【北アルプス】東京新宿発・おもな登山口へのアクセスを比較~お安く行けるその方法は?~

コラム

間もなく本格的な夏山シーズンの幕開けとなりますが、既に憧れの山域への登山を計画されている方も多いことでしょう。

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新幹線や高速道路の開通により登山口までの利便性が向上する一方で、どうしても片道1万円以上が相場となる「元来からの交通費の悩み」に加え、更なるガソリン価格の上昇に頭を悩ませる登山者もいらっしゃることかと思います。

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本記事では、2022年・東京新宿発の北アルプス夏山登山を想定し、主要登山口9か所へのアクセス費用をまとめました。

比較対象となるのは「マイカー」「バス(高速バスと登山ツアーのバス)」「鉄道」三つの交通機関となります。

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※ソースは各社公式webサイト等になりますが、表示された運賃・料金等は時期や経路等により変動いたします。あくまでご参考としてご覧いただき、ご利用の場合は必ず公式情報をご参照いただきますようお願い申し上げます。情報は2022年5~6月時点のものとなります。

目次

上高地(穂高岳・槍ヶ岳方面)

おなじみ「槍ヶ岳(3,180m)」や「奥穂高岳(3,190m)」を中心とした、槍穂高連峰の山々にもアプローチが可能な登山拠点となります。

その景勝を遠方より求めるのは登山者に限らず、エリアの中心となる「河童橋」周辺は多くの観光客で賑わいます。

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マイカー規制が敷かれているため、車の場合は所定の駐車場(さわんどあかんだな)に駐車後、シャトルバスへの乗換が必須となります。

手段料金・運賃到着時刻

マイカー
※約250㎞
■9,081円
燃料1,921円
高速3,860円(永福~松本)
駐車2,100円(さわんど
バス1,200円(シャトルバス
5:30
高速バス
※深夜便
6,000~12,200円5:20
登山ツアーのバス
※深夜便
8,200~10,200円5:20
JR特急+バス
※新宿~松本~新島々経由
10,040円
鉄道8,040円
バス2,000円
11:55

マイカー【距離】大手検索エンジンの運営するweb上の経路検索を使用。【燃料】燃費は国土交通省「ガソリン乗用車のJC08モード燃費平均値(平成30年度)」により22.0㎞/Lに設定。車種・重量・山岳道路走行により変化する場合があります。価格は経済産業省「石油製品小売市況調査(令和4年5月18日)・関東」のレギュラーガソリン169円/Lに設定。地域差があります。【高速】ETC深夜割引適用後の料金。【駐車代】1日あたり駐車料金✕3日で計算しています。【シャトルバス】往復割引等の運賃が設定されている場合適用後の運賃。

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人気のエリアとなるため、マイカー・公共交通を含め各アクセスには恵まれています。
しかし朝の上高地方面および夕方の駐車場方面は特に混雑が見られるため、登山行程には余裕を持ちたいところです。

白馬・八方(白馬岳、唐松岳、五竜岳)

1995年の冬季五輪の舞台ともなった山岳リゾート白馬周辺には、白馬岳(2,932m)を始め、唐松岳、五竜岳など登山者憧れの3,000m級の山々が連なっています。
おもな登山口には栂池(小谷村)、猿倉、八方、白馬五竜などがあり、目的とする山によりスタート地点が異なるのが特徴です。

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五竜岳登山口「アルプス平」や唐松岳登山口「八方池山荘」へは別途ゴンドラ・リフトの乗車が必要となります。登山・下山時間に関わるために事前の情報収集が大切になるでしょう。ここでは、ゴンドラ・リフトの乗場に至るまでのアクセスを比較しています。

手段料金・運賃到着時刻
マイカー
※約275㎞
6,073~9,073円
燃料2,113円
高速3,960円(永福~安曇野)
駐車0~3,000円
任意
高速バス
※深夜便
■4,200~8,400円
※夜行割増含む
五竜5:32八方5:44
※猿倉は要乗換
登山ツアーのバス
※深夜便
猿倉8,500~10,000円
五竜八方7,500~9,000円
五竜5:10八方5:25猿倉5:50
JR特急+バス
※新宿~松本~白馬駅経由
8,230~9,050円
鉄道8,050円
バス180~1,000円
八方11:55猿倉12:27
新幹線+バス
※新宿~大宮~長野駅経由
■8,910円
鉄道6,710円
バス2,200円(長野駅~八方)
五竜9:25八方9:35
※猿倉は要乗換

マイカー駐車場:登山口「白馬五竜(五竜岳)」および「猿倉(白馬岳)」の駐車場はそれぞれ1カ所・無料(2022年5月現在)となりますが、「八方(唐松岳)」と「栂池」周辺には複数の駐車場があり、有料と無料に分かれています。

猿倉へのバス:高速バスと新幹線を利用した場合、白馬岳登山口(猿倉)へは、白馬八方での乗換(猿倉行950円)が必要となります。

五竜への鉄道(特急):特急のとまる白馬駅から五竜方面へのバスは無いため、こちらをご覧ください。

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扇沢(アルペンルート、爺ヶ岳、鹿島槍)

鹿島槍ヶ岳や爺ヶ岳を始めとする後立山連峰南部の登山を始め、「黒部立山アルペンルート」の長野側拠点となっています。
ハイシーズンは登山者・観光客で非常に混雑するエリアの一つです。

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マイカー駐車場は無料・有料の駐車場に分かれていますが、ピーク期は早い時間帯に満車になるケースも見られます。その場合は、大町市街地方面に下った臨時駐車場をすることになり、シャトルバスでのアクセスが必要となります。

手段料金・運賃到着時刻
マイカー
※約260㎞
■8,957円
燃料1,997円
高速3,960円(永福~安曇野)
駐車3,000円(扇沢有料
任意
高速バス
※深夜便
■4,200~8,400円
※夜行割増含む
5:32
登山ツアーのバス■7,500~9,000円4:15
JR特急+バス
※新宿~松本~大町経由
■8,640円
鉄道7,390円
バス1,250円(大町駅~扇沢)
12:15
新幹線+バス
※新宿~大宮~長野経由
■9,810円
鉄道6,710円
バス3,100円(長野駅~扇沢)
10:45
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七倉・高瀬ダム(裏銀座)

国内屈指の長距離縦走コースとなる「裏銀座」を始め、登山者のみ辿り着くことが可能な秘湯「湯俣」などの拠点となります。
マイカー駐車場のある「七倉」から先「高瀬ダム」までの区間は、許可された特定タクシーと徒歩以外での進入が不可となっています。

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手段料金・運賃到着時刻
マイカー
※約265㎞
■8,396円
燃料2,036円
高速3,960円(永福~安曇野)
特定タクシー2,400円
5:45
※七倉が5:30開通の場合
登山ツアーのバス
※深夜便
■9,900~11,400円
バス7,500~9,000円
特定タクシー2,400円
5:45
※七倉が5:30開通の場合
JR特急+タクシー
※新宿~松本~大町経由
■16,830円
鉄道7,390円
タクシー9,440円
11:40

七倉から高瀬ダム間の約5㎞(90分)を徒歩ですすむ場合、まずは「山の神隧道(約1.2㎞)」を歩くことになります。登山者が動きだす未明はトンネル照明が消されており、ヘッデンを頼りに坑口に入る瞬間は少し戸惑うかもしれません。

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中房温泉(燕岳、表銀座)

北アルプスの”女王”燕岳(2,763m)や、槍ヶ岳に続く「表銀座縦走ルート」の起点ともなっている人気の登山口です。秘湯・中房温泉に隣接しているため、登山の後には疲れをゆっくりと癒すこともできます。

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手段料金・運賃到着時刻
マイカー
※約250㎞
5,881円
燃料1,921円
高速3,960円(永福~安曇野)
任意

高速バス路線バス
※深夜便
■5,100~9,300円
高速3,600~7,800円
路線1,500円
※穂高乗換
5:35~6:05

登山ツアーのバス
※深夜便
■11,000~13,000円5:30~6:00
JR特急+バス
※新宿~松本~穂高経由
8,560円
鉄道7,060円
バス1,500円
12:05

中房温泉駐車場が満車の場合は山麓の臨時駐車場に案内され、シャトルバスにて登山口にアクセスすることになります。深夜バスの場合は、価格と乗継の有無を天秤にかけて選びたいところです。

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三股(蝶ヶ岳、常念岳)

信州・安曇野盆地からその雄大な姿を見られる「常念山脈」方面へのエリアです。お隣「一の沢登山口」と並び、日本百名山・常念岳(2,857m)や槍穂高連峰の展望が広がる蝶ヶ岳(2,677m)への最速コース起点ともなります。

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手段料金・運賃到着時刻
マイカー
※約240㎞
■5,804円
燃料1,844円
高速3,960円(永福~安曇野)
任意

登山ツアーのバス
※深夜便
■12,000~14,000円5:00
JR特急+タクシー
※新宿~松本~豊科経由
13,200円
鉄道7,060円
タクシー6,140円
11:00※

※豊科駅での乗換時間に8分

公共交通機関でのアクセスが限られるため、駐車場が確保できればマイカーでのアクセスが便利となります。Yamariiでは、登山者同士のライドシェア機能も選択できるため、登山者同士で費用を抑えることも可能となっています。

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新穂高温泉(笠ヶ岳、双六岳、西穂高岳、槍ヶ岳)

新宿を出発地とした場合、北アルプスを一度越えてからのアプローチが必要なエリアとなります。槍ヶ岳への「飛騨沢コース」や笠ヶ岳への急登「笠新道」を始め、双六岳方面の裏銀座、新穂高ロープウェイでの西穂高岳といった複数方面への登山拠点となります。

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手段料金・運賃到着時刻
マイカー
※約280㎞
6,561円
燃料2,151円
高速4,410円(永福~松本ほか)
別途駐車料金
任意
登山ツアーのバス
※深夜便
■9,500~11,500円5:30
高速バス
※昼行便
■6,710~7,110円
高速5,800~6,200円
路線910円
12:48
※平湯でバス乗継
JR特急+バス
※新宿~松本経由
9,820円
鉄道6,620円
バス3,200円
12:48

複数の駐車場が登山口(新穂高登山指導センター)周辺に点在していますが、満車の場合は鍋平駐車場(登山口まで標高差約150m・徒歩)に誘導されることになります。公共交通の場合、昼行の高速バス(平湯で乗継)がコストパフォーマンスに優れているようです。

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折立(薬師岳、雲の平)

富山を代表する一級河川、常願寺川の支流に水をたたえる有峰湖に近い標高約1,350mの登山口です。1日ではたどり着くことが難しい”雲の平”や、名峰・薬師岳(2,926m)を始めとする立山連峰の山々へ接続する登山拠点となります。

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手段料金・運賃到着時刻
マイカー
※約345㎞
※平湯、山之村経由
9,060円
燃料2,650円
高速4,410円(永福~松本など)
林道2,000円
20:00~6:00は林道通行止
登山ツアーのバス
※深夜便
14,500~16,000円6:40
新幹線+バス
※新宿~東京~富山経由
17,000円
鉄道13,900円
バス3,100円
11:15

登山口に続く有峰林道に時間制限(20:00~翌6:00通行止)があるため、どの交通機関でアクセスする場合にも気を付けたいポイントです。折立登山口にはお手洗い、前泊等で利用ができる幕営地もあります。

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立山室堂(アルペンルート、立山、剱岳)

信濃大町と富山を結ぶ「立山黒部アルペンルート」を代表する登山・観光拠点となります。険しい岩稜帯の続く「剱岳(2,999m)」や、霊山として古来より信仰の対象となっている「立山(3,015m)」への登山口となります。

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マイカーの場合は立山駅で駐車し、アルペンルート(ケーブルカー・バス)を利用することになります。立山駅には1,000台以上(混雑期のみの臨時駐車場ふくむ)の区画がありますが、それでも夏季繁忙時には混雑が見られます。アルペンルートは乗車待ちが必要となる場合もあるため、行程には余裕を持ちたいところです。

手段料金・運賃到着時刻
マイカー+アルペンR
※約360㎞
※平湯、足尾経由
10,336円
燃料2,766円
高速4,410円(永福~松本など)
ほか3,160円(立山駅~室堂)
7:50
登山ツアーのバス
※室堂直行
16,000~17,500円7:00
新幹線+バス
※大宮~黒部宇奈月温泉経由
15,640円
鉄道11,340円
バス4,300円
11:55
新幹線+アルペンR
※大宮~長野~扇沢経由
15,950円
鉄道6,710円
バス3,100円
ほか6,140円(扇沢~室堂)
13:10

登山ツアーのバス、あるいは北陸新幹線からのバスを利用して室堂を目指す場合には乗換が発生しないため、混雑期には便利な手段となっています。

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おわりに

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以上、東京新宿発の北アルプス山行を想定し、主要登山口9か所への「マイカー」「バス(高速バスと登山ツアーのバス)」「鉄道」三つの方法でのアクセス費用を比較、ご紹介させていただきました。登山口により優位な交通手段が異なる状況となりますので、ぜひ登山計画前のご参考に頂けると幸いです。