【硫黄岳から赤岳縦走】南八ヶ岳を堪能するおすすめルートを詳しく紹介

山紹介

国内随一の山岳地域である長野県。

その中でも初心者から上級者まで幅広い登山者を迎え入れ、登山の魅力が存分に詰まっているのが八ヶ岳です。

八ヶ岳エリアで岩稜帯で峻険なルートが多い南八ヶ岳は、高所での縦走を存分に楽しめるとして、シーズン中は多くの登山者が訪れています。今回は南八ヶ岳の硫黄岳から赤岳までの縦走をご紹介します。

目次

南八ヶ岳とは

主に樹林帯が多く歩きやすいイメージのある北八ヶ岳と比較して、切り立った岩峰と麓から見ても強い存在感を放っているのが南八ヶ岳エリアです。

南端の編笠山から北に進み、境界となる夏沢峠までが南八ヶ岳とされ、歩きやすい場所はあるものの、硫黄岳から阿弥陀岳、その他バリエーションルートを始め、わずかな足場、森林限界を越えた強風、アップダウンの激しい岩稜などの難所が待ち受けます。

辛い道を越えた先にある頂上からの眺望は遮るもののない絶景が広がり、南八ヶ岳の岩峰の数々と人々の営みが調和された世界は目に焼き付いて離れず、登山の魅力を存分に感じさせてくれます。

無雪期は初級者から上級者まで受け入れる懐の深いエリアですが、冬はアルパインの世界となり、厳しい世界を生きる技術と精神を持った者だけが挑めるフィールドに変わります。

今回のおすすめルート

出典:ヤマプラ

南八ヶ岳エリアの中で多くの人が登られているのが、主峰の赤岳です。

この八ヶ岳を北方の硫黄岳から赤岳まで至るルートは、南八ヶ岳の中でメジャーとも言える縦走路で、今回のおすすめルートです。

南八ヶ岳の玄関口である美濃戸をスタートし、ベースとなる赤岳鉱泉で一泊、翌日に硫黄岳方面の稜線に上がり、岩稜帯を縦走して赤岳に登頂します。

1日目

美濃戸〜赤岳鉱泉

移動時間2時間
移動距離3.6km
標高差518m

初日は赤岳山荘のある美濃戸から赤岳鉱泉まで向かいます。
美濃戸までのアプローチはマイカーになり、徒歩で美濃戸まで行く時は手前の美濃戸口から1時間ほど歩きます。
※シーズンの土日祝日は大変混み合うので、マイカーアクセスの際は早朝に赤岳山荘に到着することをおすすめします。

赤岳山荘をスタートし、5分ほど歩くと分岐に到着、赤岳鉱泉方面に向かっていきます。

始めは関係車両が通る道をゆっくり標高を上げながら歩き、次第に堰堤広場と呼ばれる場所に着きます。

ここから登山道となり、沢沿いの樹林帯を歩きます。

街の暑さとは一変し、沢沿いの涼しい環境に身も心も癒やされます。

沢を左右に渡りながら登り続けると赤岳鉱泉手前の樹林帯に入り、抜けた先に南八ヶ岳随一のベースキャンプ地、赤岳鉱泉に到着します。

今回はテントで一泊です。

赤岳鉱泉は何度かテント泊で利用していますが、綺麗なトイレと貴重な水を補給でき、樹林帯の中にあるテント場と、テント泊が初めての方でもおすすめです。
この日はテント場でまったりしながら就寝しました。

2日目

移動時間8時間
移動距離11.7km
標高差2,469m

2日目は朝5時頃、霧の中赤岳鉱泉から硫黄岳を目指します。

硫黄岳登頂後、赤岳まで岩稜を縦走、登頂します。
山頂で一息ついたら文三郎尾根を使って赤岳鉱泉まで降り、テントを撤収して美濃戸まで下山します。

出発は天候が崩れやすい午後を避けるため、早朝にスタートします。アタックザックがあれば日帰り用の装備を入れておくと良いです。

非常に身軽で歩きやすいので、ベースキャンプを設置して登る場合はおすすめです。

樹林帯を2時間近く登ると赤岩の頭に到達、南八ヶ岳の稜線に出ます。

これまで見上げていた山の上に立つ瞬間であり、八ヶ岳の壮大な山々は息を呑む美しさがあります。
この日は雲が取れてきて、ダイナミックな景色が撮れました。

赤岩の頭から少し登ると、硫黄岳山頂に着きます。

名所の爆裂火口は南八ヶ岳を象徴する光景であり、恐怖と美しさを同時に表現された自然の造形美が広がります。

硫黄岳山頂は風が強く、夏場もさることながら、厳冬期は立つことさえ困難な爆風が吹き荒れるので、景色を楽しんだら横岳を目指して本格的な縦走を開始します。

休憩地である硫黄岳山荘を過ぎると、ここからは慎重な移動が必要となる岩稜に突入です。

足場はしっかりしているところもありますが、幅は狭く、足を踏み外せば生命の危険もあるエリアになります。十分な体力を持って臨むのが大切ですが、基本的なクライミング動作を覚えておくと、落ち着いた移動が可能になります。

硫黄岳からの中間地点であり、最高峰の赤岳に次ぐ標高を持つ横岳に到着です。

息を整え、水分と行動食で栄養補給したら、赤岳までの後半戦に入ります。

厳しい岩場が続きますが、集中を切らさず慎重に。

険しい道ですが、ふと見る景色がどこも絶景です。

直下の赤岳天望荘。ここで最後の休憩です。

赤岳山頂方面を見上げ、最後の上りです。

シーズン中は登降の登山者が行き交うので、落石やルートを塞がないなど、細心の注意を払って登ります。

ゼェハァと息を切らして登り続けると赤岳頂上山荘に至り、赤岳山頂は目の前です。

遂に赤岳山頂に到着です。

赤岳で最後の休憩を済ませたら、文三郎尾根を通り行者小屋を目指します。

文三郎尾根は狭い岩場が続くので、疲労の影響でバランスを崩して滑落、怪我をしないよう注意して下ります。

時間や体力の余裕があれば阿弥陀岳も目指せます。

岩場を終えると樹林帯に。

行者小屋に到着です。ここから赤岳鉱泉までは30分ほどです。

樹林帯を行きます。

赤岳鉱泉に戻ってきました。ここから美濃戸までの道が残っていますが、テント場に戻ると安心感からか、どっと疲れが吹き出てきます。ゆっくり休んで、撤収準備を始めます。

撤収が完了したら美濃戸に向かって下山します。稜線を歩き切った幸せを噛み締めながら歩き、土産話を沢山詰め込んで帰路につきました。

下山後のおすすめ

たてしな自由農園

現地の食材を扱っていて、採れたての野菜が購入できます。現地の食材を頂くことで、その山の事をより深く知ることができるので、八ヶ岳登山後におすすめしたいお店です。パンやソフトクリームなどの軽食も可能です。

唐沢鉱泉

私が夏の八ヶ岳登山後に足を運ぶことの多い入浴施設です。

天狗岳への登山口でもあり、美濃戸からは少し距離がありますが、昔ながらの風情ある館内と湯に癒やされます。

南八ヶ岳縦走で最高の登山を!

八ヶ岳は初心者から上級者まで、山を登る全ての人に愛される山域です。硫黄岳から赤岳までの縦走路は南八ヶ岳を代表するルートであり、厳しい岩稜帯が待ち受けていますが、登り終えた後は充実感に満たされます。

下山後の1泊であれば下山後の観光も楽しむ余裕もあるので、八ヶ岳を骨の髄まで楽しむことができます。

硫黄岳から赤岳を縦走して八ヶ岳の魅力を十分に堪能してくださいね。