【明るさはどれがいい?】登山のヘッドライト比較と選び方を紹介

登山用品・登山装備

目次

登山にヘッドランプは必要?

出典:Pixta

突然ですが、あなたは登山にヘッドランプを持って行っていますか?

「日帰り登山しか行かないから自分には必要ない。」「スマートフォンのライトで十分でしょ。」とお考えの方いらっしゃいませんか?

実はそれ危険な考えです。

日帰り登山でも道に迷ってしまったり、段差で足をくじいて大幅にペースダウンし、下山するころには真っ暗ということがあり得ます。

そんな時スマホのライトで安全に下山できるでしょうか?

スマホのライトとヘッドランプを明るさ別に比較し、おすすめの使用シーンを紹介します。

ご自身の登山スタイルに合わせたヘッドランプ選びの参考にしてみてください。

ヘッドランプを選ぶときのポイント

明るさ

出典:Pixta

ヘッドランプを選ぶときにまず見るべきポイントが明るさです。

ヘッドランプの明るさは「ルーメン」という単位で表されます。

数値が大きければ大きいほど明るくなりますが、それに比例してお値段も上がっていきます。

日帰り登山しか行かないのに、1万円近くする900ルーメンのヘッドランプを買うのは少しオーバースペックな気がしますよね。

登山スタイル別におすすめのルーメン数をまとめてみます。

ルーメン(明るさ)主な用途
60~100ルーメングループで日帰り登山をされる方
200~400ルーメングループ登山のリーダーをする方、ソロ登山をする方、テント泊・小屋泊登山で夜明け前から活動される方
500ルーメン以上ナイトハイクをされる方、ルートファインディングが必要とされる大会に出場される方

登山を始めたばかりで日帰りでしか歩かないという方は100ルーメン以下のモデルのヘッドランプを選んでおくと安心です。

照射距離

出典:Pixta

ルーメンと同様にチェックすべき重要ポイントが照射距離です。

ルーメン数が大きければそれに比例して照射距離も長くなります。

照射距離が長ければ先のルート状況を確認できたり、道標やマーキングを探しやすくなります。

また同じルーメン数で照射距離が違った場合、照射距離が長い方が1点に光を集める力が強くなる傾向にあり、道標の字を見たいときなどより明るく見えます。

光を1点に集中させて見えやすくする「ビームモード」というモードを搭載しているヘッドランプもありますが、すべての商品でパッケージに記載されているわけではありません。

そんな時は照射距離をチェックして、距離が長い方を選ぶと良いでしょう。

バッテリータイプ

出典:Pixta

ヘッドランプのバッテリーは大きく分けて電池式と充電式の2つに分かれます。

以下でそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

電池式のメリット

  • ヘッドランプの値段が安い
  • 山の中で電池が切れてしまっても、予備の乾電池があれば使える。
  • 充電式(リチウムイオン)と比べると寒さに強い

電池式のデメリット

  • ランニングコストがかかる
  • 電池の寿命が減ってくれば、MAXの明るさを維持できない

充電式のメリット

  • フル充電しておけば常にMAXの明るさを維持できる
  • モバイルバッテリーなどでいつでも充電できる
  • ランニングコストが安い

充電式のデメリット

  • ヘッドランプ本体の値段が高い
  • 長期縦走時、モバイルバッテリーがないと充電が切れたときに使えなくなる
  • リチウムイオンの場合、乾電池と比べると寒さに弱い

最近では電池式と充電式のハイブリッドモデルも出ているので、普段は充電式で使って万が一の時は乾電池を入れて使うという方法がオススメです。

防水性

出典:Pixta

山の天気は変わりやすいのでさっきまで晴れていたのに、突然雨ということもありますよね。

そんな突発的な雨に備えてヘッドランプの防水性はチェックしておきたいポイントです。

防水性はIPXという数値で表されますが、登山であれば最低でもIPX4はほしいところです。

アルプスの稜線上など風の強い場所で雨にさらされる場合はIPX5~6あればさらに安心です。

スマホをヘッドライトとして使えるか?

比較対象としてスマートフォンの明るさを見ておきましょう。

足元、3m先の標識、50mほどの長さがある登山道で検証しています。

使用しているスマートフォンはiPhone8です。

iPhoneでの足元の明るさ(筆者撮影)

足元は問題なく見えます。

iPhoneでの3m先の明るさ(筆者撮影)

ですが3m先の標識の存在は確認できますが文字を読むことは難しいです。

iPhoneでの50m先の明るさ(筆者撮影)

さらに標識の脇から50mほど伸びている登山道はまったく先が見えません。

スマホのライトをヘッドライト代わりにするのは危険

スマホの明るさが十分ではなく、登山で使用すると標識や分岐を見落とし遭難や滑落に発展する可能性があります。

またヘッドランプと違ってスマートフォンは手に持たなければならないため片手がふさがってしまうので、3点支持が必要な岩場などでは危険です。

  • 明るさが十分ではない
  • 両手が使えなくなる
  • バッテリー切れやいざという時に救助を呼べなくなる

明るさごとにヘッドライトを紹介

ブラックダイヤモンド フレア

筆者撮影

ベルトが細いので、頭に巻いたときにずり落ちてこないか心配でしたが、思っていた以上にフィットしました。

紐になっているのでテント内で吊るしてランタン代わりに使っても良いですし、トレッキングポールに巻き付けてサブライトとしての使用もできそうです。

またキャンプの時に木の枝などにくくり付けて使うのも便利そうですね。

照射モードは全部で5つあり、赤色LED、赤色LED点滅、4ルーメン、40ルーメン、SOSライトが備えてあります。

照射モードの変更はダイヤルで行うため、初心者の方でも扱いやすいです。

ただ頭に付けた状態で片手でモードを変えようとすると、ダイヤルがやや硬くやりにくく感じます。

手袋を付けていると尚更操作しずらかったです。

ヘッドランプ本体を片手で抑えて、もう片方の手でダイヤルをいじる必要があるため、サッと照射モードを変更したいシーンでは不向きです。

明るさを確認してみます。

ブラックダイヤモンド フレア(筆者撮影)

4ルーメンでは足元もほぼ見えず、登山で使うには不安な明るさです。

ブラックダイヤモンド フレア(筆者撮影)

最大光量の40ルーメンでも足元は辛うじて見えますが、3m先の標識はなんとなく存在が確認できる程度ですね。

ブラックダイヤモンド フレア(筆者撮影)

50m先はどちらの明るさでも全く見えません。

登山のメインライトとして使用するのは控えた方が良いでしょう。

おすすめの使用シーン

  • キャンプ時、トイレに行く時などのライトとして
  • 山小屋やテント内で使うサブライトとして

ブラックダイヤモンド スポットライト200

ブラックダイヤモンド スポットライト200(筆者撮影)

最大光量200ルーメンながら本体は軽量で、頭に付けていてもストレスを感じにくいです。

照射モードは赤色LED、6ルーメン、100ルーメン、200ルーメンの4つを備えています。

ボタンをやや長押しすることでモードを変更することができます。

シンプルな操作性なので初心者の方にもオススメです。

ベルトも長さ調節がしやすく、動いてもずれ落ちにくいように感じます。

ボタンが若干硬いのが少し気になりますが、慣れてしまえば使いやすそうなヘッドランプです。

それでは明るさを確認してみましょう。

ブラックダイヤモンド スポットライト200(筆者撮影)

6ルーメンだと足元は問題なく明るいですが、歩く時ではなくテントや小屋内で使うと良さそうな明るさです。

ブラックダイヤモンド スポットライト200(筆者撮影 )

標識の文字も問題なく読めます。

200ルーメンの方が若干光が強く当たっているように感じます。

ブラックダイヤモンド スポットライト200(筆者撮影)

100ルーメンでも先の登山道の様子はなんとなく確認できますが、夜明け前の暗い時間に使用する時であれば200ルーメンで使用した方が安心です。

これぐらいの明るさがあれば一般登山道を歩く縦走登山で十分使用できます。

おすすめの使用シーン

  • 日帰りのグループ登山でリーダーを務めるとき
  • テント泊・小屋泊登山で夜明け前から活動する時

ブラックダイヤモンド リボルト350

筆者撮影

充電式と電池式のハイブリッドタイプでランニングコストを節約できる上、万が一の時には電池でも使用できるため安心です。

インジケーターが付いているのでバッテリーの残量を確認することができます。

照射モードは赤色LED、6ルーメン、180ルーメン、350ルーメンの4つを備えています。

実際に使ってみたところ、ボタン操作がやや複雑な印象を受けました。

説明書をよく読んでから使えば特に問題はないのですが、読まずにいきなり使うと戸惑いそうです。

また照射モードの変更に慣れるのに時間がかかりそうな感じがしました。

ベルトは本体に重みがある分十分な太さになっていますが、大きく頭を動かしたときにずれてくる感じはします。

きつめにベルトを締めた方が良いかもしれません。

それでは明るさを見てみましょう。

ブラックダイヤモンド リボルト350(筆者撮影 )

180ルーメン、350ルーメンあれば足元はかなりくっきり見えます。

ブラックダイヤモンド リボルト350(筆者撮影)

3m先の標識も難なく確認できます。

ブラックダイヤモンド リボルト350(筆者撮影)

180ルーメンであれば登山道はあまり遠くまでは照らせませんが、普通に歩く分にはまったく問題ないです。

350ルーメンにすれば10m先ぐらいまでは見えるため、夜明け前に道が不明瞭なところを歩く場合は光量MAXで使用すれば安心です。

おすすめの使用シーン

  • テント泊・小屋泊登山で夜明け前から活動する時
  • ルートファインディングが必要なところを歩く時

ブラックダイヤモンド ストーム400

ブラックダイヤモンド ストーム400(筆者撮影)

ストーム400は前項のリボルト350に比べて明るいにも関わらず、電池式のためお安くなっています。

ですが単4電池を4本使用するためランニングコストがかかる点は気を付けましょう。

電池式には珍しくLEDインジケーターが付いており、電池残量を確認することができるのは便利ですね。

照射モードは赤色LED、8ルーメン、180ルーメン、400ルーメンの4つを備えています。

ストーム400もボタン操作がやや複雑に感じました。

こちらも慣れるのにやや時間がかかりそうです。

またベルトはしっかりした太さがあるのですが、本体に重みがある分大きく頭を動かしたときにずれてくる感じはしました。

ですがこれはベルトをきつめに締めておけば解決されます。

それでは明るさを見てみましょう。

ブラックダイヤモンド ストーム400(筆者撮影)

400ルーメンだと足元は昼間のように明るいです。

ブラックダイヤモンド ストーム400筆者撮影)

8ルーメンだと3m先を照らすのは心許ないですが、180ルーメン以上であれば問題なく見えます。

400ルーメンになると前項のリボルト350とあまり変わらないように感じますが、照射距離が長いため1か所に光を当てたときによりハッキリと見えました。

ブラックダイヤモンド ストーム400(筆者撮影)

50mほどの登山道を見ても400ルーメンだと先のところまでハッキリと見ることができます。

おすすめの使用シーン

  • テント泊・小屋泊登山で夜明け前から活動する時
  • ルートファインディングが必要なところを歩く時

ペツル スイフトRL

ペツル スイフトRL(筆者撮影)

ペツルのスイフトRLは手動で照射モードを変更できるスタンダードモードと、周囲の明るさを感知して自動で照射モードを調節してくれるリアクティブモードを備えています。

夜明け前から歩いていると夜が明けてきてもヘッドランプをつけっぱなしにしていた!なんてことがありますが、リアクティブモードにしておけば明るさを感知して自動で消灯してくれる優れものなんです。

充電タイプなので繰り返し使えますが、万が一に備えて予備のバッテリーかモバイルバッテリーを携行しておく必要はあります。

残量が分かるインジケーターが付いているので、使用前に確認するようにしましょう。

リアクティブモードも然りですが、スイッチには不意の点灯を防ぐためにロックがかけられるようになっており、徹底してバッテリーの消耗を防ぐような作りになっています。

またベルトですが後頭部に当たる部分が2股に分かれているため、フィット感が抜群です。

ただお値段が¥14,850と結構するので、日帰り低山しか行かない方にとってはオーバースペックかもしれません。

リアクティブモードで明るさを確認してみます。

ペツル スイフトRL(筆者撮影)

Lowモードですでに100ルーメンとかなり明るいです。

ペツル スイフトRL(筆者撮影)

ですがブラックダイヤモンドの同じぐらいのルーメン数のヘッドランプと比較した時に、ペツルの方が広範囲を照らしてくれているような感じがします。

広範囲をボヤッと照らすため、1か所に光を集中させて道標の字などを見たい場合はブラックダイヤモンドのヘッドランプの方が使いやすそうです。

ペツル スイフトRL(筆者撮影)

MAXの900ルーメンになるとかなり明るく、登山道のカーブぐらいまではしっかり確認することができました。

おすすめの使用シーン

  • ルートファインディングが必要とされる道を歩く時
  • ナイトハイクをする時

明るさの比較

Lowモード

Lowモードは低電力なモードで、消費電力は低くなり長時間利用できます。

テント内などでは十分な明るさを確保できる事が多いですが、行動では明るさが十分ではない事が多いでしょう。

Lowモードでの足元の見え方

筆者撮影

ブラックダイヤモンドのフレアを除くと、足元はどの製品も明るく照らす事ができそうです。

Lowモードでの3m先の標識の見え方

筆者撮影

3m離れると、スマホ、ブラックダイヤモンドフレアは殆ど視界を確保できませんでした。

移動する場合は足元ばかりに視線がゆき、道迷いやつまづきなどの怪我に発展するリスクが高そうだと感じましt。

Lowモードでの50mの登山道の見え方

筆者撮影

Lowモードでの50m先は殆どのヘッドライトが十分な明るさを発揮できませんでした。

Medモード

Medモードは消費電力と明るさのバランスが取れたモードになり、物によっては行動が可能になります。

Medモードでの足元の見え方

筆者撮影

Medモードでの3m先の標識の見え方

筆者撮影

Medモードでもスマホとフレアは厳しいですが、それ以外は十分な明るさがあり、視線も下がることなく行動もスムーズにできそうでした。

Medモードでの50mの登山道の見え方

筆者撮影

50m先は「次どこに道があるか?」の判別に非常に重要な距離感となりますが、200ルーメン以上あれば分岐も見落としづらい明るさがありそうでした。

Maxモード

消費電力が最も大きい分、明るさも最大で夜間の行動は快適になります。

Maxモードでの足元の見え方

筆者撮影

Maxモードですと、2m未満の近距離は明るすぎて眩しそうでした。

小屋内や藪こぎでは眩しく感じるでしょう。

Maxモードでの3m先の標識の見え方

筆者撮影

3m先の文字も認識でき、非常に快適な明るさになります。

Maxモードでの50mの登山道の見え方

筆者撮影

200ルーメン以上あればMaxモードでも快適に行動できる明るさがありそうでした。

比較表

価格重量バッテリータイプルーメン数照射距離照射可能時間おすすめの使い方防水規格
ブラックダイヤモンド フレア¥2,97027gCR2032リチウム電池x2個Low:4lm
Max:40lm
Low:1m
Max:10m
Low:15h
Max:4h
IP67
ブラックダイヤモンド スポットライト200¥3,63054g単4電池2本Low:6lm
Med:100lm
Max:200lm
Low:3m
Mid:32m
Max:62m
Low:60h
Mid:12h
Max:1.5h
キャンプ、山小屋やテント内での利用IPX8
ブラックダイヤモンド リボルト350¥7,81091g1800mAhリチウムイオン電池or単4電池3本Low:6lm
Med:180lm
Max:350lm
Low:8m
Mid:60m
Max:82m
Low:120h
Mid:7h
Max:3h
日帰りで先頭を歩くリーダー、明け方などの行動IPX4
ブラックダイヤモンド ストーム400¥5,940120g 単4電池4本 Low:8lm
Med:180lm
Max:400lm
Low:9m
Mid:45m
Max:100m
Low:150h
Mid:10h
Max:5h
陽が出てない夜の行動、ナイトハイクIP67
ペツル スイフトRL¥14,850100g2350mAhリチウムイオン電池 スタンダード
Low:10lm
Med:200lm
Max:550lm

リアクティブ
Low:100lm
Med:300lm
Max:900lm
スタンダード
Low:12m
Med:55m
Max:110m

リアクティブ
Low:35m
Med:55m
Max:150m
スタンダード
Low:100h
Mid:5h
Max:2h

リアクティブ
Low:10-50h
Mid:5-40h
Max:2-30h
ナイトハイク、道迷いのリスクが高い行動時 IPX4

安心登山のためにヘッドランプを持って行こう!

出典:Pixta

自然の中で遊ぶからこそ何が起こるか分からないのが登山の怖さです。

暗くなってしまったときに行動不能にならないよう、日帰りであってもヘッドランプは必ず持って行くようにしましょう。

お店に行ったら明るさや照射距離をチェックしてみてください。

ご自分の登山スタイルにぴったりなヘッドランプが見つかるはずです。