【日帰り登山】雪の御小屋尾根から目指す阿弥陀岳

関東甲信

信州を代表する山域、八ヶ岳。2,000m級の山々が連なり、初心者から上級者まで訪れる懐深い八ヶ岳は、主峰の赤岳を筆頭に、魅力ある山で埋め尽くされています。

中でも峻険なピークが続く南八ヶ岳エリアにある阿弥陀岳は、厳つい山容に相応しい厳しいルートに囲まれ、1年を通して登山者が訪れています。

今回は冬期に登頂する際のおすすめコース、御小屋尾根コースをご紹介します。

目次

阿弥陀岳とは

山頂から望む赤岳と赤岳天望荘

阿弥陀岳は八ヶ岳の南方に位置するピークで、標高は2,805mです。八ヶ岳主峰、赤岳の西方にあり、無積雪期では南八ヶ岳エリアの縦走コースとして、またピークハントで阿弥陀岳のみを目指すなど、多彩なコースと目的で多くの方々に登られています。

山容は遠方から見てもそれと分かる岩峰で、何人も寄せ付けない荘厳な佇まいに心奪われます。

阿弥陀岳という名の通り、古くから山岳信仰に深く関わる山として知られ、山頂には阿弥陀如来が奉じられ、山頂から見渡せる大パノラマと合わせ、阿弥陀岳がこの地に根付いた重厚感のある山であることを感じさせます。

登山コースは一般コース、バリエーションを含めて豊富にあり、登山者の力量に合わせて山頂を目指すことが可能です。

筆者がはじめて阿弥陀岳を登ったのは無積雪期で、行者小屋方面から山頂を目指す一般コース。樹林帯を抜けて森林限界を越え、広がる景色と高度感に緊張とともに高鳴る高揚感の中登頂したのを鮮明に覚えています。

眼前には八ヶ岳の山々、諏訪湖をはじめとした諏訪や茅野、原村といった信州の魅力ある土地が眼下に広がり、阿弥陀岳が山岳信仰と深く関わる山であることも頷けます。

今回のおすすめコース

今回は八ヶ岳エリアのメジャー登山口、美濃戸口から御小屋山を経由して山頂を目指す御小屋尾根コースをご紹介します。

御小屋尾根コースは無積雪期でも登られる一般コースですが、積雪期には本コースを利用する方が多く、体力や技術、天候等の条件さえ整えば日帰り登山が積雪期でも可能です。

序盤は美濃戸口付近の別荘地を抜けて樹林帯の登山口を登り、御小屋山を目指します。

木々に囲まれた御小屋山を過ぎたら阿弥陀岳に向かって急勾配の登りで標高を上げていきます。

降雪直後だと雪をかき分けるラッセルをはじめ、体力を一気に奪われる厳しい区間ですが、ここを越えて森林限界に至れば、ご褒美である阿弥陀岳周辺の眺望が味わえます。

森林限界を越えた後は最後の難所である阿弥陀岳直下でロープがある区間。積雪期では強風と凍てつく寒さで心が折れそうになりますが、ここを通過すれば阿弥陀岳山頂が目前です。

ロープがある最後の急勾配を終えれば、阿弥陀岳山頂まで5分から10分程度。雪化粧した八ヶ岳の眺望を堪能できます。

積雪期のコースとして、状況によっては所要時間も長くなる決して楽なコースではありませんが、その苦労に余りある眺望、厳しい岩峰を制した達成感に浸れるおすすめのコースです。

アクセスとトイレ

登山口である美濃戸口へは、マイカーと公共交通機関、両方でのアクセスが可能です。

マイカーの場合は中央道諏訪南ICより美濃戸口方面へ向かえ、公共交通機関では中央線茅野駅よりバスが出ています。バスは基本的には休日運行なので、特定日以外の平日に美濃戸口を公共交通機関で目指す場合はタクシー利用となります。

トイレは登山口に八ヶ岳山荘のトイレが利用可能です。御小屋尾根コース上にはトイレがないので、事前に済ませておきましょう。

行程

コースタイム体力レベル技術レベル
10時間30分★★★★★★★☆
Yamarii登山グレーディング

美濃戸口を夜明け前にスタートします。

夜間でも道標があるので、登山口までは迷うことなく進めます。

登山道に入ります。

徐々に明るくなってきました。

もうひとつの登山口、舟山十字路との分岐に合流します。

分岐から間もなく御小屋山山頂です。

御小屋山を後にして、先へ進みます。

急勾配になってきました。

しんどい登りなので、無心で歩きます。

森林限界を越えました。

すごい景色!

頂上付近を見つめます。

ロープのある急勾配区間に入ります。

ロープです。2色あり、黒色は一部劣化が著しく、使わないほうが良いかも。

急勾配を終えると山頂はもうすぐ。

踏み抜かないように。

山頂に到着です。

360度の大パノラマに息を呑みます。

天気が良くて無風ならゆっくりしたいところです。

下山は急勾配の登りであった分素早く降りれますが、登りの疲労による転滑落に注意しましょう。

阿弥陀岳に登って冬の八ヶ岳の眺望を堪能しよう

八ヶ岳随一の岩峰、阿弥陀岳。1年を通して登られる山頂からの眺望は360度の大パノラマで、特に空気が澄み渡り雪山という特別な条件から見る景色は、阿弥陀岳の荘厳な雰囲気が一層強まり、忘れ得ぬ登山となることは間違いありません。

積雪期は状況が降雪前後や天候で大きく変わるので、十分な下調べをもった計画を立てることがとても大切です。安全で確実な登山を計画を立て、冬の八ヶ岳の眺望を阿弥陀岳からぜひ堪能してください。