【東洋のマチュピチュ】銅山遺跡が眠る西赤石山への登山コースの案内

四国

日本全国に赤石山という名前の山はいくつかありますが、愛媛県新居浜市にあるのが標高1626mの西赤石山です。

春にはアケボノツツジなどが開花する花の名所としても知られていますが、この西赤石山周辺には今は閉山してしまった銅山遺跡が多数残っています。

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元禄から昭和までの282年あまり続いた別子銅山で、日本の近代化を長く支えてきました。

「鉄は国家なり」という言葉通り、日本が経済大国として世界に踊り出ることができたのは、製鉄業が発展したことが大きいのです。

日本の近代化の歴史を間近で見る事ができる西赤石山への登山コースをご案内しましょう。

目次

東洋のマチュピチュ「東平(とうなる)」から出発

西赤石山の登山口はいくつかありますが、今回は広い駐車場やトイレが整備されている「東平」から登ってみましょう。

この東平はかつて銅山の採鉱本部が置かれていた場所であり、小学校や劇場などがあって大変賑わっていた町でした。

今でも当時の建物が随所に残っていて、東洋のマチュピチュとも称される不思議な景観が観光名所となり、多くの人が訪れています。

その東平にある駐車場から、今回登る西赤石山を望むことができます。

ここから山頂まで約3時間~4時間ぐらいかかりますので、準備をしっかり行いましょう。

駐車場からしばらく進むと広場のような場所に着きますが、左側には旧東平第三変電所の建物があります。

この建物横からも西赤石山へ登ることが出来るのですが、登山道の状態はあまり良くありません。

東平から最短で山頂まで行けるルートですが、見晴らしが良い場所がほとんどなく、植林地をひたすら歩くことになります。

初心者の方やはじめて西赤石山に行かれる方は、登山道が整備されていて気持ち良く歩ける銅山越を経由する今回ご紹介するルートをおススメしますよ。

広場を直進すると第三通洞が見えてきます。

銅山の主要運搬坑道で延長1795m、当時は電車も行き来していて一般の人も利用していたようです。

その第三通洞の手前左側に登山口があります。

登山道はかなり広く、なだらかな傾斜が続くとても歩きやすい道です。

それもそのはず、この道は銅を採掘していた時に多くの人々が生活道路や採掘された粗銅の運搬道として利用していたのです。

今では西赤石山への登山道ですが、銅と生きていた時代はとても賑やかな主要道路だったのです。

そのような歴史を感じながら足を進めていきましょう。

第三通洞から登り始めて1時間くらいで銅山峰ヒュッテに到着します。

以前は管理人の方が常駐していたようですが、私が訪れた時には不在でした。

かなり大きな建物で、周辺にはベンチや水場、トイレなどが整備されています。

瀬戸内海と新居浜市街が一望できますので、少し休憩していきましょう。

近くには第三通洞以前に輸送道として使用されていた第一通洞(八丁マンプ)もあります。

標高1294mの銅山越へ

銅山峰ヒュッテで体力を回復したら、銅山越へ向かいましょう。

ヒュッテから30分ぐらいかかりますが、ここからは少し急こう配の道が続きます。

途中には選鉱場と焼鉱場跡があります。

山を切り開いて、いくつもの建物が存在していた場所です。

鉱石を山で焙焼する際に発生する煙がもくもくと立ち昇る姿は、一大工業地帯のようです。

ただ森林伐採とこの煙の害は決して小さくなかったようで、西赤石山を含むこの一帯の山々の木々は明治時代にはほとんど消えていたようです。

今では植林活動などの成果などもあって徐々に本来の姿を取り戻しつつありますが、一度失われた自然は元に戻るまでに相当の時間がかかるのです。

銅山越に至る登山道周辺には、春になると鮮やかな花が沢山咲いて私たちを楽しませてくれます。

ヤマツツジやアカイシミツバツツジ、ヒカゲツツジやツガザクラなど花の宝庫です。

新緑と鮮やかな花をゆっくり鑑賞しながら進むと、銅山越に到着です。

第一通洞が開通するまでの184年間、この銅山越を経由して別子銅山の粗銅は新居浜の大江の浜まで人力で運搬されていました。

標高が1300m近くありますので、特に冬には過酷な環境となります。

銅を運ぶのには相当な苦労があったことが実感できます。

この銅山越にはかつては土俵があって、子供相撲に歓声が湧いていたようです。

アケボノツツジを眺めながら山頂へ

銅山越で一休みしたら、いよいよ西赤石山へ向かいます。

ここから山頂までは約90分ほどの道のりです。

登ったり下ったりを繰り返しながら登りますが、途中にはツガサクラやアケボノツツジのビューポイントがいくつかあります。

天気が良い日には西日本最高峰の石鎚山をはじめとする山々の絶景が綺麗ですよ。

頂上に近づいていくと、登山道が岩だらけの道になってきます。

この周辺の岩はかんらん岩で、岩の表面が酸化して茶褐色なのが特徴です。

かんらん岩は鉄やマグネシウムを多く含んでいて、植物が育つにはあまり良い条件ではありません。

なので樹木が少ない岩の道という不思議な光景が広がっているのです。

そして銅山越から歩く事約90分、標高1626mの西赤石山に到着です。

展望が望める場所が何か所かあるので、思う存分の景色を堪能しましょう。

なおこの西赤石山から東赤石山までの縦走も可能で、2時間ちょっとで東赤石山山頂に行くことができます。

まとめ


今回ご紹介した東平から銅山越を経由して西赤石山に行くルート途中には、銅山遺跡の解説掲示が複数あります。

銅山の歴史を学びながら登山できるので、地元の学校や企業の研修などでも利用されている登山道となっています。

西赤石山に登るもう一つの登山口が別子ダム近くにある日浦登山口で、こちらからの登山道周辺にも小学校跡や劇場跡、ダイヤモンド水広場など、銅山の歴史に触れることができます。

一度登ればまた登りたくなる山、西赤石山への登山ルート案内でした。