日本百名山の一座でもある八ヶ岳連峰は、3,000m近い標高の岩稜帯登山から美しい樹林帯のトレッキングまで、幅広く山を楽しむことのできるエリアです。
ここでは、穏やかな山容が特徴の北八ヶ岳をめぐる登山コースをご紹介いたします。
今回は、標高2,000mを超える麦草峠からスタートし、縦走路上にある茶臼山(ちゃうすやま・2,384m)、縞枯山(しまがれやま・2,403m)を経由、坪庭(つぼにわ)から北横岳を目指します。
アクセスと周辺施設
マイカー
- 中央自動車道、諏訪ICより国道152号・299号経由で約30㎞。
- 麦草峠には無料駐車場あり。ハイシーズンは早朝より満車になる場合あり。
電車・バス
- 時刻表等の詳細情報はこちら
※日帰りの場合、終バスに間に合わない可能性があるため、北八ヶ岳ロープウェイを起点にすると安心です。
周辺施設
- トイレ:麦草峠駐車場に水洗トイレあり。
- 水場:なし。
- 売店等:駐車場から徒歩1分の場所に「麦草ヒュッテ」あり。
- 登山届:麦草ヒュッテに設置。
概要
北横岳の難易度は?
今回は利用していませんが、山麓の蓼科高原より「北八ヶ岳ロープウェイ」を利用した登山も可能です。
コース | ロープウェイ | コースタイム(往復) | 登り累積標高差(往復) |
---|---|---|---|
山頂駅~坪庭~北横岳 | あり | 約2時間 | 約300m |
麦草峠~坪庭~北横岳 | なし | 約6.5時間 | 約900m |
山麓駅~坪庭~北横岳 | なし | 約6時間 | 約750m |
北八ヶ岳ロープウェイを利用した場合は、コースタイム2時間※程度の登山ですが、利用しない場合は6時間以上の登山(休憩のぞく)となります。
秋は日没が早いため、一日の登山計画を立てる際には気を付けたいポイントです。
※登山者により異なるため、余裕のある計画が大切です。
北横岳の服装は?
コースは2,000m以上の亜高山帯エリアとなり、秋の朝晩は厳しい冷え込みも見られます。暖かい上着があると安心です。
コース紹介
麦草峠~坪庭
朝の麦草峠は空気が澄んでおり、市街地に比べるとかなり肌寒く感じられます。
駐車場横からの小径を抜けると、開放感のある麦草峠が視界に広がります。麦草ヒュッテ前で準備体操をし、いざ出発です。
車道を横切ると、登山道の入口が見えてきます。
茶臼山への登りが始まる15分ほどは、苔とシラビソが生える森林ハイキングとなります。
途中ロープウェイ方面への巻き道が分かれる大石峠を曲がると、徐々に茶臼山までの登りが始まります。
途中の展望好地(中小場)からは、目指す茶臼山や縞枯山を見渡すことができます。
登山道は大きな浮石も多く、特に傾斜が急な箇所も見られます。足首まで保護されるミドルカット以上のシューズがあると安心です。
麦草峠から1時間強で、茶臼山山頂に到着です。
「展望台」の指導標に従い進むと、大パノラマが広がる展望好地に到着となります。
眼下には諏訪盆地が、遠くには北アルプスの槍ヶ岳や穂高岳、中央アルプスも望むことができます。
茶臼山を出発すると、ザレ気味の坂を下りながら、一旦縞枯山との鞍部(コル)まで降りていきます。
途中には特有の自然現象である「縞枯れ」が見られます。
鞍部からは、標高2,403mの縞枯山を目指して約100mを登り返していきます。
縞枯山山頂は木々に覆われ展望には恵まれませんが、山頂付近には大石の重なる展望地があります。
縞枯山から急坂を下ると、間もなく坪庭方面への登山道が交わる十字路(雨池峠)に到着です。
雨池峠を出発するとササの中の木道を進んでいきます。途中三角屋根が特徴の「縞枯山荘」を通過していきます。
ロープウェイ方面からのハイカーでも十分に足を運べる範囲になるため、徐々に賑やかさが見られ始めます。
山荘からは10分ほどで、溶岩の広がる開けた台地「坪庭」に到着します。
ここから数分の場所にロープウェイ山頂駅があるため、万一の際にはエスケープをすることも可能です。
坪庭~北横岳山頂
坪庭周辺は観光客の姿も多くみられ、遊歩道は舗装された歩きやすい区間となります。
登山道入口の看板を過ぎると再び登山道らしくなり、北横岳ヒュッテまでの登り坂が始まります。
坪庭からつづら折りの登山道を1時間ほど登ると、森の中にたたずむ北横岳ヒュッテに到着です。
小屋前にはベンチも設置されており、多くの登山者のオアシスとなっています。
小屋の横から数分の場所には「七ツ池」もあります。わずかですが、紅葉が始まっていました。
さて、北横岳ヒュッテから30分ほど最後の登りを進むと、北横岳南峰に到着します。
北横岳は南峰と北峰で構成されており、北峰の標高2,480mが北横岳の標高として用いられています。
山頂は広く、北側には蓼科山や霧ヶ峰方面の展望が広がっています。
さて、今日の登山はここまでです。
戻りは、同じ道を進みながら麦草峠に戻る方法もありますが、ロープウェイ山頂駅経由の巻き道を利用して麦草峠方面に戻ることも可能です。
残りの体力と相談しながらコースを選べるため、グループ登山の場合はメンバーの状況によりコースを柔軟に変更することができます。
おわりに
以上、北八ヶ岳の主峰のひとつである「北横岳」を「麦草峠」から目指す登山コースの紹介でした。
いよいよ秋本番となってきますが、皆様も是非防寒対策のうえ自然を楽しんでみてはいかがでしょうか。