【山と写真】山で星を撮ろう!誰でもできる星景写真の撮り方

コラム

登山に行くと自然の美しさ、雄大さを感じます。

その中でも夜の星空は特に美しく感じる絶景の一つだと思います。山で見る星空はなぜあんなに美しいのでしょう。

頭上に広がる満天の星空を写真として残したい。そう思ったことのある人は少なくは無いと思います。今回は星の撮影の仕方とポイントについてお伝えしていきたいと思います。

Mountain&Tent

なぜ山では星がきれいに見られるのか

Milkyway

山で星がきれいに見られる理由はいろいろありますが、1番の理由は光害(星以外の光)が少ないためです。

街中の街灯や家の光などの光があると、空気中の水分やチリに反射し星のわずかな光がマスクされてしまい星が見えなくなります。

山の中では、そもそも人がいないため、車も街灯もないので星の光を邪魔するものがなくはっきりと見ることができます。

撮影に必要なもの

Mt.Fuji

星の撮影は難易度が高いと思われていますが、撮る事自体はそこまで難しくはありません。

まずは山に行く前に家の周りなどで練習してみるといいと思います。

カメラの基礎知識

ここでは一眼レフでの説明とさせていただきます。撮影の原理は一緒ですので、どのカメラでも同じように考えれば撮影は可能です。

カメラは光を集めてイメージにする機械です。光の調整はシャッタースピード、絞り(f値)、感度(ISO)の3つで決まります。シャッタースピードは光を集める時間、絞りは光の入ってくる量を調整するカーテンのようなイメージ、感度は文字通り光を受け取る感度のことです。

星の撮影は暗い環境で行います。

そのためシャッタースピードを長くし、絞りを開け(f値を下げ)、感度をあげる(ISOを高くする)ことで明るくなり星が撮影できます。それぞれに特徴があり、時にメリットになり、時にデメリットとなるので調整が必要になります。

星の撮影に最低限必要なもの

長時間露光(シャッタースピードを長くすること)のできるカメラ

スマホやデジカメでも撮影は可能ですが、ここでは綺麗に撮影することを考え、一眼レフ・ミラーレスカメラをお勧めします。

最低限必要なのはこれだけです。カメラさえあれば星は撮影できます。一眼レフを持っている方は、この記事を読めば、今夜から撮影ができます。

あればより良い写真が撮れるもの

1. 三脚

1枚の写真を長時間かけて撮影する星の撮影は、撮影中の揺れが写真のブレに繋がります。

そのため、手持ちではほぼ不可能です。三脚があると、自分の考えた位置・高さでカメラを固定することができ、揺れを最小限に抑えることができます。なければ、地面など揺れないものの上に置いて撮影は可能ですが、画角が限られます。

2. 明るいレンズ

星の撮影はとにかく暗いところでの撮影になります。

星のわずかな光をとらえるため、明るいレンズ(最小f値の小さいレンズ)があると、有利になります。”ISO”という感度をあげたり、シャッタースピードを伸ばすという手もありますがそれぞれデメリットががあるため、明るいレンズがあればよりいいです。

3. 広角レンズ

星の撮影は広くとることが多いため、夜空をとるなら広角レンズがあると満点の星空を表現できます。また、それだけでなく、広角であることで、ちょっとした星のブレを隠すこともできます。そのため星の撮影には広角レンズが有利になります。

Canon 超広角ズームレンズ EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM APS-C対応
キヤノン

星の撮影方法

Mt.Daisen

ここまで難しいことをつらつらと話しましたが、とりあえず撮ることが大事。

写真の上達は実践が一番!これからお伝えする2ステップで基本的に星は撮影できます。

最初の設定

カメラ設定

Mモード

  • 絞り(f値)最小値
  • シャッタースピード最遅値
  • ISO最大値(ISO1600〜12800くらい)
  • セルフタイマーにする

レンズ設定

  • 画角の調整(ズームの具合を合わせる、最広角推奨)
  • MFにする
  • フォーカスは∞マーク(無限遠)からほんのちょっと戻すくらい
  • 手ぶれ補正は切る

 ひとまずこれで撮影してください。この後少しずつ調整していきます。

 *満月を撮影する場合は暗めに設定してください。(シャッタースピード1〜10秒程度、ISO1600以下)

撮影後の調整

1. ぶれの補正

ブレていたらカメラが動いた理由を探す。

なければセルフタイマーを最大にする(シャッターを押した振動が残っている可能性)。そしてもう一度撮影する。橋などの場合そもそも車の通る振動で橋が揺れている可能性がある。

2. シャッタースピードの調整

撮った写真を拡大し、星が点になっているかどうか確認する。線になっているなら、SSをもう少し短くする。

3. 明るさの調整

明るすぎる場合はISOを下げる。

4. 色合いの調整

WB(ホワイトバランス)で色合いを調整する。

マニュアルホワイトバランスで色温度(K:ケルビン)の調整を行なってもいいが、電球マーク→青(寒色)、太陽・曇り空マーク→オレンジ(暖色)になるのでひとまずそれでOK。

この順で行っていけば星は撮影できるはずです。

(1)と(3)はそれぞれが関係し合っているので、多少星が線になってもノイズを減らしたい場合は、(3)から先にやってください。

これで撮れた写真が持っているカメラ・レンズの限界です
より良くしたい場合は、撮影環境を変えるか、カメラやレンズを変えるか、編集ソフトを使用するなどする必要になります。

新月か満月など周りの環境でかなり設定が変わりますので、環境に合わせて設定は調整してみてください。もっと詳しく知りたかったり、上達したいのであれば、本やネットで詳しい情報が載っていますので参考にするといいと思います。

山での星の撮影の注意点

Mt.Hotaka

ここまで一般的な星の撮影についてお話ししましたが、山での撮影では何点か注意が必要です。

撮影機材の運搬

山での撮影の場合、撮影機材を自分の力で運ぶ必要があります。

カメラはもちろん三脚や星撮影用のレンズなど、ただでさえ軽くしたい荷物を増やす必要があります。三脚はできれば耐荷重を満たした上で、できるだけ軽いものがお勧めです。

難しいのであればその分の体力をつけるか、荷物を減らす必要があります

出発が早い場合は寝不足に

1泊2日でご来光を見るため早く出発するなどを計画している場合、撮影により睡眠時間が削られてしまいます。ただでさえ疲労している体ですので、回復させる時間が減るのは行程によってはリスクになります。

そのため、短時間の撮影にするか、余裕を持った行程にする事をお勧めします。

撮影場所が安全ではない

山には岩や植物など、撮影したい場所が平地と違って平坦ではありません。ましてや、暗いので転倒や滑落などにも注意が必要ですので、くれぐれもコース外には出ないように気をつけてください。

星を撮影するために遭難したなんてことが起きてはいけませんので。コース内でも安全第一で周りを確認し、撮影に臨みましょう。

Katsuraku

ステップアップ撮影

慣れてくれば日周運動写真やタイムラプスも作れます。

Mt.Daisen South Face

まとめ

カメラ機材を担いでいく事は体力的に厳しいかもしれませんが、その分山で見る綺麗な星空は街で撮影するよりきれいに撮影できます。

山の楽しみが一つ増えるのでぜひ挑戦してみてください!