ティフォン50000の基本スペック
Millet(以下ミレー)はフランスのアウトドアブランドですが、今回紹介する「ティフォン50000ストレッチジャケット」はMillet Japanが独自に開発したレインウェアです。
日本の気候に合わせたレインウェアなので、高温多湿な日本の山岳気候で活躍してくれます。
まずは基本スペックをチェックしましょう。
価格 | 35,200円(税込) |
耐水圧 | 20,000mm |
透湿性能 | 50,000g/m2/24hrs |
重量 | Men’s: 304g Women’s: 262g |
サイズ展開 | Men’s: XS, S, M, L, XL Women’s: XS, S, M, L |
色展開 | Men’s: 5色 Women’s: 5色 |
品番 | Men’s: MIV01479 Women’s: MIV01508 |
ティフォン50000ストレッチジャケットのおすすめポイント3つ
驚異の高透湿素材
ティフォン50000ストレッチジャケットの最大のポイントは、その名の通り50,000g/m2/24hrsのハイレベルの透湿性能です。
一般的に高透湿を冠したレインジャケットは透湿防水フィルムにGore-texを使用しています。
最近でこそモンベルが独自高透湿素材のスーパードライテックを販売しましたが、それまではGore-tex素材を使ったものばかりでした。
そのような中でミレーはいち早く独自素材のDRYEDGE TYPHON 50000を開発し、Gore-tex素材を使わずに高透湿のレインウェアを開発したんです。
さらにティフォン50000は7ミクロンの極薄メンブレンになっています。
そのおかげでゴワつきを減らし、柔らかな着心地が生まれています。
微ストレッチで動きやすい
ミレーのティフォン50000ストレッチジャケットは、ナイロン100%の生地ですがストレッチ性があります。
通常ポリウレタンと呼ばれるゴムのように伸びる素材を使わなければ、生地単体では伸びません。
ですがティフォン50000ストレッチジャケットの表地は、横方向に若干のストレッチ性があるんです。
公式サイトに記載はないですが、ストレッチ性がない生地でもバイアス方向(斜め)に引っ張ると伸びるので、その性質を利用してストレッチ性を生んでいると思われます。
袖、背中も伸びてストレスフリーな着心地です。
岩場、鎖場など上半身の動きが求められるシーンで、大活躍してくれる嬉しい機能です。
耐久性と着心地を両立させた生地選定
表地のデニール数の記載はないですが、比較的厚手の素材が使われています。
厚手の生地を使って3層素材を作ると、どうしてもゴワつきが生まれ着心地が悪くなります。
ですがミレーのティフォン50000では、着心地の悪さをまったく感じないんです。
表地は柔らかくスムースな肌触りで、レインウェア特有のゴワッと感がありません。
さらに裏地には15dの薄手ニット素材を使用しています。
裏地も薄いため柔らかく、半袖の上に羽織っても肌当たりが良いです。
柔らかな表地と薄い裏地で、3層素材のレインジャケットとは思えないような快適な着心地を実現しています。
ティフォン50000ストレッチジャケットの細かなギミックをチェック
秀逸なフロントジップ
フロントジップは水が入り込みにくい止水ファスナーになっています。
ですが止水ファスナーはレインウェアの生地ほどの耐水圧はなく、強雨になれば雨が入り込んでくる可能性があるんです。
そのデメリットをミレーは秀逸なジッパーデザインで改善しています。
ジッパーを閉めると、ジッパー部分ギリギリに配置された生地が自動で閉まっていき、止水ファスナーの一部をカバーしてくれるんです。
さらにジッパーの裏にはウィンドフラップを設けていて、ジッパー部分からの雨風の侵入を防ぐ作りになっています。
タフなシチュエーションでの使用を想定された、ミレーならではの気の利いたデザインです。
フィット感の高いフード
フードにも細かなギミックが満載で、フィット感がとても高いです。
フードは首回り1ヵ所、後頭部2ヵ所の計3ヵ所でフィット感を調節できます。
さらに嬉しいのがフードの内側、顔の上にくる部分にゴムが入っているんです。
このゴムのおかげで顔にピッタリとフードが沿い、顔の動きに追随してくれます。
頭が小さい人はフードを調節してもどうしてもピッタリフィットせず、視界が狭くなります。
ですがこのゴムのおかげで顔にピッタリとフードが合うので、ストレスなく雨の山を楽しめるんです。
さらにフードには芯の入ったツバが付いています。
嬉しいのが最大長6cmの大きなツバになっているんです。
雨の中でフードを被っても雨が顔にかかるのを抑えて、視界をしっかり確保してくれます。
隠れたベンチレーション機能
ティフォン50000ストレッチジャケットは蒸れにくい高透湿レインウェアではありますが、それでも動いていると蒸れてきてしまいます。
そんな時に欲しいのがウェア内の換気を行えるベンチレーションですが、ミレーのティフォン50000には一見するとついていません。
ですが実はポケット部分がベンチレーションになっているんです。
ポケットの裏地がメッシュ素材になっていて、両側のポケットを開けることでウェア内の蒸れが逃げてくれます。
さらにフロントジップはダブルジップになっているので、下から少しファスナーを開ければ、そこからも蒸れが逃げてくれるんです。
雨風の強い稜線上や山頂では開けられませんが、樹林帯であればある程度雨風が遮られるので、ダブルジップでの換気が活躍してくれます。
ティフォン50000ストレッチジャケットを雨の山で使ってレビュー
ティフォン50000ストレッチジャケットを雨の中の六甲山で着て、テストしてきました。
気温25度、湿度は高くかなり蒸すコンディションです。
30分ほど歩いたところで若干の蒸れは感じ始めましたが、「ベンチレーションを開けたい」というほどの不快感はなく、引き続き歩いていられました。
生地が肌に貼りつく感じもなく、とにかく快適です。
ジャケットを脱いで内側を確認したところ、汗ジミはできていました。
そんな状態にも関わらず本当にベタツキがなく、1時間程着ましたが終始快適なんです。
上記で説明した通りフードのフィット感がよく、ルートを確認するときもストレスがありません。
ポケットの位置も考えられていて、ザックのヒップベルトを締めてもちょうど干渉しない位置に付けられています。
柔らかな表地と薄いニット素材の裏地のおかげでゴワゴワ感もなく、レインウェア特有のガサガサ音もありません。
着ていて本当にストレスのないレインウェアでした。
ティフォン50000ストレッチジャケットの気になる点
スタッフバッグが付いていない
ティフォン50000ストレッチジャケットには収納するためのスタッフバッグが付いていません。
フードに丸めて収納する形になりますが、スタッフバッグを使って収納するものに比べるとどうしてもサイズが大きくなります。
荷物が多くなりがちな小屋泊やテント泊登山では、極力荷物の嵩を減らしたいものです。
そのようなシーンでは場所を取るので、不便に感じます。
軽量性に特化していない
ミレーのティフォン50000ストレッチジャケットの重量を計測してみました。
Men’sのXSサイズで309gとそれほど軽量ではありません。
同じ高透湿モデルで3層素材のモンベルのスーパードライテックレインジャケットはMen’sのSサイズで204gと約100gの差があります。
もちろん軽ければ表地の耐久性が落ちたり、光沢が出てしまって街着では着にくいなどのデメリットはあります。
とは言え1gでも荷物を軽くしたい登山において、この重量は敬遠する人も出てくるでしょう。
摩擦強度が弱い
ミレーのティフォン50000の表地には、柔らかな肌触りと光沢のない見た目を実現するために、膨らみのある素材が使われています。
ですがその膨らみのある素材は、凹凸があるため摩擦強度が弱いです。
ベルクロで削ってモンベルのスーパードライテックレインジャケットと比較してみます。
モンベルのスーパードライテックレインジャケットはツルンとした凹凸のない素材で、削ってみても引っ掛かりを感じず、毛羽立ちも起きません。
ですがミレーのティフォン50000は削っている段階から引っ掛かりを感じ、毛羽立ちも見られます。
摩擦強度が弱いと岩で擦れたり、ザックのショルダーベストやヒップベルトで擦れ続けて、傷が付いたり毛玉ができたりしてしまうのが懸念です。
細部まで考えられた超快適レインウェア
ミレーのティフォン50000は高い透湿性能が有名です。
ですがそれ以外にも生地選定や細かなギミックなど、とにかくユーザーのストレスを減らす工夫が詰まったレインウェアになっていました。
レインウェアの買い替えを検討している人には、是非一度試着してほしい超秀逸レインウェアです。