これであなたも寝袋マスター!登山用寝袋のイロハを知ろう!

寝袋・シュラフ

今年は山小屋でも寝袋が必要だったり、テント泊に挑戦してみようという方も多いハズ!

お店にいくと寝袋が多くあって、価格も幅広く違いがわからないですよね。

この記事では寝袋の種類や機能の違いを理解し間違いのない寝袋選びができるようになります!

山小屋でも寝袋が必要!?山小屋で使えるおすすめの寝袋を紹介!

目次

化繊とダウンの主な違い

寝袋の中身の素材は大きく分けて天然の羽毛を使っているダウンタイプポリエステルなどの化繊を利用しているタイプがあります。

基本的にはダウンの方が軽さや収納性に優れており、化繊は価格の安さとメンテナンスのしやすさに優れています。

項目ダウン化繊
価格高い
(化繊の2倍以上)
安い
軽さ軽い
(化繊の2倍以上)
重い
収納性小さい
(化繊の2倍以上)
大きい
耐水性低い高い
お手入れしずらいしやすい
ダウンと化繊の主な違い

ダウン

ダウンは天然の羽毛を利用しており、軽さと収納性に優れいているため軽量化を目指したい登山者に選ばれています。化繊よりも対応温度が低い製品が多く、雪山など厳しい環境でも利用されています。

軽さと収納性が高い反面、価格が高く、耐水性やメンテナンス性が低いデメリットがあります。

非常に吸水性が高いため、テント内の湿気や結露を吸収し性能が発揮できないデメリットがあり、シュラフカバーなどの防水対応が必要になります。

その吸水性の高さから洗濯などをすると乾燥までに1週間近くかかる場合もあります。

化繊

出典:PRIMALOFT

化繊はダウンと反対の性質を持っており、ダウンと同じ暖かさを維持するには2倍の量が必要とされており大きく重たくなりますが価格も半分程度となります。

そのため登山では夏など化繊量が少なくても問題ない気温(季節)で利用したり、キャンプや車中泊をする方に選ばれています。

化繊は湿気や濡れに強いため、長期間の登山にも安心して持っていける寝袋です。また気軽に洗濯でき、すぐ乾くためメンテナンスに優れています。

最近はPRIMALOFT(プリマロフト)などの高性能な化繊も出てきており、収納性、軽さなどが改善されつつあるので今後の発展に期待したいですね。

形状(キルト型、マミー型、封筒型)

マミー型や封筒型が支流でしたが、ここ10年ほどでキルト型の寝袋が普及してきました。

それぞれの違いを紹介したいと思います。

項目マミー型封筒型キルト型
暖かさ
軽さ重いキルトより重い軽い
すきま風殆ど感じないやや感じやすい感じやすい
温度調整しずらいしやすいしやすい
寝返りうちやすいうちやすいうちずらい
登山向けとしての
製品の多さ
多い少ない少ない

マミー型

出典:Nanga

マミー型は一般的な寝袋の形状で頭から足まで全身を寝袋に覆われるタイプです。

全身が寝袋で覆われるので隙間がなく、暖かく、寝返りをうってもすきま風が入りません。

その反面、全身覆われているため温度調整しずらく、ややダウンが偏りやすい傾向にあるため各社偏りを軽減するための様々な工夫をしています。
寝袋としては標準的なモデルなため量販店での取り扱いも多く、対応温度も幅広いので選択の幅も広いです。

キルト型

出典:CUMULUS Quilt 450

キルト型は背中部分が開放されており、テントマットを敷くことで背中部分は保温します前提の製品となります。

ダウンは空気を含み膨張することで保温するのですが、背中部分は押しつぶされるため背中部分を無くした思い切った製品です。キルトの中にテントマットを入れると隙間ができずらいのですが、寝返りがうちずらいデメリットがあります。

最近では氷点下にも対応したモデルがあり、軽さを追求したい方はキルト型がおすすめです。

封筒型

封筒型は寝袋の中でも余裕のある形状なため、寝心地は非常に良いのですが化繊の製品が多く大型なため登山で利用される事は殆どありません。

布団と寝心地が変わらないため大きさが問題にならない、車中泊やキャンプなどで選ばれています。

フィルパワー(FP)

出典:prauden

フィルパワー(FP)はダウンの膨らみ=暖かさを示す値として利用されています。

一番左が化繊でそれ以外はダウンですが、同じ重さで900FPほどの膨らみがあるのでダウンがいかに保温性が高いかわかりやすいですね。

寝袋として利用されるダウンは650FP〜900FPが多く、900FPではマイナス10℃に対応するなど厳しい環境に対応したり、軽量化を目指した製品なるほどFP値が高くなる傾向があり、価格も高くなります。

対応温度

対応温度が寝袋の選択の中で一番難しいとされます。

対応温度の表記として3つあります。

  • コンフォート:快適に寝られる温度。
  • リミット:体を丸めて寝られる温度。
  • エクストリーム:寝ることはできない。場合によってはリスクがある温度。

対応温度の標準規格としてEU諸国で用いられているヨーロピアン・ノーム(EN13537)を採用するメーカが多くありますが、全てのメーカで統一ではありません。

体感温度は個人差が大きいため対応温度は参考程度にしましょう。寒がりの方は実地で試して寒ければ追加でダウンジャケットなどを足すなどの対応が必要になります。

【登山ガイドが教える】初めての登山テントの選び方&最新の登山テントを紹介

登山用の寝袋メーカ

ここで紹介するメーカはどれもFP値が高いダウンを利用しており、高性能な寝袋を出しているので性能面はどのメーカも申し分なく、様々な特徴があります。

mont-bell(モンベル)

モンベルの寝袋は伸縮性や寝心地にこだわった製品が多く、寝るだけでなく快適に過ごすための工夫がされています。価格も比較的安いため初めての寝袋にはおすすめの製品が多くあります。

Nanga(ナンガ)

ナンガは永久保証がありメーカの自信が伺え、防水透湿性を高めたオーロラテックス生地や、ダウン自体に撥水加工しダウンの弱点を克服したUDDなどの防水性が高い製品が多くあります。また製品によってはダウンを任意の部分に追加で注入できるオプションがあるため寒がりの方には自分仕様にカスタマイズすることができます。

ISUKA(イスカ)

イスカは寝袋だけを取り扱う日本メーカで、寒さを感じやすい肩と足元には多くダウンを注入するきめ細かい作りが特徴です。他のメーカと比べてやや独特な形をしており、これはダウンのカサを最大化させるための工夫だと思います。封筒型でダウンを利用して製品を出している貴重なメーカです。

SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)

シートゥサミットは寝袋、テントマット、ハンモックなどアウトドア用の寝具が多くあります。
中でも寝袋は寒さを感じさせない形状を徹底的に研究し、生地の滑らかさ、ダウンには吸湿性が低いコーティング、圧縮性の高いダウンを選択するなどイタレリツクセリな製品を作っており、キルト型の製品もあります。

OMM

OMMは山岳マラソンで利用する事を想定した製品が多く、その本拠地はイギリスです。イギリスは日本と同じ降雨量が多く多湿なため寝袋は化繊のPRIMALOFTを使うことで濡れに強く、ダウンパンツやジャケットを連結し行動中の衣類を寝袋にするなどユニークな製品が多くあります。