残雪期の北アルプス双六岳を目指す
Yamarii登山部で残雪期の双六岳を目指したレポートになります。
双六岳(すごろくだけ)は北アルプスの1つで標高2860mの山であり、山頂は北アルプスの中でも特徴的である高山植物の草原のような平野が広がっており、その真正面には槍ヶ岳が壮大に見える事で多くの登山者が魅了させられる山の1つです。
残雪期に向かう双六岳
Yamarii登山部が向かったコースは新穂高ロープウェイから入山し、わさび平小屋(冬季休業)がある林道を進んで行きます。
このコースは夏でも双六岳を目指す登山者が多く利用する一般的なコースになります。
わさび平小屋までの林道
わさび平小屋までは舗装された林道が続きますが、この時期は雪があるので通過には注意が必要になります。
この林道は左手に笠ヶ岳(100名山/標高2897m)が見え、北アルプスの雪解け水の透き通った川もあり自然の力強さを感じなら徐々に登っていくルートはわさび平小屋まで1時間半と長いもののちょうどいい準備運動になります。
北アルプスの主峰を眺めながら
わさび平小屋を抜けると、小池新道登山口が始まります。
小池新道登山口には奥丸山登山口に繋がる橋があり、残雪の状況によってはこちらの橋を安全な設計を渡る必要があります。
私達は雪の状態から夏山と同様の登山コースで登りました。
秩父沢出会あたりまで登ると右手に北アルプスの主峰、穂高連峰や槍ヶ岳が見え始めます。
この季節でもほとんど雪がつかない槍ヶ岳は威厳に満ちた雰囲気を出しています。
秩父沢から試される登山に
秩父沢出会を超えると本格的な登りが始まり、なだらかな斜面を選んで進んでいくとほぼ夏山コース通りに進むことができます。
雪崩が多い箇所になるのでGPSをまめにチェックし大きくコースから外れてないか、雪がもろくなり雪崩が発生していそうな左右の谷に近づかないように注意して進みます。
熊の踊り場に続く斜面は遠目で見たところ積雪量がかなりありそうで、小規模な雪崩が発生していたので熊の踊り場は迂回して直登することにしました。
急な斜面になるので私達はここからアイゼンを装着しました。
直登ルートは見た目以上に傾斜がきつく雪のコンディションにばらつきが多くかなり集中力が必要な場面でした。
この後、メンバーと相談し帰りはこの斜面を下るのは危険とし帰りは熊の踊り場付近のコース通り下ることにしました。実際には熊の踊り場も相当積雪量があり、通過には緊張する場面がありました。
夏山コースで行くとよさそうな場面、直登する方が安全な場面などその場の判断が重要になることが多く改めて雪山の経験をしっかり積んでいくことが大切だと痛感しました。
熊の踊り場を迂回してから雪が強くなってきました。
ここから鏡平までは危険箇所はなかったのですが、登りが続きかなり体力を消耗し一気にペースを落とすことになりました。
熊の踊り場から1時間半ほど登り続けると急に視界が開け晴天と槍ヶ岳が出迎えてくれました。
13時頃予定よりも早く鏡平に無事到着することができ、テントを設営し食事の準備にとりかかります。
天気も予報どおりで昼から晴れてきたものの風がかなり強く、私が使う非自立式テント(Locusgear Khufu HB)の設営は40分以上かかってしまいました。
お昼はメンバーが準備してくれたチゲ鍋をいただきました!雪山の鍋は冷えた体も温められて最高です。
食事のあとは山談義に加えて今日の反省や明日のコース確認などを行います。
昼食後は景色を撮影したり、昼寝をしたり過ごしていると槍ヶ岳がアーベントロートになっていました。
この時が厳しい登山でも心休まる瞬間と同時に神秘的な景色に感動する瞬間です。
Day2 双六岳へ
2日目は双六岳登頂と、下山があり長い一日となります。日が出る前の朝5時に鏡平を出発しました。
この日は晴天、ほぼ無風の予報でしたが朝起きると昨日通過したトレースは全て消えていました。
夏ルートであれば弓折分岐まではトラバースするコースがあるのですが、私達が来たこの時期はまだまだ雪があり滑落のリスクが高い事と、一部雪崩れていたためトラバースせずに弓折岳をほぼ直登するルートを考えていました。
また弓折岳直登(赤線)も急斜面なため登れそうか、近づいて判断しようと前日の計画時に決めました。
弓折分岐の登りは夜に雪が降った事と冷却され新雪と氷のミックスのような状態でしたが、装備が軽いこととピッケル、アイゼンで本格的な雪山装備に切り替えたことで緩やかでなかったものの弓折岳直前まで登ることができました。
撤退の判断
赤線が直登予定のコース。青線が夏山のトラバースコースです。
弓折岳に近づくと、夏ルートのトラバースコースは予想通り雪崩そうな状態で雪崩れた場合の影響は赤線の直登ルートにも影響しそうなことから、赤線の部分を登れたとしても下山が困難になりそうと判断し撤退としました。
撤退を決めて後ろを振り返ると朝焼けになっており、悔しいという思いもあるもののこの景色を見れて清々しい気持ちになりました。
ここを双六岳とする!
ここ双六岳山頂ぽくないですか?笑
今回は山頂に行く事を断念しましたが、この季節は事故が多くなるので安全登山を徹底して挑戦しましょう!
双六岳はまた夏に挑戦したいと思います。