登山テントは多くあり、どれを選べばいいのかわからない、高価なので失敗したくない、ダブルウォール?シングルウォール?など専門用語が色々でてきて何を基準に購入すればいいのか悩んだことはありませんか?
登山ガイドが登山テントについてわかりやすく徹底解説します!
登山テントとは
登山テントはキャンプテントと違い軽量化と剛性に優れており、ザックに収納しやすいサイズにも関わらず厳しい環境の中で利用される事が想定される登山のため高い剛性が備わっています。
キャンプ用のテントを登山で利用した場合、強風や重量面から思わぬ事故に繋がる可能性もあるので区別して利用する必要があります。
近年では生地や繊維が大きく進歩しており登山テントの常識が大きく変わりつつありますが、登山テント全てに共通するのがこの2点です。
- 軽量でコンパクトに収納できる(理想は1.5kg以下)
- 剛性が高く雨風に対して強い
登山テントを決めるポイント
とはいえ、登山テントは多くのメーカから販売されているので、この2点だけでは選びきれません。
登山テントを決めるポイントは3つあります。それぞれ登山初心者にもわかりやすく解説していきます!
- 想定利用人数
- 自立式か非自立式か
- ダブルウォールかシングルウォールか
想定利用人数(テントのサイズ)
登山部や山岳会では6人用や12人用などを利用するケースもありますが、個人、登山仲間、サークルなどでは1つのテントで1人で寝る事が殆どのケースとなります。
そのためテントのサイズは1人用か2人用が最も使われるのですが、その中でも2人用(1.5人用というものも最近あります)がおすすめです。
1人用の登山テントは狭い事と寝ている時にテントが肌に触れやすいので結露で濡れやすいという事があり、登山初心者の方は荷物が多くなりがちなため1人用登山テントでは窮屈で十分な睡眠ができない事があります。
仲間のテントが壊れた場合に利用できたり、女性の方はゆったり着替えができるなどのメリットもあるので2人用のテントをオススメしています!
ダブルウォールとシングルウォール
店頭などでよく質問されるのが「ダブルウォールがいいですか?」という質問だと思います。
登山テントにはダブルウォールとシングルウォールの製品が別れています。
ダブルウォールは2枚の独立した生地を使いテントを構成します。
外側の生地をフライシートと呼び防水性が高い生地が使われています。
内側のテント本体となる生地は防水性は低いかまたは無い事が多く、その分透湿性に優れた生地が使われています。
登山テントの中で多いモデルがダブルウォールとなります。
シングルウォールは1枚の生地でテントを構成します。防水性と透湿性を同時に実現できるゴアテックスなどが利用されています。
細かくそれぞれの違いを見ていきましょう。
ダブルウォールのメリット、デメリット
登山初心者から経験者まで多くの登山者が利用するモデルがダブルウォールでしょう。
ダブルウォールはテント本体の生地に透湿性があるので、室内が結露しづらく価格も安い事が多いのが特徴です。
- メリット
- 結露しづらい
- 製品のバリエーションが多く、雪山用のオプションも多い
- シングルウォールと比べると安い製品が多い
- デメリット
- フライシートとテント本体があるため重たい
シングルウォールのメリット、デメリット
シングルウォールは高性能な生地を利用しているケースが多く十分な防水性がありつつも、透湿性も備えています。
一見デメリットしかないようなのがシングルウォールの登山テントなのですが、軽さという点は登山をする上では疲れづらい、早く歩けるので遠くまで行ける事や、テントが小さくなる事でザックも小さくなり軽量ができるなど機能にはないデメリット以上のメリットもあります。
- メリット
- 軽い
- コンパクト
- デメリット
- 結露しやすい
- ダブルウォールと比べると高価な製品が多い
- トレッキングポールを利用して設営する場合、トレッキングポールが使えなくなる
登山テントの自立式と非自立式
殆どのケースで自立式を無条件で選択することが多かったのですが、最近ではファストハイクやウルトラライトが普及してきており非自立式も注目されつつあります。
自立式登山テントの特徴
登山テントの中でもオールラウンダーであるのが、自立式の登山テントになります。
自立式は付属のポールでテントを組み立てる事ができるため、地面の影響を受けにくく、素早く、簡単にテントを立てることができます。
悪天候や疲れている時などには有利で組み立ても容易なため登山初心者から経験者まで幅広く利用されています。
またポールでテント全体を広げる構造が多いため、天井が広く高いため居住性にも優れているのが特徴です。
自立式のメリットとデメリット
登山というと土の上で寝ることが多いと登山初心者の方は想像される方が多いのですが、山によって地面の状態というのは大きく異なります。
北アルプスなど岩稜帯のテント場ではペグが刺さらない事も多く、そういったケースでも自立するため安定した居住空間を得ることができます。
- メリット
- 組み立てが簡単(登山初心者にもおすすめ)
- 居住性が高い事が多い
- 地面の影響を受けにくい
- デメリット
- 重い
- 非自立式よりコンパクトにならない
非自立式登山テントの特徴
非自立式の登山テントにはポールが付属しておらずトレッキングポールなどをポールの代わりとして利用します。
しかし、それだけでは立つ事ができずペグや石にガイライン(ロープ)を固定されないと自立しないため非自立式と言われています。
登山初心者の方には想像しずらいテントになりますが、ツエルトなども非自立式テントに含まれます。
非自立式の登山テントはポールがないため、テントの構造がシンプルで軽量ですが岩稜帯のテント場では立てづらい傾向にあります。
登山初心者向けとは言えませんが個性の強いテントも多く、慣れればスムーズに立てることもできるので近年普及しているファストハイクやUL(ウルトラライト)登山でも利用されます。
非自立式のメリット・デメリット
非自立式の登山テントは見かけでは貧弱に見えるのですが、地面に固定するペグが自立式よりも多いため耐風性能は殆どかわらないとされています。
また1kg以下でコンパクトに収納できるためファストハイクやウルトラライトとの相性が高いのです。
- メリット
- 軽量かつコンパクトに収納できる
- 個性の強いモデルが多く近年普及してきている
- デメリット
- 立てるのに時間がかかる
- 天井が低いため居住性が自立式登山テントよりも劣る
- テントを撤収しないとトレッキングポールが使えない
まとめると
長くなりましたが、まとめると…
- テントのサイズは2人(1.5人)がオススメ
- ファストハイクやウルトラライトを目指したい方や体力に自信が無い方はシングルウォール非自立式がオススメ
- 登山初心者やULには今のところ興味がなければダブルウォール自立式がオススメ
自立式でおすすめの登山テント
定番だが安心、安定のモンベル ステラリッジテント2
登山テントと言えばモンベルのステラリッジテントが絶大な信頼を得ており、それは日本のテント場を見ればステラリッジテントが一面あるぐらいなので一目瞭然でしょう。
ステラリッジテントは雪山での使用を想定したスノーフライや天井に物が置けるロフト、フライシートの色のバリエーションの多さなどでオプションも多く、登山初心者から登山経験者問わず長年愛されている製品です。
ステラリッジテントは本体とフライシートが別売りなため、フライシートも忘れずに購入しましょう。
ダブルウォールなのに軽量なNEMO(ニーモ) ホーネットストーム 2P
NEMOは高性能なテントマットやシュラフの評価が高く、最近では軽量なテントも販売しておりテント場でもよく見られる光景になってきました。
ホーネットストームはダブルウォールでは1kg以下と軽量なことが特徴です。
また天井が高く、中も広々としており窮屈さを感じさせません。
フライシートは両サイドに広く取るため前室が広いので、悪天候時にも調理しやすく靴なども殆ど濡れることがありません。風が強くても生地が肌に触れる事がすくないので快適性テントですごせる製品でしょう。
居住性が圧倒的に高いファイントラック カミナドーム2
ファイントラックは国産ブランドとしてゴアテックスを利用しない防水・透湿生地などを開発しており、厳しい環境でも独自の繊維技術の高さでプロにも愛用されている製品です。
その中でもカミナドームは天井が高い事と前室の広さ、雨天時は十分な調理スペースとして活用でき、それ以外では靴や荷物もたっぷり置けるのが特徴です。
雪山でも信頼と実績のヘリテイジ クロスオーバードーム
ヘリテイジは6000mを超える海外の山での実績があり、日本の雪山でもよく使われているテントになります。
その特徴としてはシングルウォールでも利用できる事と、別売りのフライシートを利用することでさらに防風性を高めたり結露を緩和する事ができます。春夏はもちろん、雪山でも高いパフォーマンスを1つのテントで発揮でき1kgを以下の重量なためプロでも利用される事が多いテントとなります。
非自立式でオススメのテント
前室の広さと立てやすさは圧倒的ファイントラック カミナモノポール
自立式でもご紹介したファイントラックですがカミナモノポールは非自立式でシングルウォールとなります。
非自立式は比較的前室が狭いか無い事が多いものの、こちらはファイントラックこだわりの大きな前室が特徴です。
造形美は世界クラスのローカスギア Khufu(クフ) HB
ローカスギアはまさにピラミッドのような形と美しい立ち上がり、そして軽さから世界のウルトラライトな登山者に愛されているブランドの1つです。
ローカスギアのクフHBはポール1本のセンターポールスタイルか、広々と使えるポール2本で建てる事ができます。テント本体はメッシュになっており夏場でも換気性が高く、フライシートは高品質なナイロンでデザインだけでなく強度も十分にあります。
軽さは世界最高レベル モンベル ULモノフレーム
非自立式でもモンベルが素晴らしい製品を出しており、非自立式なものの専用のポールが付属しており536gと非常に軽量に仕上がっています。
この専用ポールから非自立式の弱点である設営のしずらさ、狭さを解消しています。
オススメ登山テントまとめ
登山テント名 | 重さ | ウォールのタイプ | 設営のタイプ | 利用人数 | 価格 |
モンベル ステラリッジ2 | 1430g | ダブルウォール | 自立式、専用ポール | 2人 | 46,970円 |
ファイントラック カミナドーム2 | 1320g | ダブルウォール | 自立式、専用ポール | 2人 | 68,200円 |
ヘリテイジ クロスオーバードーム2 | 770g | シングルウォール | 自立式、専用ポール | 2人 | 47,300円 |
ファイントラック カミナモノポール2 | 990g | シングルウォール | 非自立式、専用ポール | 2人 | 53,900円 |
ローカスギア クフHB | 934g | ダブルウォール | 非自立式、トレッキングポール | 2人 | 58,000円 |
モンベル ULモノフレーム | 536g | シングルウォール | 非自立式、専用ポール | 1人 | 26,400円 |