両神山ってどんな山?

名称 | 両神山(りょうかみさん) |
標高 | 1,723m |
所在地 | 埼玉県秩父郡小鹿野町・秩父市 |
山系 | 秩父山地(奥秩父山地) |
備考 | 日本百名山、秩父三山(両神山、三峰山、武甲山)、秩父多摩国立公園 |
「両神山(標高1,723m)」は、埼玉県西部・秩父山地の北端に位置する山で、日本百名山の一つになっています。
古くから山岳信仰の山として登られ、鋸歯状の尾根と切り立った岩壁が特徴で、スリリングな岩場や鎖場など体験できます。山体の大部分を構成するのは「チャート」と呼ばれる岩石です。これは今から2億5000万年前~1億5000万年前に、放散虫というプランクトンが海底に降り積もってできたものです。深海の岩石が悠久の時間をかけ、現在の両神山になっているのです。
日本百名山であること、スリリングな岩場や鎖場を体験できること、春はツツジやアカヤシオが満開になり、秋は紅葉に彩られ、毎年多くの登山者が訪れます。

一般的なコースは3つ(日向大谷、白井差新道、八丁尾根)あり、どれも日帰りでのピストン(同ルート往復)が可能です。数カ所に鎖場がありますが、特に危険な箇所はありません(岩場、鎖場、急登が連続する上級者向けの八丁尾根コースを除く)。
秩父を代表する両神山について、その魅力やコース、登山口へのアクセスをご紹介します!
オススメ日帰りコース
日向大谷コース(両神山のメインルート)

両神山で最も一般的なルートになる「日向大谷(ひなたおおや)」コース。
表登山道、表参道とも呼ばれます。
古くから信仰の山として登られており、何体もの石仏が祀られています。数カ所ある鎖場も比較的容易に通過でき、初心者が初の鎖場を体験するのに丁度良いかも知れません。
序盤で何度か沢を渡るため、増水時は登山不能になります!
コース概要
体力レベル | ★★☆☆ |
技術レベル | ★★☆☆(急登、鎖場) |
コースタイム | 上り:約3時間 下り:約2時間30分 |
距離 | 約9.4km(往復) |
最大標高差 | 約1,062m |
山小屋 | 両神山荘(通年・宿泊は要予約) / 清滝小屋(避難小屋) |
水場 | 登山口 / 弘法之井戸 / 清滝小屋 |
トイレ | 登山口 |


登山口の周辺には両神山荘と両神神社があり、その先の鳥居に「丁目石」の1番があります。ここから清滝まで36の丁目石が、一丁(110m)毎に立てられています。薄川(すすきがわ)沿いの急斜面をトラバースするように進み、川へ降ります。この先は何度か沢を渡るため、増水時は登山不能となります。
薄川〜長尾沢〜桐の木窪〜道心堀と来て、ベンチと椅子のある会所で七滝沢コース(2022年現在、通行止め)と薄川沿いコースに分岐します。薄川沿いを行き、八海山指標〜白藤の滝分岐〜弘法之井戸を過ぎると清滝小屋に着きます。室内には水道と机、椅子があり、周辺にはテント場もあります(10張り程度)。
清滝小屋から急登の続く鈴が坂を登りきり、産体尾根(うぶたいおね)の稜線に出ます。稜線の数カ所に鎖場やロープが設置されていますが、通行困難な箇所はありません。
鎖場を過ぎて針葉樹林帯を登りきると、両神神社・両神山両神神社に出ます。ここから山頂まで30分ほどの緩い登りとなり、最後に頂上直下の鎖場を通過して山頂に到着します。







白井差新道コース(初心者向けの山頂への最短ルート)

「白井差新道(しろいさすしんどう)」コースは山頂への最短ルートになっています。
山頂まで概ね均等に高度を上げていき、急登は無く、登山道はよく整備されています。登山道のある山全体が山中氏の所有地となっており、山中氏によって整備・管理されています。駐車場は無料ですが、事前に山中氏へ予約が必要です(電話:0494-79-0494)。
コース概要
体力レベル | ★☆☆☆(緩やかな登りが続く) |
技術レベル | ★☆☆☆(頂上直下に鎖場) |
コースタイム | 上り:1時間30分〜3時間 下り:1時間〜2時間 |
距離 | 約6.5km(往復) |
最大標高差 | 約861m |
山小屋 | なし |
水場 | 白井差登山口〜大笹沢沿い |
トイレ | 登山口 |



登山口で地図を渡され、コースの説明を受けます(一部抜粋)。
- コースの使用はピストンが条件
- 分岐のルートミスの注意
- 下山時に整備費として1,000円を支払う(山頂まで行かない場合は支払わなくても良いようです。また、登頂できると両神山の記念バッチがもらえます。後払いなのは、無事に戻って来た人からのみ徴収するという心遣いのためです。)

登山口からしばらくは水量の豊富な大笹沢の渓流沿いを上がっていきます。途中で何度か沢を渡りますが、全てに橋が架けられているので問題なく通過できます。昇竜の滝を過ぎ、水晶坂の九十九折りを登ると平坦なブナ平へ着きます。そこから1時間ほどで稜線の作業道分岐と合流します。
分岐から稜線を5分ほど進むと白井差新道分岐に出ます。分岐のロープをくぐり、5分ほどで山頂に到着します。














八丁尾根コース(岩場や鎖場が多く、上級者向け)
一般的な3コース(日向大谷、白井差新道、八丁尾根)中で、最も岩場と鎖場が多く、長い急登が連続します。
滑落などによる遭難・死亡事故が多発しており(埼玉県で最多)、登山口には上級者向けであることの注意喚起の看板が設置されています。そのため、初心者や単独、時間に余裕のない場合は入山を控えましょう。
コース概要
体力レベル | ★★★☆(急登の連続) |
技術レベル | ★★★☆(岩場、鎖場が連続する。本格的な登山装備とヘルメット装着) |
コースタイム | 上り:約3時間10分 下り:約2時間20分 |
距離 | 約6.0km(往復) |
最大標高差 | 約574m |
山小屋 | なし |
水場 | なし |
トイレ | 北側登山口 八丁トンネル駐車場 |


駐車場の標識裏の梯子から登山道が始まり、樹林帯を抜けると八丁峠に着きます。
八丁峠を過ぎると岩場となり、次第に傾斜が増し、鎖場の連続する登りになります。鎖のある岩場のアップダウンを繰り返し、展望が開ける行蔵峠を通過して西岳へ至ります。西岳から鞍部へ大きく下り、登り返すと東岳です。小さな祠のある龍頭(りょうかみ)神社奥宮の先に、最大の難所となる切り立ったヤセ尾根があります。
東岳〜山頂への稜線は、緩いアップダウンを繰り返し、最後に頂上直下の鎖場を越えて山頂に到着します。
アクセス
日向大谷登山口(標高635m)

両神山の中でも、最も登山者の多い登山口です。
公共機関
- バス
バス名 | 乗降区間 | 所要時間 |
西武観光バス「小鹿野線」(1日21本) | 西武秩父駅〜小鹿野町役場 | 約45分 |
小鹿野町営バス「西武秩父線」(1日5本) | 西武秩父駅〜薬師の湯 | 約52分 |
小鹿野町営バス 「日向大谷・三峰口線」(1日5本) | 薬師の湯〜日向大谷口 | 約35分 |
三峰口〜薬師の湯〜日向大谷口 | 約48分 |
西武秩父駅〜小鹿野町役場は小鹿野町営バスと西武観光バスが並走していますが、小鹿野町役場〜薬師の湯は小鹿野町営バスのみとなります。そのため、薬師の湯で日向大谷・三峰口線に乗り換えます。
- タクシー
乗車地 | 所要時間 | 料金 |
秩父鉄道「西武秩父駅」 | 約1時間 | 約10,000円 |
秩父鉄道「三峰口駅」 | 約40分 | 約7,000円 |
小鹿野町 | 約25分 | 約4,200円 |
マイカー
最寄りIC | 所要時間 |
関越道「花園IC」 | 約1時間20分 |
- 駐車場
日向大谷駐車場(第1~第4):約50台(無料)
両神山荘:1000円 / 回
休日は早朝から満車になることが多いで、余裕をもった計画を立てましょう。
白井差登山口(標高876m)


公共機関
- バス
バス名 | 乗降区間 | 所要時間 |
小鹿野町営バス「白井差線」(1日4本) | 小鹿野町役場〜白井差口 | 約52分 |
バスは白井差口までで、登山口の山中宅まで徒歩約1時間。
- タクシー
乗車地 | 所要時間 | 料金 |
秩父鉄道「西武秩父駅」 | 約1時間10分 | 約11,000円 |
秩父鉄道「三峰口駅」 | 約1時間 | 約9,400円 |
マイカー
最寄りIC | 所要時間 |
関越道「花園IC」 | 約1時間20分 |
- 駐車場
約4台(事前に山中宅へ要予約) 電話:0494-79-0494
上落合橋登山口(標高1,140m・八丁尾根)
登山口から八丁峠までは南北両面から登れますが、最寄りのバス停から遠く離れているため、登山口へはマイカーが便利です。
公共機関
- タクシー
乗車地 | 所要時間 | 料金 |
秩父鉄道「西武秩父駅」 | 約1時間 | 約15,000円 |
マイカー
最寄りIC | 所要時間 |
関越道「花園IC」 | 約1時間50分 |
- 駐車場
南側登山口 上落合駐車スペース:約15台(路肩)
北側登山口 八丁トンネル駐車場:約20台(トイレ、東屋)
おわりに
埼玉県西部に位置する、日本百名山の一つ「両神山」
春はツツジやアカヤシオ、秋は山を彩る紅葉、そして登山の醍醐味でもある岩場や鎖場も体験できます。コースによって初心者〜上級者まで楽しめ、毎年多くの登山者で賑わいます。
魅力たっぷりの両神山へ、ぜひ足を運んでみてください!
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登山の注意点
- 紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによっても難易度が変化します。
ご自身の体力に合わせた、無理のない計画で登山を楽しみましょう! - 登山道の状況や交通アクセスなどは、最新情報を確認のうえお出かけください。
- 初心者向きでも油断せず、十分な登山装備で入山しましょう!
ザック、登山靴、雨具、防寒具、速乾性の衣類、食料、水など。 - 地図・コンパス、ヘッドランプも忘れずに!
- もしもに備え、山岳保険への加入・登山届は必ず提出しましょう!
参考HP