日本伝統の食品であるお餅。登山では持ち運びやすく登山中であれば保存性も高いことから、慣れ親しんだ食品を
通年で活用できるという利点を持っています。そのお餅を使った代表料理である雑煮は、野菜から肉、炭水化物、程良い塩味といった登山との相性の良いメニューです。今回は雑煮を山でも簡単に作れる方法をご紹介します。
雑煮のポイント
食べやすく親しみのある味付け
登山では普段食べないようなメニューをあえて山で楽しむ方法があります。長期登山でメニューのルーティンに飽きたり、日帰り登山で仲間と楽しむ場合は、一工夫入れて食事の時間を充実させるのは、休憩後や翌日の行動の活力になります。
雑煮は日本人なら誰もが食べたことがある料理で、決して特別感のあるものではありませんが、知っている味を食べるという親しみと、パーティ登山でもハズレの無い安心感があります。
私は登山の時は日本食を持ち込むことが多く、味噌汁や米など、普段食べ慣れたものを持っていくことがあります。雑煮は秋から冬にかけてよく食べる料理で、普段食べ慣れている食事を山で食べると、家にいるような感覚に見舞われ、厳しい登山をしている時ほど心が休まります。温かい食事が楽しめる
栄養バランスと温かい食事が楽しめる
登山の食事といえば高カロリーの食材や料理が注目されますが、消化吸収を始めとした身体のコンディションを登山中も維持するには、野菜の摂取は不可欠です。さらに冬は冷たい食材を摂取するのは億劫になりますし、身体の内からも温まるメニューが好まれます。
雑煮はこうした山での気になるポイントを解決してくれる料理で、複数の食材をひとつの料理で摂取でき、さらに温かい状態で取り込むことが可能です。
山でのあるあるですが、真冬に食材が凍ることを把握せず登ったことがあり、カチンコチンの行動食や昼食を摂ったことが何度かあります。おまけに芯から冷える事態となったので、心休まらない下山となったのは言うまでもなく、高所や冬山では温かい食事が基本であることを実感し、以来私の冬山の食事を考える際には、必ず雑煮が候補に入っています。
調理済み食品で仕上げることが可能
今回、筑前煮の具やスープの素を活用して簡単に雑煮が出来るようにしています。
鶏のつみれも加熱済みの加工品を使っているので、日帰りであれば問題なく、冬の時期なら腐敗を心配する必要はありません。
野菜は食感がある方が食べごたえがあるので、フリーズドライや乾燥食品は使わずにいますが、乾燥食品を使えば軽量化に繋がる利点があるので、好みや山行計画に応じて選ぶのが良いです。
食材入手がしやすく加工品のレパートリーも現代は多く、さらに単身者向けの容量で販売されているものも良く見られるので、登山者にとってはありがたいです。
材料
- 筑前煮の具:1袋
- 切り餅:1個
- 鶏肉のつみれ:3個
- スープの素:1個 ※好みに応じて2個でも
- 水:100ml
作り方
切り餅を茹でる
始めにお湯を沸かして餅を茹でます。この次の家庭でも加熱は続くので、中火で2分程度茹でれば大丈夫です。
食器が別にあれば4分ほど加熱し、そちらに餅を分けておくと食べやすく見栄えも良いです。
筑前煮の具と鶏肉のつみれを入れる
次に中火のままスープの素、筑前煮の具と鶏肉のつみれを入れます。
加工済みの食品なので、あくまで中まで火を通すという感覚で大丈夫です。5分以下の加熱で大丈夫で、つみれをフォークや箸で刺してみて熱が通っているのを確認します。
完成
器に盛って完成です。餅は熱々で、喉を通れば身体が温まるのを感じ、野菜とつみれ、スープの素が合わさった優しい味付けがじんわりと全身に染み渡ります。あまり濃い味付けではないので、柚子胡椒や七味など、途中でアレンジを加えるのも良いですね。
この日は急いで食べることなく、じっくり味わいながら平らげました。
山での雑煮でゆっくり山ご飯時間を
登山で使う食材として腹持ちが良く携行性、保存性に優れた切り餅を使った定番メニューである雑煮は、高山から冬山での食事におすすめの日本食です。食べやすく親しみのある味付けでソロからグループまでハズレの無いメニューなので、テント泊の定番メニュー、パーティ登山でも活躍します。好きな調味料を加えてアレンジしたり、材料を変えてオリジナルで楽しんだり、沢登りなら冷やし雑煮というのもおすすめです。
山での雑煮で、優しい味付けをゆっくり堪能してみてください。