木曽駒ヶ岳(標高2,956m)は、長野県中部に位置する中央アルプス最高峰の山で、日本百名山の一つに数えられています。
山頂へ至るコースのうち、駒ヶ岳ロープウェイ・千畳敷駅からのルートは、多くのハイカーに人気があります。
本記事では、マイカーを利用した「駒ヶ岳ロープウェイでの木曽駒ヶ岳登山」をダイジェスト紹介させていただきます。
駒ヶ岳ロープウェイとは?
木曽駒ヶ岳の山麓、標高1,662mの「しらび平駅」と、標高2,612mの「千畳敷駅」を約7分半で結ぶロープウェイとなります。
ホテル併設の千畳敷駅からは、眼前に広がる絶景「千畳敷カール※」を始め、晴れていれば南アルプスの遠景も眺めることが可能です。
※かつての氷河の侵食作用によりできた椀状の地形のこと
【リンク】:公式サイト/中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ (chuo-alps.com)
ロープウェイ利用時の注意点は?
ポイントは以下三点に収束されます。
- (1)混雑と待ち時間
人気のエリアとなるため、夏から秋にかけてのピーク期には、数時間の乗車待ちが発生する場合があります。
混雑時には乗車整理券が配布されますので、指定された時間にのりばに集合します。
【リンク】:駒ヶ岳ロープウェイ、混雑カレンダー(公式webサイト)
- (2)高山病(山酔い)
標高2,500m付近の気圧は、地上の約75%といわれます。ロープウェイで1,000m近い標高差を7分半で移動できる反面、急速な気圧の変化を受けることになります。
体質により異なりますが、ハイカーによっては頭痛・吐き気等高山病の初期症状が出る場合があります。体調がすぐれない場合は無理をせず、高度を下げる等の対処が必要です。
【リンク】:救急法|高山病 | jRO 日本山岳救助機構合同会社 (sangakujro.com)
- (3)寒さ対策
くだりのロープウェイ待ち時間を見越し、プラスアルファの上着があると安心です。
千畳敷駅の施設で暖が取れない登山者は、標高2,600mの野外で数時間の待機を余儀なくされます。
マイカー規制にご注意!
駒ヶ岳ロープウェイの乗車駅(しらび平駅)までは、マイカー規制が敷かれています。自家用車で直接アクセスすることができません。
山麓の駐車場(駒ヶ根高原・菅の台(すがのだい))でのパーク&ライドとなり、シャトルバス・タクシーに乗換えとなります。
マイカーでのアクセス方法
駒ヶ根高原・菅の台は、中央道・駒ヶ根インターから約5分です。インター出口を右折後、県道75号線(中央アルプス通り)を直進します。
駐車場
県道75号線(中央アルプス通り)沿いに、メインとなる菅の台有料駐車場(300台)があります。
夏~秋にかけてのピーク期週末は、早朝より満車となる場合があります。その場合は近くの臨時駐車場(駒ヶ池、黒川平)に誘導されることになります。
トイレや商業施設
- トイレ
菅の台駐車場を始め、臨時駐車場横にも公衆トイレがあります。
- コンビニエンスストア
インター~菅の台間にコンビニエンスストアはありません(2022年8月現在)。商業施設は駒ヶ根市街方面に集中しています。
シャトルバス・タクシーのりば
シャトルバス・タクシーのりばと乗車券販売窓口が駐車場に隣接しています。窓口では、シャトルバスとロープウェイチケットをまとめて購入することができます。
夏~秋にかけてのピーク期週末は、早朝よりバス・タクシーの乗車待ちが発生する場合あります。余裕のある登山計画が大切です。
区間 | シャトルバス運賃(2022年8月現在) |
---|---|
シャトルバス(駒ヶ根高原~しらび平) | 大人往復1,660円 |
ロープウェイ(しらび平~千畳敷) | 大人往復2,540円 |
~登山記録より~
9月の三連休初日、紅葉少し前の木曽駒ヶ岳を目指しました。午前5時頃からバス列に並び始め、乗車できたのは結局7時前でした。この日のロープウェイはのぼり2時間、くだり3時間の待ち時間で、登山を終え駐車場に戻ってきた時にはすでに日没後になってしまいました。
登山コース紹介
所要時間(休憩なし) | 距離 | 標高差の合計 | 山のグレーディング |
---|---|---|---|
約4時間 | 約4km | 約450m | 2B |
それでは、実際に木曽駒ヶ岳を目指してみましょう。厳しい環境である3,000m級の登山になるため、正しい準備や計画が必要です。
ロープウェイを降りると、さっそく雄大な千畳敷カールが目に飛び込んできます。はやる気持ちを抑え、まずは準備運動や駅周辺での簡単な散策を行い、身体を標高に慣らしてから出発します。
駅出発から10分ほどで、いよいよ急な勾配の「八丁坂」に入ります。「乗越浄土(のっこしじょうど)」までの標高差約200mを登りますが、まだ序盤のためゆっくりペースで登っていきます。
「乗越浄土」まで登りきると登山道もなだらかとなり、天気が良ければ信州・伊那のパノラマや南アルプスの山々も望むことができます。
宝剣岳(2,931m)分岐に位置する宝剣山荘には、売店・食堂があります。宝剣岳方面は高度感のあるクサリ、岩場を通過することになるため、経験者向けのコースとなっています。
宝剣山荘を過ぎると、こんもりとした中岳(2,925m)に向かい登っていきます。中岳の手前からは巻き道※が出ていますが、この巻き道は意外とアップダウンが連続します。
※ピークを避けるように作られた、ピーク直下の斜面を横切る登山道のこと
中岳のピークまで登ると、目的地である木曽駒ヶ岳の大きな姿を捉えられるようになります。
木曽駒ヶ岳・頂上山荘のあるコル(鞍部・あんぶ)まで一旦下り、登り返すと木曽駒ヶ岳の山頂に到着となります。
下山後
観光地である駒ヶ根高原・菅の台周辺には、温泉施設や食事処、観光センター等がコンパクトにまとまっています。温泉で疲れを癒し、空腹を満たしてから帰宅することもできます。
おわりに
以上、中央アルプス・駒ヶ岳ロープウェイを利用した木曽駒ヶ岳登山のご紹介をさせていただきました。
標高3,000m近い高地では、都市部よりも早い9月下旬頃から徐々に紅葉も見られ始めます。
無理のない登山計画と正しい登山の準備で、是非初秋のアルプス登山に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。