YAMAPに関してはPRO TREK Smartのみに対応しています。
YAMAPとヤマレコの有料会員の違いは?
YAMAPとヤマレコは、地図の提供、ルートの記録という観点では大きく大差はありません。
それぞれのサービス内容などはこちらをご参考にしてみてください。
機能開発はほぼ互角、情報量はヤマレコが優勢
ヤマレコ | YAMAP | |
スマートウォッチ対応 | Apple Watch | CASIO PRO TREK Smart |
現在地の通知 | いまココ(無料) | みまもり機能(LINE通知は有料) |
ルート外れ警告 | 無料 | 有料 |
すれ違い | 事後確認 | リアルタイム確認 |
地図ダウンロード制限 | 無料会員2枚、有料会員無制限 | 無料会員月2枚、有料会員無制限 |
例えば、YAMAPが「みまもり機能」という、登山者の位置を自宅で帰りを待つ家族に共有する機能をリリースした3ヶ月後には、ヤマレコが「いまココ」というほぼ同じサービスを展開しました。
登山計画が作れることや、ルート外れ機能があることも同じです。
2つの違いをあげるとすれば、SNSとしての使い方になるでしょう。
登山用SNSというジャンルを確立したヤマレコは、2005年からウェブサイトを開設しています。
一方、YAMAPは2013年に登山アプリとしてスタートしました。
そのため、ヤマレコは古巣のユーザーが多く、山の参考記録や写真、山の感想と行った情報量が豊富でそのデーターから標準タイムからの比較などが提供されており情報量が多く、整理されていると感じます。
そして山行記録が検索しやすく、初心者が経験者に質問したい場合などはとても役にたちます。
またYAMAPは後発であるということもあり、新規ユーザーや若い登山者が多い印象があります。
その分、もちろんしっかりとした内容の山行記録もあるのですが、ヤマレコに比べると山行記録の質にバラつきがあるように感じます。
YAMAPは若年層が多い印象で、コミュニティ機能が充実している事や軌跡の3D表示などアプリのビジュアライズが美しいという面があります。
YAMAPでは、登山中にYAMAPアプリを使っている登山者とすれ違うと、スマホに通知が来る「こんにちは通信」という機能があり、そこからYAMAPのコミュニティで交流をすることもできます。
ヤマレコでも参考記録を登録すると、同日に同じ場所を通った他の参考記録が表示される機能がありますが、YAMAPのすれ違い通信の方が使いやすい印象でした。
また筆者個人としては、YAMAPで提供している様々なアウトドア情報を発信する「YAMAP MAGAZINE」がアウトドアの豆知識やアウトドアギアの情報などを知ることができ活用しています。
まとめ
YAMAPとヤマレコを比べた場合、地図アプリとしての機能は大差なく、コミュニティ機能や山行記録などの面で自分にあった方を使うといいでしょう。
今回のYAMAPのダウンロード制限が物議を醸していますが、近年の情報技術の発展やソフト・ハード両面でサービスを向上しようとする場合、資金が必要となります。
みまもり機能やルート外れ機能など、便利な機能も追加されており安全に投資するという意味ではそれほど高くない金額ではないでしょうか。
ヤマレコとYAMAPでは会社組織の規模や資金もまったく違うので一概には比べることができないですが、登山に関わるサービスが競い合うことでより洗練されよいサービスがでてくる事は歓迎したいと思っています。
また筆者個人としては、サービス内容の改善のためであれば「支援や応援」という形で課金してもいいのではないかと感じます。