この記事は、「初めてだけれど、丹沢・塔ノ岳に登ってみたい。昔登ったけれども忘れてしまった。」方むけの内容となっております。
丹沢・塔ノ岳(1,491m)とは
丹沢は神奈川県北西部に位置する、南北20キロメートル・東西40キロメートルの範囲にわたる山域の総称です。
最高峰の蛭ヶ岳(ひるがたけ、1,673m)をはじめ、丹沢山、大山などの様々な山が連なって構成されています。
塔ノ岳も丹沢を代表する山の一つであり山頂に至るルートは複数ありますが、その中でも最も人気のある大倉尾根ルートを今回はご紹介いたします。
大倉尾根ルートからの塔ノ岳は片道約7㎞、標準コースタイム約4時間、登山口から山頂までは標高差1200mとなります。
北アルプス・燕岳や富士山・富士宮口登山道に劣らない標高差がありますので、不安な場合は隣接する丹沢・大山や高尾・陣馬山等での経験をしてからは挑戦してみてはいかがでしょう。
アクセス:GW期間中は特に登山前の交通集中に注意!
首都圏郊外に位置し、深田日本百名山でもある丹沢は年間の登山者数が約30万人です。(富士山よりも多い!)よって、ハイシーズン(春と秋)の週末は特に登山者も集中することから、余裕のある計画が必要です。
マイカー(東名高速、秦野中井ICより約30分)
大倉駐車場(24時間、約45台、有料)をはじめ、20~30台程度収容可能な有料駐車場が大倉周辺には4カ所(筆者しらべ)ありますが、ハイシーズンは早朝より混雑することもあります。
電車・バス(小田急線渋沢駅北口より②のりば、神奈中バス「大倉行」で約15分)
渋沢駅周辺には、コンビニエンスストアもありますので食料や水分のうっかり買い忘れ時にも助かります。(駅コンコースの鉄道系のスーパーは営業開始が朝9時から。)
バスの本数はこの通りですが、繁忙期は臨時便も運行されています。
いよいよ大倉尾根に挑戦
大倉登山口には、きれいなお手洗い、登山届記入箇所、ショップ、ビジターセンター、自動販売機などがあります。準備運動をしていざスタート。
登山口~見晴茶屋(約2.4㎞、45分)
登山道脇には、緊急時の通報先と地点番号が記載された指導標があります。(全部でNo.45まであります。長い!)最初は広葉樹の新緑と針葉樹の植林の中を緩やかに進んでいきます。
体が慣れないうちは、呼吸 を整えながらゆっくり進んでいきましょう。
見晴茶屋~堀山の家(約2.5㎞、80分)
見晴茶屋を過ぎると、すぐに急坂が始まります。途中、水切り(雨天時に登山道に流入した雨水を谷側に逃がす排水装置)や木道も出てきます。
歩幅が合わないかもしれませんが、脇を歩くことは土壌の浸食につながりますので、ぜひ木道の歩行をお願いします。
堀山の家~花立山荘(1.2㎞、60分)
堀山の家を過ぎると、いよいよ大倉尾根の核心部に入ります。
地図を見ても等高線の間隔が狭く、ここまでの区間よりも急斜面であることがわかります。
この区間の階段、開始から終了(花立山荘)まで数えると1000段近くありました。
階段がきついのでつい地面を見がちですが、この区間にはアセビの花や表丹沢には珍しいカラマツ(この日は新芽がでたばかり)も見られ、背後には相模湾や伊豆半島の景色が広がります(ガスの日は気の遠くなる階段地獄)。
このあたり一帯は、昔登裸地化が激しく進み、多 くの方の植樹等のご尽力があり植生が回復したそうです。感謝の限りです。
急な階段を登り切ると標高1300m付近の「花立山荘」に到着します。
花立山荘
ご主人にお話をお伺いすると、先代が昭和30年に始められ、昭和50年代に引き継がれたそうです。(なんと半世紀以上)
丹沢 花立山荘 » 花立山荘とは (hanatatesanso.com)
丹沢で有名なのが、隣接する「鍋割山」の「鍋焼うどん」ですが、この小屋の「かき氷」「おしるこ」「月見うどん」も人気です。
この日は取材同行者が「月見うどん」を注文していました。
彼は疲労で虫の息でしたが、マイルドでソフト麺の優しい「月見うどん」は美味しく喉を通ったそうです。
丹沢ハイライト(鍋割山、丹沢山、蛭ヶ岳)
花立山荘~塔ノ岳山頂(約1.1㎞、60分)
花立山荘を出発し15分ほど登ると、背後は秦野市街地や小田原などの市街地、前方には塔ノ岳山頂が見えてきますが、まだまだ山頂まではかかります。
また、ほどなくして「特別保護地区」に入ります。
これは公園内でも最も保護すべき自然景観が見られる地域で、動植物・落葉・石などの採取や焚き火等ももちろん禁止されている、最も規制の厳しい地域です。(有名な長野県の「槍穂高連峰(北アルプス)周辺」や「千畳敷カール(中央アルプス)」も同じ「特別保護地区」です。)
鍋割山方面との分岐(金冷シ分岐)を過ぎ、最後の階段を30分ほど登るといよいよ塔ノ岳山頂に到着します。運が良ければ、丹沢でも雲海を見ることができる・・・かも。
事故は下山に起きる
下山時は、地図やスマホアプリ等、指導標を十分に確認し下山方向を間違えないようにご注意お願いします。(塔ノ岳山頂からは四方向へ登山道が伸びています。特にガスのときは注意!)
また、大倉尾根には数カ所のザレ場(石がゴロゴロ)がありますので、無意識に動く石(浮石)に乗っての転倒には十分気を付けてください。(特に、疲労がたまった下山終盤の一本松~見晴茶屋間は要注意です。)
本日は、丹沢・塔ノ岳、大倉尾根ルートを紹介いたしました。
「夏季のハイシーズンは、あこがれのアルプスへ!」とお考えの皆様も、事故等でコロナ禍の医療機関に負荷を与えぬよう、万全な計画・準備の上で、是非まずは「丹沢・大倉尾根ルート」で腕試しをしてみてはいかがですか?
- 動画リンク(大倉尾根とアルプスの標高差をグラフで比べる)
グラフ【北アルプス三大急登と比べる】剱岳・烏帽子岳・燕岳・甲斐駒・笠ヶ岳・空木岳・唐松岳・丹沢塔ノ岳、累積標高 – YouTube