【紅葉】丹沢の紅葉コースまとめ(西丹沢エリア)

山紹介

この記事は首都圏郊外に位置する日本百名山・丹沢の「紅葉情報」と「秋季の混雑傾向」を西丹沢の各エリアごとに取りまとめたものになります。

大山を中心にした東丹沢エリアはこちらをご覧ください。

東丹沢(丹沢編):定番の塔ノ岳、鍋割山をご紹介

〔丹沢地区〕登山道別・秋季混雑予想マップ;ヤマプラに加筆
Yamarii編集部ライター&協力者の延べ約500日の山行および県のレポート等を参考に作成

塔ノ岳(とうのだけ、1,491m)

言わずと知れた表丹沢の主峰。東側に鎮座する大山と並び年間を通じて登山者は多い。大山側とは異なり体力を要するため、登山者中心のエリアとなりアルペンムードも漂う。

塔ノ岳に至る人気のコースは主に2つあり、標高差1,200mを一気に山麓から登る最短の大倉尾根コースか、標高761mのヤビツ峠からスタートし太平洋まで展望の開ける爽快な縦走路を行く表尾根コースが有名。

三ノ塔から望む表尾根と塔ノ岳(PIXTA)

奈良時代に山岳信仰の場として開山したといわれ、行者ヶ岳、菩提(ぼだい)峠など信仰にちなんだ山名もみられる。
4月中旬には山麓の渋沢および大倉付近で開山祭が開かれ、上記両コースからの集中登山が実施されている。山頂の山小屋は尊仏山荘。

紅葉の東丹沢ルート〔1〕:塔ノ岳・大倉尾根コース(大倉~塔ノ岳)

丹沢を代表する登山ルート。

コース上には途中山小屋が5か所あり、それぞれに個性があるのぜ是非立ち寄りたいところ。

大倉尾根の序盤(標高500m付近まで)はスギ・ヒノキの植林帯が多く紅葉箇所は比較的少ないが、「見晴茶屋」から上の標高600~700m付近と「堀山の家」手前の標高900m付近では、紅葉・黄葉箇所が増えてくる。

標高1,100m付近の天神平(戸沢分岐)より上は山地帯特有のブナ・シナノキ・ミズナラ・カエデ類などの植生が中心となり、紅葉の本番となってくる。

11月中旬からの大倉尾根(標高700m付近)

登山者の集中時間帯は大倉登山口の出発が7時~9時(最寄りの小田急渋沢駅から始バス~8時半頃まで)となる。午後は、アクセス良好な大倉への下山を目指し、大倉尾根の往復登山者に加え、表尾根、鍋割山、丹沢山(丹沢縦走路)各方面から登山者が合流してくる傾向にあり、13時~15時半が下山の集中時間帯となる。

少しでも集中時間帯をさけたい場合は、始バスが動き始める6時半前には登山を開始し、午前の10時には下山を開始するといった早出早着が基本となる。

アクセス

小田急線渋沢駅よりバス「大倉行」で約15分。

繁忙期は臨時便が設定される傾向にあるが、それでも始発バス周辺で乗車までの待ち時間が発生することもある。マイカーの場合は、大倉周辺の民間駐車場に駐車することになるが、秋季の週末は7時頃には満車となる日もある。

東丹沢の玄関口:初秋の大倉(秦野戸川公園・風のつり橋)

ここもポイント!

2021年9月11日(土)より、新たに東京駅八重洲口~大倉登山口間で高速バスが運行(土日祝)開始。都心や千葉方面からのアクセスが改善される。詳細はJRバス関東ウェブサイト。

紅葉の東丹沢ルート〔2〕:塔ノ岳・表尾根コース(ヤビツ峠~塔ノ岳)

表尾根は展望に優れる(PIXTA)

登山口はバス利用の場合「大山・イタツミ尾根コース」と同じヤビツ峠(標高761m)。

県道を30分程歩いた富士見橋公衆トイレ付近から登山道に入る。マイカーの場合は、 富士見橋公衆トイレ付近 の「菩提(ぼだい)峠」からのスタートも可能となる。

二ノ塔(にのとう)直下までは植林帯が中心となるため紅葉箇所は少ないが、その先は山岳展望とともに紅葉箇所も多くなる。特に、ほぼ中間地点の三ノ塔(さんのとう、1,205m)からは目的地の塔ノ岳まで続く秋色の稜線が一望できるお勧めのフォトスポット。眼下には次のピークである烏尾(からすお)山が見え、三角屋根の烏尾山荘がアクセントを添える。

表尾根(PIXTA)

三ノ塔から塔ノ岳は約4㎞、コースタイムで約180分あることから、ヤビツ峠の出発時間が遅い場合は無理をせず三ノ塔尾根コースで大倉にエスケープすることも可能。

アクセス と登山者の流れ

登山者の流れとしては小田急秦野駅からのバス(土日祝7時台2便、8時・9時台各1便)到着に合わせ登山者が集中する傾向にある。

一見すると登山口標高が高いために、先に紹介の大倉尾根コースよりも楽な印象も持つが、表尾根コースは塔ノ岳までのコースタイムが約5時間弱と長めとなる。日の入りの早い秋季は出来るだけ早い出発を心がけ、7時台のバスには乗車しておきたい。

また、コース中盤の行者ヶ岳付近には鎖場も存在し、毎年通過に時間を要するが紅葉箇所も多いためのんびりと進んでいきたい。

下山路は大倉尾根が選択されるケースが多いため、午後の塔ノ岳→ヤビツ峠方面の登山者は午前に比べて少ない傾向にある。ただし、ヤビツ峠からのバス本数は1時間に1本程度、終バスも17時前と早いため、公共交通利用の場合は注意が必要。

マイカーの場合はヤビツ峠駐車場か菩提峠駐車場が起点となるが、ヤビツ峠は大山へ向かう登山者と共通利用のため、先に満車となる場合が多い。

富士冠雪と紅葉が同時に楽しめる、秋の丹沢縦走路

ここもポイント!

塔ノ岳手前約30分の木ノ又小屋付近に環境配慮型トイレが増設された。これにより表尾根コース上のトイレは、「富士見橋」「三ノ塔」「烏尾山」「木ノ又小屋」の4箇所。(いずれも要チップ。)

鍋割山(なべわりやま、1,272m)

紅葉の東丹沢ルート〔3〕:鍋割山・二俣経由コース(大倉~鍋割山)

秋の鍋割山稜:原生林が広がり、木々の間からの展望も良好(PIXTA)

登山口は塔ノ岳と同じ、東丹沢の代表的な玄関口大倉。こんもりとした山容が特徴で、山頂付近はブナの原生林となっており、鍋割山~塔ノ岳間の「鍋割山稜」はブナを始めとする木々の黄葉・紅葉が特に美しい。コースも小気味よいアップダウンがあり、塔ノ岳とセットにした周回コースもお勧め。

もちろん展望も申し分なく、稜線右手(南)では太平洋の水平線が、左手(北)には丹沢山・蛭ヶ岳といった丹沢主脈の色づきを望むことが出来る。

鍋割山荘

小屋のご主人(草野氏)が、資材を自力のボッカにより運ばれ建てられた、山頂の一角にたたずむ山小屋。

おなじみ「鍋焼きうどん(1,500円税込)」が有名。林道の終点部分にはうどん用水道水ボッカの協力があり、ペットボトルが置いてある。余力のある方は是非ご協力を。

登山者のボッカ協力が不可欠(ミズヒ沢出合付近)

コース上の注意3つ

1. 台風後の増水

紅葉シーズンは山域の大型台風通過の時期に相当する。

登山道前半は砂利の林道だが、渡渉箇所が2か所あり簡易の木橋がかかる。増水時は流出する場合もある。

2. 日暮れに備えライトを忘れず

中腹までケーブルカーやバスが運行する大山地区とは違い、東西丹沢のメジャーな山は山麓からの標高差が概ね1,000m以上ある。(北アルプス・燕岳などの標高差に匹敵)。

下山には場所により3時間以上程度かかるため、遅くとも13時頃までの下山開始を意識したい。警察庁の集計によると、新型コロナウイルス禍の昨年(令和2年)の遭難事故件数は、多雪エリアでない神奈川県(丹沢・箱根・陣馬などのエリア)で全国ワースト3位(長野県、北海道に次ぐ)となっている。

(PIXTA)
3. 下山時の道迷い

秋季は落ち葉などによりトレースが消える場所がある。

鍋割山の尾根から二俣方面に折れる「後沢乗越(うしろざわのっこし)」は分岐を見落としやすい注意箇所。

テープや案内が増設し改良が施されたが、見落としたまま進むとルートロスの多い櫟山(くぬぎやま)方面に進行するため注意が必要。

後沢乗越:会話などで盛り上がり、分岐を見逃さないよう注意が必要

西丹沢:檜洞丸(ひのきぼらまる)、ユーシン渓谷、山中湖周辺をご紹介

〔丹沢〕登山道別・秋季混雑予想マップ;国土地理院地形図に加筆 Yamarii編集部ライター&協力者の延べ約500日の山行および県のレポート等を参考に作成

檜洞丸・ひのきぼらまる(1,600m)

(PIXTA)西丹沢の核心部

言わずと知れた「西丹沢の盟主」。

5月~6月にかけてのゴヨウツツジ(シロヤシオ)が有名だが秋には真紅に染まる。

他の広葉樹の黄葉やスギ・ヒノキ植林帯の緑、それに晴天が重なると、場所によっては「赤・青・黄色・緑」の四色を楽しむことができる。深山にたたずむ山頂の「青が岳山荘」にはこたつが設置されており、ゆったりとした時間を過ごすことが出来る。

登山口は西丹沢の玄関、西丹沢ビジターセンター。バスの到着8時半頃に合わせ、山頂までの最短ルートである「つつじ新道」を中心に一時的な賑わいを見せるが、東丹沢と比べると全体的には落ち着いた登山を楽しむことができる。

シロヤシオの紅葉

ユーシン渓谷(2021年9月現在、通行止)

秋のユーシン渓谷(PIXTA)

過去にSNSでも話題になった、知る人ぞ知る『丹沢の秘境』と呼ばれている渓谷。周辺の観光地化はされておらず、長時間の徒歩のみでのアクセスが可能。塔ノ岳や丹沢山などの主峰から流れ出る玄倉(くろくら)川をせき止めた玄倉第1発電所ダム周辺では、通称『ユーシンブルー』と紅葉をセットにした絶景が見られる。

通行止め
主要なアクセス路となる玄倉林道をはじめ、ユーシン方面に通じる主要な登山道(雨山峠線、ユーシン塔ノ岳線、同角山稜線)は、斜面崩落等による通行止めが2021年9月現在も継続されています。2022年4月の復旧予定で復旧工事中。
紅葉のユーシンロッジ(休業中・現在は登山道通行止め)

山中湖周辺:明神山・みょうじんやま(1,291m)/高指山・たかざすやま(1,174m)など

(PIXTA)

丹沢の最西端、富士箱根伊豆国立公園と丹沢大山国定公園が隣接するエリア。

富士山や富士五湖の一つである山中湖に隣接しており、紅葉や黄金色に映えるススキと富士山のコントラストは秀逸。この周辺まで来ると、実は大山や塔ノ岳よりも富士山の方が近く、下山後は富士五湖観光とセットにすることも可能。

明神山と高指山を結ぶ稜線(高指山・明神山ハイキングコース)は秋の展望と紅葉が適度にミックスされた爽快なミニ縦走が楽しめる。起点は山中湖畔の平野となる。

西丹沢は静かな登山道が多い(11月の檜洞丸・つつじ新道)

三国山(みくにやま、1,343m)は 山梨・静岡・神奈川の3県境が交差する山中湖南方のピーク。

山頂はナラ等が広がる樹林帯のため展望には欠けるところがあるが、その反面紅葉が美しい。隣接する箱根から丹沢南西部の不老山(ふろうやま)を経由し、富士山須走口5合まで連なる「富士箱根トレイル(約40㎞)」を構成するピークの一つ。また、丹沢最高峰の蛭ヶ岳(ひるがたけ)から伸びる丹沢主稜線の西端。

山中湖・平野周辺あるいは三国峠を起点としたマイカー中心のアクセスになるが、登山口からの標高差や距離も比較的少なく、初心者でも無理なく楽しめる。

おわりに

南関東・丹沢の「紅葉情報」および「秋季の登山道情報」をお送り致しました。

徐々に冷えてくる季節柄、皆様も防寒対策をされた上で紅葉を是非お楽しみ下さい。

山 名・記事内コース紅葉箇所おおむねの混雑度アクセス
大 山・表参道★★☆☆ ★★★★(ケーブルカー有)
大 山・イタツミ尾根 ★★★☆ ★★☆☆
大 山・不動尻★★☆☆ ★☆☆☆ (バスは1時間に1本)
塔ノ岳・大倉尾根★★★☆3~4 ★★☆☆
塔ノ岳・表尾根★★★☆ 3(午前中心、鎖場渋滞)★★☆☆
鍋割山・鍋割山稜★★★★2~3(林道は広い)★★★☆
檜洞丸・つつじ新道★★★★ ★☆☆☆ (バスは1時間に1本)
ユーシン渓谷通行止

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