四国高知県にある標高775mの横倉山(よこぐらやま)。
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この山には2つの大きな顔があります。
1つ目の顔は日本の植物学の父といわれ、多くの新種の植物を発見した牧野富太郎博士が通った山です。
博士が命名した植物は1500種類あるとされていますが、この横倉山でも長年研究を続けていて「ヨコグラツクバネ」「ヨコグラノキ」などが新種として命名されています。
2つ目の顔は第81代安徳天皇にまつわる平家伝説が残る山でもあります。
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壇ノ浦の合戦で敗れた平家の残党が、安徳天皇を擁して当時の土佐国横倉山に落ちのびて行在所を築いた言い伝えが残っています。
その歴史史跡は今も残っていて、登山道途中にある横倉宮や杉原神社は山の中にあるとは思えないぐらいの立派な建物です。
ドラマの主人公になったつもりで横倉山へ出かけてみました。
2023年度前期 連続テレビ小説『らんまん』 主演は神木隆之介さん!
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/1000/460323.html
第1駐車場からの周回コース
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コースタイム | 体力レベル | 技術レベル |
2時間30分 | ★☆☆☆ | ★☆☆☆ |
第1駐車場へのアクセス
公共交通機関(JR)
JR土讃線佐川駅から黒岩観光路線バスを利用、宮ノ前公園で下車し、徒歩で登山口まで向かう。
登山口まで90分程かかるが、2022年8月時点で途中の道が通行止めになっている
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マイカー
高知自動車道須崎東ICから国道494号を北上。宮の前公園近くにある横倉山自然の森博物館への道を進むと第1駐車場があるが、途中の道が通行止めになっている。迂回路がある。
須崎東ICから登山口まで約27km、50分。
横倉山は県立自然公園や四国のみちとして整備されていて、遊歩道や駐車場施設が充実しています。
今回ご紹介する登山コースは第1駐車場から横倉山三角点を経由して、横倉宮と杉原神社を巡る周回コースです。
1周150分程の心地よいハイキングが楽しめますが、宮の前公園から駐車場へ向かうアクセス道路の途中が通行止めになっています。
迂回路は2つで、仁井田五所神社ルートと桐見ダムルートです。
今回は桐見ダムルートで第1駐車場まで行く事に。
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桐見ダム近くにある町民バス停から約4km先に駐車場があります。
JR佐川駅からバスで向かうこともできますが、ダイヤが少なく途中の道が通行止めなのを考えると、マイカーで駐車場まで向かいましょう。
第1駐車場から横倉山三角点へ
トイレが完備された第1駐車場へ車を停めます。
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駐車場は2箇所あって、数十台は駐車可能なぐらい広くなっています。
ここから車道を少しだけ歩くと左側に登山口があります。
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少し急こう配の階段が続く道をひたすら進みます。
登山道は綺麗に整備されていて案内看板も随所にあるので迷う心配はないでしょう。
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途中には真新しいベンチも設置されていますが、しばらくは樹林帯の中を歩くので景色は望めません。
途中には鎖が掛けられた岩場もあるので、足を滑らせないよう慎重に登りましょう。
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ここまで来ると眼下にはどこまでも山並みが続く景色が広がってきます。
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途中の岩場の上に鎮座しているのが「かむと嶽石鎚神社」。
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この周辺は4億年以上前の火山活動による火砕流堆積物の地層が見られます。
この先にある大きな岩は火山活動による石灰岩なのです。
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途中にある夫婦杉との分岐はそのまま直進しましょう。
岩場を抜けると比較的緩やかな上り道が続いて、しばらく進むと三角点がある標高775mの横倉山に到着です。
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ベンチがあって休憩もできますが、周囲は木々に囲まれていて景色は望めませんでした。
しばらく休んだ後更に先へ進みましょう。
山頂から横倉宮へ
ここから先は少し下り坂になります。
落ち葉で道が埋まっている箇所もあるので、特に濡れている時は滑らないよう要注意です。
横倉宮まであと少し!
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そして階段を登りきると立派な建物がある横倉宮に到着します。
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横倉宮の祭神は安徳天皇、本殿は春日造り、拝殿は流造りです。
現在の建物は1897年に改築されたもので、以前は横倉権現と呼ばれていました。
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1871年に御嶽神社と改められ、1949年に安徳天皇崩御750年祭時に現在の横倉宮と改められました。
1200年に平知盛が安徳天皇を玉室大神として祀った横倉宮ですが、ここから更に先へ進むと安徳天皇御陵参考地があります。
時間がある方はぜひ訪れてみて下さい。
横倉宮から杉原神社へ
横倉宮からは表参道と呼ばれる道を進んでいきます。
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階段を下った先には立派な鳥居が。
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横倉山には至る所に横倉宮の鳥居があります。
しばらく進んでいくと道がほとんど平らになり、登山道とは思えないくらい整備された真っすぐな道になります。
まるで神社仏閣に参拝する参道を進んでいるような雰囲気です。
その途中にあるのが名水安徳水。
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名水百選になっている安徳水は、屋島合戦に敗れた平家知盛一族が安徳天皇を奉じてこの地に至り、ここの泉水を供御水として用いたといわれています。
この先に湧き水スポットがありますが、直接の飲用はできません。
そしてすぐ隣にあるのが牧野富太郎博士自筆の歌碑。
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博士は幼少の時から植物に興味をもち、独学で知識を身につけていきました。
この横倉山は花の百名山にも選ばれていますが、牧野博士にとっては植物調査の為に幾度も訪れた庭のような場所だったのでしょうね。
安徳水から進むこと数分すると、急に巨大な杉が目の前に現れます。
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樹齢500年とも600年ともされている2本の大杉で、その横には杉原神社の社殿。
杉原神社は平家の守護神である熊野権現を祀った神社で、杉の巨木が多いことが名前の由来です。
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そして本殿周囲の彫刻は長州の匠、門井宗吉の作。
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静寂に包まれた境内には、鳥のさえずりと時折流れてくる風の音だけが響いています。
杉原神社から駐車場へ戻る
杉原神社を過ぎると20分程で車道に出ます。
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ここからは舗装された車道を下っていきますが、この近くに第2駐車場があって、ここから登山を開始すると50分程で頂上に行く事も可能です。
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20分程歩くと出発地点である第1駐車場へ着きますが、その途中には展望台があります。
立派な展望台から見えるのは仁淀川。
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国土交通省が発表している「水質が最も良好な河川」で、過去10年で8回選ばれる透明度が魅力的な川です。
その美しさは仁淀ブルーとして有名になり、全国から多くの観光客が訪れています。
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仁淀ブルースポットはいくつかありますが、私のおススメは「にこ淵」です。
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滝つぼのような場所ですが、太陽が高くのぼった正午前後に日差しが降り注ぐと、これぞ仁淀ブルー!という幻想的な空間が広がります。
以前は急斜面を滑るように降りなければならなかったのですが、今は頑丈な階段が整備されたので安全に滝つぼまで行く事ができるようになりました。
横倉山からは少し距離がありますが、マイカーなら日帰りで登山と仁淀ブルーを楽しむことができます。
横倉山の登山まとめ
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- 平家伝説が残る歴史史跡が多数残る
- 越知の街と山々、仁淀川を望める
- 花の百名山で牧野富太郎が通った山
第1駐車場近くからスタートする登山コースは岩場もあって少し注意するポイントがありますが、第2駐車場からスタートすると広くて整備された道で快適なハイキングとなります。
2023年に牧野富太郎主人公のドラマが放送されると、横倉山の注目度も一気に高まるでしょう。
2つの顔がある高知県「横倉山」のご紹介でした。