日本百名山である山梨県甲州市の大菩薩嶺(だいぼさつれい)。
東京からのアクセスの良さ、初心者から上級者まで楽しめる多彩なコース、そして絶景を見ながらの気持ちのいい稜線歩きが人気の山です。
気軽に山の素晴らしいところを楽しめる点から、登山初心者を連れて行きたい山としても人気です。
今回は、気軽に大菩薩嶺の絶景を楽しめる周回コースをご紹介・レポートします。
大菩薩嶺とは
大菩薩嶺は奥秩父山塊に位置する、標高2,057mの山です。深田久弥の日本百名山には「大菩薩岳」として数えられています。
標高2,000m超えの高い山ですが、最も標高の高い登山口である上日川峠は標高が1,585mと高く、初心者にも登りやすい日本百名山として有名です。
登山道沿いには山小屋が4つもあり、テント場もあるため前泊しての登山も可能です。コース中にトイレが複数用意されているのも嬉しいポイントです。
また、車でのアクセスの他、電車とバスで登山口までアクセス可能な点も大菩薩嶺の人気の理由の1つです。
山頂の大菩薩嶺には展望はありませんが、大菩薩嶺から10分ほど歩いたところにある雷岩からは、晴れた日には富士山と大菩薩嶺、南アルプスの眺望が楽しめます。
おすすめコース概要
今回ご紹介するのは、初心者にもおすすめしたい気軽に絶景を楽しめる大菩薩嶺周回コースです。
上日川峠バス停(30分)→福ちゃん荘(70分)→雷岩(10分)→大菩薩嶺(50分)→親不知ノ頭(10分)→大菩薩峠・介山荘(45分)→福ちゃん荘(25分)→上日川峠バス停
コースタイム | 体力レベル | 技術レベル |
4時間0分 | ★★☆☆ | ★★☆☆ |
標高差
上り:+560m
下り:−560m
初心者でも登れる山として有名ですが、岩場や急登などもあるため登山靴での山行が望ましいです。マップに記載した通り、トイレは上日川峠バス停、福ちゃん荘、大菩薩峠の近くにあります。
コース紹介
最寄駅は中央本線・甲斐大和駅です。甲斐大和駅の改札を出るなりバスの乗務員さんが大きな声で乗り場を案内してくれるため、バス乗り場に迷うことはなさそうです。
バスは3台用意されており、高速バスのような1列4シートの全席着席のタイプなのが大変嬉しいポイントです。
山間を眺め、バスに揺られること45分、登山口のある上日川峠バス停に到着します。こちらには駐車場もあり、車でここまでアクセスすることもできます。
甲斐大和駅からのバスの支払いは現金のみになります(2023年5月時点)。筆者は1番後ろの席に座ってしまったため、降りるまでに4分以上かかりました。前方に座ると少しハッピーになれそうです。
上日川峠バス停はロッヂ長兵衛の目の前です。ロッヂ長兵衛の山小屋定番の見た目に心が弾みます。
バスは8:10発の第1便に乗りましたが、既にロッヂ長兵衛の売店はオープンしていました。手作りのおにぎりや飲み物なども買う事ができます。
トイレを済ませて準備体操を行い、ロッヂ長兵衛の横にある登山道入口から大菩薩嶺登山スタートです。
スタートからしばらくは傾斜の緩やかな道で、ゆったり森林浴を楽しみながら進めます。
登山口から30分ほど歩くと、2つ目の山小屋、福ちゃん荘に到着します。
こちらも既に営業しています。テント場も併設されており、陽気な登山者でワイワイと賑わっています。
福ちゃん荘を通過して、唐松尾根を進みます。唐松尾根というだけあって、秋はカラマツの紅葉が綺麗で素晴らしいそうです。
唐松尾根の前半は急な箇所もありますが、歩きやすい登山道です。
唐松尾根の後半はかなりの急登で、岩も出てきます。みなさん、たくさん休憩を挟みながら登っています。
この日は霧雨で、地面が一部ドロドロで滑りやすくなっていました。雨が降った後は気をつけて進みましょう。
唐松尾根を約70分歩くと雷岩に到着です。残念ながらこの日は雲がかって景色は撮れませんでしたが、晴れた日は富士山の裾野まで見られる絶景を堪能できるスポットです。
こちらが晴れた日の雷岩からの展望です。富士山と大菩薩湖の絶景です。
この景色を見ながら山ごはんを食べられたら最高ですね!
雷岩周辺や、後に通る介山荘付近では鹿が数匹散歩している様子が見られました。周辺の木は鹿に食べられたのか、樹皮を保護されているものもあります。
雷岩から更に10分ほど歩くと大菩薩嶺のピークです。
大菩薩嶺の山頂は木に覆われ展望はありません。しかし、雷岩から大菩薩嶺までの10分の道のりはたくさんの苔が生え、唐松尾根とは違った雰囲気を満喫できます。
大菩薩嶺から雷岩に戻り、大菩薩峠方面に向かいます。雷岩から大菩薩峠までは開放感のある、なだらかな稜線です。
この日はあいにくの霧でしたが、稜線がうっすら見えて気分が上がります。霧でも明らかに低山とは違う、高山のような爽快感を楽しめる稜線です。
雷岩から30分ほどで、賽の河原というエリアに到着します。名前の通り、いくつも小さな瓦礫の山があります。
小さく写ってるのが「賽の河原避難小屋」で、中には椅子もあり天候の悪い時などに休めそうなスポットになっています。
ここは江戸時代、食料や木材などの物資を運ぶ旧青梅街道の峠だったそうです。
途中、岩場があるのでゆっくり慎重に進みましょう。
賽の河原から10分ほど歩くと、親不知ノ頭に到着です。
晴れれば南アルプスも眺めることができる展望スポットです。お昼休憩には雷岩が人気でしたが、親不知ノ頭でお昼ごはんもアリだなと思いました。
しばらく下ると、賑やかな声が聞こえてきます。大菩薩峠にある介山荘です。
介山荘では、ラーメン、うどん、コーヒーなどの食事の提供があるほか、いろんな山の山バッジが豊富に取り揃えてありました。大人女子に人気なYamasankaの雑貨も取り扱いがあります。
介山荘から福ちゃん荘への道はなだらかで歩きやすい道です。
帰りのバスまで時間がある場合は、下山途中に立ち寄れる福ちゃん荘やロッヂ長兵衛での軽食もおすすめです。
今回筆者は、福ちゃん荘で季節の天ぷら(700円)を頼み、その美味しさに感激しました。
はじめは山梨の名産であるほうとうを頼もうと思ったのですが、この日はほうとうの注文は2名以上から受け付けているようでした。
福ちゃん荘からロッヂ長兵衛までは往路と同じルートを通り、ロッヂ長兵衛に着いたところで山行は終了です。
おわりに
以上、大菩薩峠の上日川峠周回コースをご紹介、レポートしました。
霧で雷岩からの展望は見れなくとも、途中で立ち寄れる山小屋で食事を楽しみつつ、気持ちの良い稜線歩きを堪能できました。
大菩薩嶺は、高山らしい稜線の爽快感を楽しめたり、山荘がいくつかあって食事や買い物もできて、トイレも休憩所も充実した初心者にも向いている百名山です。
みなさんもぜひ、天気の良い日に行ってみてはいかがでしょうか。