登山の天気予報はいくつもありますが、どれが正確で信用していいのか迷うことはありませんか?
実際の天気予報を参考にしながら、それぞれの天気予報の特性や登山に使えそうか?という観点で比較してみました。
ヤマテン、てんきとくらす、登山天気、tenki.jpの比較
登山の天気としての代表的なサービスはヤマテン、てんきとくらす、登山天気、tenki.jpの4つが多いようです。
山の天気 予報(ヤマテン) | てんきとくらす | 登山天気 | tenki.jp | |
天気 | ○ | ☓ | ○ | △(ふもとの天気) |
気温 | ○ | ○ | ○ | ○ |
風向き | ○ | ☓ | ☓ | ○ |
風速 | ○ | ○ | ○ | ○ |
降水確率 | ☓ | ☓ | ○ | △(ふもとの天気) |
降水量 | ☓ | ○ | ○ | △(ふもとの天気) |
雷活動 | ☓ | ☓ | ○ | ☓ |
天気図 | ☓ | ☓ | ○ | ☓ |
時間間隔 | 6時間毎 | 3時間毎 | 3時間毎 | 6時間毎 |
気象予報士のコメント | ○ | ☓ | ○ | ☓ |
登山指数 | ☓ | ○ | ○ | ☓ |
媒体 | Web | Web | アプリ | Web |
有料 | 月額330円 | 無料 | 月額240円 | 無料 |
登山の天気で重要な項目
登山の天気では天気、気温、風速、降雨量が重要な指標になるため、最低限この4つが網羅されており予報間隔が短いほど精度の高い計画をたてることができるので安全登山につながるでしょう。
天気図の気圧配置から風や寒気の強さ、雲の広がり具合などを予測できますが、天気図を正しく理解するには知識と経験が必要なため本記事では天気の知識が無い前提でも天気を予測するという観点で進めてさせていただきます。
天気
気温、風速、降雨量を総合的に判断した内容となります。
登山自体の決行か中止の参考にします。
気温、降雨量
防寒の量、行動可能な降水量かなど、行動中で危険なタイミングを予測して避ける事ができ、予報の時間間隔が短いほど計画の精度も高くなります。
降水量1mm、風速10mとなると傘をさすことはできず、目を開けるのがやっとの状態です。
10分も外にいればずぶ濡れの状態になることが予想されるので、防水性能が高いレインウェアを準備したり行動を控えたりなどの判断ができます。
風速
地上にいると風速を気にすることはほとんどありませんが、登山において風速は重要な要素となります。
風速1mで体感温度が1℃下がると言われています。
気温20℃、風速10mであれば体感温度は10℃となり夏山でも半袖で行動すると低体温症で死亡するリスクが高くなります。
さらに標高が100mあがると約0.6度下がるため、標高2000m、風速10mであればマイナス2度近くに体感温度になります。
ウィンドブレーカーやダウンなどで防寒する必要がある事がこの予報から読み取ることができます。
山の天気予報(ヤマテン)
山の天気予報、通称ヤマテンは気象予報士が特定山域にたいして天気予報を提供しています。
天気予報を知りたい山を登録すると、天気予報と合わせて気象予報士の丁寧な説明が記載されたメールが送られてくるのが特徴です。
天気予報には天気、気温、風向、風速が含まれているので登山計画をたてる上では最低限必要な情報が含まれています。
気象予報士のコメント
9日(木):東日本付近を気圧の谷が東進する。この影響で、朝は雨脚が強まる可能性があり、槍穂や岐阜県側の山岳の稜線では西寄りの風がやや強い。積乱雲の発達に念のため注意。日中は雨風ともに徐々に落ち着き、午後は次第に標高の高い稜線から晴れてくるが、中腹以下では雲がとれにくい見込み。 警戒事項:強風による転滑落(朝のうちまで)、沢の増水(午前)、視界不良による道迷い
10日(金):日本海の高気圧に覆われるため、晴れるが、朝のうち常念山脈の山麓では低い雲が広がりやすい。今のところ、昼頃には高曇りになってきそうだが、湿った空気の影響は変わりやすく、明日の予報で再度ご確認ください。
担当予報士:小林
https://i.yamatenki.co.jp/
◇2021/0x/0x 00:00
天気:雨ときどき風雨
気温:8 ℃
風向:西南西
風速:11 m/s
ヤマテンのWebでの見え方
ヤマテンのWebからでもメールと同じ天気予報や気象予報士からのコメントを見ることができます。
ヤマテンのここがイマイチ
ヤマテンは必要最低限の情報量があり気象予報士からのコメントも客観性があり参考になるものの、降雨量や降水確率がわからない事と、山域や山名で天気予報を検索するため山域などの知識がないと目的の天気予報を探すことができない事がマイナスポイントだと感じました。
また配信されるメールも特定の曜日が選択できないので登山に行かない日も送られてくることがやや残念なポイントです。
てんきとくらす
てんきとくらすは多くの登山者が参考にしているサイトではないでしょうか。
登山指数で登山に向いている天候をひと目でわかるようになっています。予報の間隔も3時間毎であり情報の粒度は高く、簡易的に参考にする天気予報サイトです。
てんきとくらすのここがイマイチ
てんきとくらすでは、晴れ、曇り、雨の指数がなく更新頻度は高いものの、登山指数Aが何を示しているのかわかりずらく、快晴でも風が強い場合はCなどになるケースもあり、天気の状況を詳しく知るには情報が不十分な事です。
また、予報地点が高度4400mと3100mの2点で登山ではアルプスなどの高山帯の予報となっており3000m以下の山では実際の状況がかなり異なるといったケースがあります。
登山天気(アプリ)
登山天気はtenki.jpから提供されており、登山向けに予報が更新されています。
ヤマテンよりも幅広い山に対応している事や、気になる山をお気に入りに入れることができ「晴れの山はあるかな?」と探すことも可能です。
現在地からも天気を山を選ぶことができるので、電波の入る山域であれば常時天気を確認できます。
今回調査対象とした天気予報の中で唯一、天気図にも対応しています。
登山天気のここがイマイチ
アプリの使いやすさとはよくできているのですが、天気に変化があるとプッシュ通知がされるなどの機能があればより使いやすいと感じました。
登山の天気は当たるのか?
気象予報士が様々なデータを利用して天気予報を作成していますが、山岳地帯の天気は非常に早く変わり、環境や気温が大きく異るため地上の天気予報のみで計画すると大き異なる場合があります。
ある10日(金)地点の槍ヶ岳の天気予報をそれぞれ見比べてみました。どの天気予報も午前中晴れを示しています。
実際の天気は全ての予報が示すように晴れており、どの天気予報も今回は当たりということになります。
この事から、晴れの天気は曇りや雨よりも精度が出しやすいためどの天気予報でも当たりことが多いと感じます。
まとめ
てんきとくらすは情報が少ないため、てんきとくらすだけを参考にするのはリスクが高くtenki.jpも麓の天気で山岳地帯とは大きく異る事があるた同様にリスクが高いと感じました。
山の気象条件を考慮して予報を更新しているヤマテンと登山天気アプリは安心して利用できると感じました。
1つの情報だけを過信せずに、ビジターセンターや山小屋のSNSなどでも天気や登山道の情報を更新していただいてるので生の現地の声も重要になります。
天気予報の知識は生涯役立つ知識で、登山中の雲の様子などからでも簡易的に予測できたるするので挑戦してみましょう。