【富士山】東京新宿&大阪梅田発、富士登山口へのアクセスを比較~お安く便利に行けるその方法は?~

コラム

3,776m・日本最高峰の富士山に関する文献を紐解くと、既に江戸時代には「富士信仰登山」が一般市民の間で爆発的に流行し、いわゆる「富士講」のグループが存在していました。

それから約300年後の今日にわたり、富士山は登山愛好者のみならず、広く一般社会にも知られた日本を代表する山として、不動の地位が築かれてきました。

2021年の富士登山者数はパンデミック前の約3割に留まった(photo:hunger3180)

この記事では、2022年の富士登山シーズンにあたり、東の大都市・東京新宿と、西の大都市・大阪梅田からの富士山各五合目へのアクセス費用(Yamariiしらべ)をまとめております。

コロナウイルスによる影響で公共交通機関の一部運休等の情報がありますので、日本の最高峰「富士」への登山のご参考にしていただけますと幸いです。

富士登山のイメージシーンとして深く根付くご来光

なお、山小屋の宿泊プランとセットになった富士登山ツアーも多く見られますが、ここではツアーを利用しない「マイカー」「高速バス」「鉄道」三つの交通機関での比較となります。

※ソースは各社公式webサイトやヒアリング等になりますが、表示された運賃・料金等は時期や経路等により変動いたします。あくまでご参考としてご覧いただき、ご利用の場合は必ず公式情報をご参照いただきますようお願い申し上げます。情報は2022年6~7月時点のものとなります。

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目次

はじめに・富士登山口の概要

日本最高峰への道のりは、「吉田ルート」「富士宮ルート」「須走ルート」「御殿場ルート」の四つが一般的で、ルートによって若干の違いがあるものの、開山期間はおおむね7月上旬~8月の夏季期間となっています。

登山口からの累積標高差、所要時間、距離はルートにより異なります。登山の「体力度」と「技術難易度」により決められた「山のグレーディング」によると、富士登山といえども最低1泊以上が適当とされ、相応の準備が必要な3,500m級の登山となります。

ルートグレーディング累積標高所要時間距離
吉田ルート5B(1泊以上適)1,710m11.0時間16.1㎞
富士宮ルート5B(1泊以上適)1,530m11.8時間10.8㎞
須走ルート6B(1‐2泊以上適)1,920m14.0時間15.4㎞
御殿場ルート7B(1‐2泊以上適)2,450m15.4時間21.1㎞
参考・高尾山2A460m3.8時間7.7㎞
出典:「山梨 山のグレーディング」、静岡県「山のグレーディング」、「信州 山のグレーディング」

また、パンデミック前15年間の統計によると、登山者の6割近くが「吉田ルート」を選択しており、以下「富士宮ルート」・「須走ルート」・「御殿場ルート」と続いています。

山梨・吉田ルート(スバルライン五合)

吉田ルートは山梨県唯一の般ルートとなります。登山口の標高は約2,300mと「富士宮口」に次いで2番目に高く、山小屋も多いため登山者に人気のあるルートです。

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東京・新宿発

マイカーの場合は、五合目に至る「富士スバルライン」夏季規制の対象となります。中央道「河口湖インター」から「富士山パーキング」を利用し、シャトルバスで五合目を目指すことになります。なお、電気自動車の場合はパーキングで確認証が交付され、マイカー規制中も通行が可能とのことです。

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻

マイカー+シャトルバス
※102㎞・中央道経由
■合計4,951円
高速2,090円(永福~河口湖)
燃料811円
駐車1,000円
シャトルバス1,050円(片道あたり)
4:45
※シャトルバス始発4:00

高速バス
■合計2,650円
Web決済、新宿~五合目
9:20

鉄道+バス
■合計3,951円
電車2,381円(JR・富士急)
バス1,570円
9:25

高速バスの場合は、新宿駅(バスタ新宿)より五合目行の直通バスを利用することになります。鉄道利用の場合は一旦「富士山駅」を目指すことになり、五合目行のシャトルバスに乗換えます。

マイカー【距離】大手検索エンジンの運営するweb上の経路検索を使用。【燃料】燃費は国土交通省「ガソリン乗用車のJC08モード燃費平均値(平成30年度)」により22.0㎞/Lに設定。車種・重量・山岳道路走行により変化する場合があります。価格は経済産業省「石油製品小売市況調査(令和4年6月27日)・関東」のレギュラーガソリン175円/Lに設定。地域差があります。【高速】ETC割引(深夜・休日)適用後の料金。

山頂付近の混雑も比較的落ち着いていた2021年(吉田口山頂付近)

大阪・梅田発

マイカー利用の場合は、東富士五湖道「富士吉田インター」に近い「富士山パーキング」を利用、シャトルバスで五合目を目指すことになります。新東名および須走道路が昨年開通し、関西方面からのアクセスが向上しました。

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻
マイカー+シャトルバス
※431㎞・新東名経由
■合計12,718円
高速7,240円(吹田~富士吉田)
燃料3,428円
駐車1,000円
シャトルバス1,050円(片道あたり)
4:45
※シャトルバス始発4:00
高速バス
※深夜便(大阪~富士山駅)
■合計8,470~10,470円
高速バス6,900~8,900円
バス1,570円
10:25
※富士山駅でバス乗換

高速バスの場合、大阪方面からは「フジサンライナー」を「富士山駅」で下車、五合目行のシャトルバスに乗換えてのアクセスとなります。新幹線利用の場合には、新富士駅から特急バスで一旦富士山駅まで出る必要があります。

静岡・富士宮ルート(富士宮口五合)

四つのルートでは最も標高が高い、約2,400mからのスタートとなります。富士宮ルートは標高差・距離ともに山頂まで最短のコースですが、高度の変化が急な分、高山病への配慮が必要です。

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シャトルバスの起点となる「水ヶ塚」からは、江戸時代の噴火で形成された「宝永(ほうえい)火口」の大きな窪みを眺めることもでき、大自然の大きさを感じることができます。

東京・新宿発

マイカーの場合は、「富士山スカイライン」にマイカー規制が敷かれることから、水ヶ塚のパーク&駐車場に駐車し、シャトルバスを利用して五合目を目指すことになります。

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻
マイカー+シャトルバス
※117㎞・東名経由
■合計5,651円
燃料931円
高速2,550円(初台南~御殿場)
駐車1,000円(水ヶ塚)
シャトルバス1,170円
6:35
※シャトルバス始発6:00
電車+バス①
※新宿~御殿場駅~水ヶ塚経由
■合計3,656円
電車1,296円(小田急・JR)
バス1,190円
シャトルバス1,170円
9:35
※水ヶ塚でバス乗換
電車+バス②
※新宿~新幹線三島駅経由
■合計6,570円
電車4,070円(JR・新幹線)
バス2,500
9:40
※三島駅で乗換
※五合直通は運転日注意

都心から五合目直通の高速バスはありませんが、電車を利用したアクセスは比較的良好です。三島駅からのバスもしくは、御殿場駅から水ヶ塚(御殿場口経由)行のバスとマイカー規制のシャトルバスを乗継ぐことで五合目を目指すことができます。

かつての光景;賑わいが見られたパンデミック前の富士宮口山頂

大阪・梅田発

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻
マイカー+シャトルバス
※395㎞・新東名経由
■合計11,252円
燃料3,142円
高速5,940円(吹田~新富士)
駐車1,000円(水ヶ塚)
シャトルバス1,170円
6:35
※シャトルバス始発6:00
高速バス
※深夜便(大阪~富士宮)
■合計7,660~9,660円
高速バス5,600~7,600円
バス2,060円
9:35
※富士宮駅でバス乗換
新幹線+バス
※新大阪~新幹線三島駅経由
■合計15,010円
電車12,510円
バス2,500
11:30
※三島駅で乗換
※五合直通は運転日注意

※静岡駅~富士宮口五合目バス2022年運休

高速バスの場合、大阪・京都~富士山周辺を結ぶ深夜便「フジヤマライナー」を富士宮駅下車後、登山口行のシャトルバスに乗換えてのアクセスとなります。新幹線の場合は、新富士・三島の両駅から五合目までのバスが出ています。

富士宮口は、最高地点の剣ヶ峰(3,776m)に最も近い

静岡・須走ルート(須走口五合)

標高約1,900mからのスタートとなる静岡県側ルートの一つです。富士登山では珍しく、五合目~六合目付近までは樹林帯歩きとなり、夏の日差しを幾分和らげてくれることでしょう。

登山者で賑わうパンデミック以前の須走口(2015年)

八合目で吉田ルートと合流すると登山者の数も一気に増え、富士登山ルートの中でも屈指の賑わいが見られる区間となります。下山ルートの一部には「砂走り」もあり、単調になりがちな富士登山にアクセントが加わります。

東京・新宿発

2022年度のマイカー規制は7月15日(金)昼12時~8月31日(水)昼12時までとなり、「須走インターチェンジ」至近の臨時駐車場(無料)でのパーク&ライドが必要です。

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻
マイカー+シャトルバス
※108㎞・東名経由
■合計4,629円
燃料859円
高速2,550円(初台南~御殿場)
シャトルバス1,220円
6:30
※シャトルバス始発6:00
電車+バス①
※新宿~御殿場駅経由
■合計2,866円
電車1,296円(小田急・JR)
バス1,570円
8:35

電車+バス②
※新宿~新松田駅経由
■合計2,886円
電車786円(小田急)
バス2,100円
9:00

都心から登山口への直通バスの運行はありません。公共交通機関利用の場合は、御殿場駅ないし新松田駅から須走口行きバスの利用となりますが、到着時刻は御殿場駅までの電車利用わずかに早くなります。

富士登山では珍しい、出発直後の樹林帯区間(須走ルート)

大阪・梅田発

マイカー利用の場合は、新宿方面からのアクセス同様のパーク&ライドが必要となります。2021年春に新東名~須走間の高速道路が開通したため、マイカーでのアクセスが向上しました。

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻

マイカー+シャトルバス
※410㎞・新東名経由
■合計10,961円
燃料3,261円
高速6,480円(吹田~須走)
シャトルバス1,220円
6:30
※シャトルバス始発6:00
高速バス
※深夜便(大阪~御殿場)
■合計9,570円
高速バス8,000円
バス1,570円
8:35
※御殿場駅でバス乗換
新幹線+バス
※新大阪~新幹線静岡・御殿場経由
■合計13,970円
電車12,400円
バス1,570円
11:35
※静岡・御殿場駅で乗換

高速バスの場合には、大阪・京都から運行されている深夜便「金太郎号」を途中の御殿場駅で下車、登山口行のシャトルバスに乗り換えることになります。

眼下に広がる宝永山(2,693m)と富士裾野

静岡・御殿場ルート(御殿場口新五合)

登山口駐車場までのマイカー規制を受けない反面、山頂までの道のりは他の登山口よりも非常に長く、健脚・経験者向きコースとなります。

「新五合」と名付けられてさえいますが、「吉田ルート」の一合目(標高約1,500m)とほぼ同じ標高で、山頂までの標高差は2,000mを優に超えてきます。

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東京・新宿発

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻
マイカー
※114㎞・東名経由
■合計3,457円
燃料907円
高速2,550円(初台南~御殿場)
任意
電車+バス
※新宿~御殿場駅経由
■合計2,426円
電車1,296円(小田急・JR)
バス1,130円
8:15

マイカーの場合、他の登山口で見られるマイカー規制は敷かれていません。また、無料駐車場が登山口に隣接しているため、時間をコントロールしながら登山を開始することが可能です。

公共交通機関を利用する場合は、御殿場駅からのバス一択のみとなっています。

御殿場ルート下山路の目玉「大砂走り」

大阪・梅田発

高速バスの場合は「須走口」と同様に、一度御殿場駅でバス(御殿場口経由水ヶ塚行)を乗り継ぐこととなります。水ヶ塚からは「富士宮口」行のシャトルバスを利用することも可能です。

手段料金・運賃(片道)推定・始発到着時刻
マイカー
※401㎞・新東名経由
■合計9,130円
燃料3,190円
高速5,940円(吹田~新富士)
任意
高速バス
※深夜便(大阪~御殿場)
■合計9,130円
高速バス8,000円
バス1,130円
8:15
※御殿場駅で乗換

朝発の新幹線などを利用する場合には注意が必要です。最速で御殿場駅13:35発(登山口14:15着)のバスに乗車することになりますが、登山口から最初の山小屋「七合四勺『わらじ館』」までのコースタイムが4時間半、標高差約1,700mとなります。宿泊を伴う登山計画としても、夜間登山を伴う可能性が高くなります。

七合四勺『わらじ館』、御殿場口を出発すると4時間半以上山小屋はない

おわりに

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以上、富士登山へのアクセス情報をご紹介させて頂きました。今年はガソリン価格の高騰や新型コロナウイルス関連で運休をしている公共交通も見られ、以前とは異なる状況での登山口アクセスとなりそうです。

是非みなさまも、安全登山で日本一の頂を目指されてみてはいかがでしょうか。