【雪山登山】パノラマ広がる八ヶ岳・編笠山への登山レポートとコース紹介

山紹介

まだまだ雪の残る八ヶ岳・編笠山(2,524m)への登山を編集部で取材しました。

編笠山は、山梨県北西部と長野県にまたがる南北30-40㎞、東西15-20㎞にわたる八ヶ岳連峰の最南端に鎮座する連峰主要峰の一つで、まさに「編笠」のような円錐形の山容が特徴となります。

編笠山頂より八ヶ岳核心部を望む。中央奥は最高峰の赤岳(2,899m)。

自然環境は亜高山帯~高山帯にかけての厳しいものとなり、山頂付近は八ヶ岳核心部の峰々と同様、八ヶ岳中信高原国定公園の特別保護地区に指定され、特に貴重な景観等が広がる地域となります

優良な種穂の採取に適する特別母樹林に指定された箇所もみられる。

登山道は全体的に樹林帯区間が多いものの、山頂付近は植生に乏しい森林限界上の区間となり、積雪期の山に対する相応の知識・経験と状況に応じた判断が必要になってきます。

また、一般的な冬山登山装備の適切な使用が求められます。

登山口までのアクセス

アクセス良好な富士見高原登山口

無雪期は山梨県側の「観音平登山口(標高約1,550m)」がよく利用されますが、11月末~4月末はアクセス道路が冬季閉鎖となるため、長野県側の「富士見高原登山口(標高約1,350m)からのアプローチが一般的となります。

マイカーでのアクセス

方面高速出口登山口までの経路コンビニ
東京方面から中央道「小淵沢IC」鉢巻道路経由で約15分インター周辺にあり
名古屋方面から中央道「諏訪南IC」八ヶ岳ズームライン、鉢巻道路経由で約10分インター周辺にあり

標高1,000m以上の高原道路となりますので、冬季は冬用タイヤ・チェーンを携行すると安心です。

また、富士見高原リゾート様により、駐車場B-1区域を開放していただいております(登山者利用可)。

駐車場からは南アルプスを望むことができる。

公共交通でのアクセス

最寄りの特急停車駅(JR中央線「小淵沢駅」「富士見駅」)からはタクシー利用となります。

北杜タクシー(株)・小渕沢タクシー(株) ”タクシーで巡る高原の旅” (comlink.ne.jp)

(積雪期)編笠山登山の概要

八ヶ岳連峰最高峰の赤岳(2,899m)を皮切りに、険しい岩稜帯に代表される南八ヶ岳ですが、編笠山周辺は「北八ヶ岳」同様、亜高山の樹林帯歩きが行程の大半を占め、森林限界上の区間は標高2,400mから頂上までの約100mほどとなっています。

西岳山頂から望む冬の編笠山(右)とギボシ(左)、中央鞍部の青年小屋は冬季閉鎖。

しかし、登山口との標高差は約1,200m、無雪期コースタイムでも約7時間の比較的長丁場となるため相応の体力が必要になります。

また、冬季はその日の天候や積雪深により難易度が変わるため、無雪期の一般的な登山に加えて、より取り掛かりやすい雪山での経験があると安心です。

山名登山口無雪期コースタイム(往復)累積標高差距離(往復)
◎編笠山(2,524m)富士見高原約7時間約1,200m約9㎞
西 岳(2,398m)富士見高原約6時間約1,100m約8㎞
蓼科山(2,531m)女神茶屋約5時間約800m約6㎞
北横岳(2,480m)ロープウェイ山頂駅約2時間約300m約4㎞
出典:信州山のグレーディング、ヤマケイオンライン

コース紹介

ここでは、取材日の気象条件に簡単触れたのち、編笠山までの道のりを3つの区間に分けてご紹介していきたいと思います。

  • やわらかい日差しのカラマツ林を進む、比較的の傾斜が緩い「登山口~標高1,900m付近」
  • 傾斜が一気に厳しくなる中盤、森林限界までの「標高1,900m~2,400m付近」
  • 南アルプスや八ヶ岳核心部をはじめとしたパノラマが広がる「森林限界以上」

取材日の気象・登山道状況

出典:気象庁(一部加筆)

最寄りの気象庁アメダス「原村」によると、取材日1週間前から降水(降雪)の記録は確認されず、4日前より移動性の高気圧に覆われ比較的安定した気象条件となりました。

当日は甲府で最高気温23℃が観測されるなど、春の陽気が感じられる一日となっています。この日の登山道にはトレースがついており、非常に登りやすい条件となりました。

登山口~臼久保石小屋~標高1,900m付近

なだらかな山麓より冠雪した編笠山を望む

駐車場を出発し、看板に従いながら5分ほど舗装路を歩くと登山口に到着します。

登山届ポストも設置されており、事前の提出を忘れた場合にも対応が可能です。長野県内の指定登山道を歩く際には、登山安全条例により登山届の提出が必要となっています。

カラマツ林の春はまだ遠い。

歩き始めてしばらくは、見通しの良いカラマツ林の中を進みます。

清冽な空気の中、しっとりと積もった雪がまだ眠る山麓高原の冬景色にアクセントを添えます。下山時の午後になると、やわらかい日差しが一杯に差し込み、3月にも関わらず野鳥のさえずりも聞こえていました。

標高1,900m付近~森林限界

標高1,900m付近より登山道は一気に傾斜を増すことになり、山頂までのきついアルバイトを強いられます。

山頂まではまだ2時間半以上を要しますので、ペース配分に気を配りながら黙々と、つづら折りとなる圧雪路が続きますがアイゼンを効かせながら登っていきます。

一呼吸を置くため頭をあげてみると、先ほどのカラマツが中心の落葉林から、ツガ・トウヒ林になりましょうか、亜高山帯特有の常緑針葉樹が広がるようになってきます。

この辺り一帯は風景・地形変化に比較的乏しいため、トレースが不明瞭な場合はルートファインディングが必要となり、特に下山時のルートロスには気を付けたいところです。

標高2,200mを過ぎると木々の高さも徐々に低くなり、庭のようにコンパクトなシラビソ林のトレースを進んでいくことになります。

頭上の展望も開け始め、木々の合間から見える「青空」と雪の「白」、それにシラビソ林の「緑」のコントラストが美しく映えています。

森林限界~山頂

シラビソの背丈が身長大ほどになると、まもなく露岩帯の広がる森林限界となり一気に展望が開けます。

また背後を振り返ると、冠雪した北岳、甲斐駒ヶ岳や鳳凰山など南ア北部の山々が屹立し、背後には中央アルプスの連山も望遠することができます。

ここは50㎝大の黒色状の岩が多く露出する区間となり、夏道をベースに岩の間に積もった圧雪路を登っていくことになります。

既に遮る樹木もないため、全身を冷たい風が突き刺します。特に冷え込む場合は、顔面や手足の末端を正しく保護し凍傷を防ぐ必要があります。

山頂からの展望は随一で、北側には赤岳、阿弥陀岳、権現岳といった八ヶ岳核心部の険しい山々のパノラマが、反対南側の眼下には釜無川が浸食した長大な谷が広がっています。

なお、山頂は平坦で広々としていますが、西(諏訪)側からの風が常に吹いているため、多くの登山者が山頂東側の木陰で休憩をとっておりました。

下山と下山後

取材日は晴天の好条件で、風によるトレース消失もありませんでしたが、ガスや強風時は進行方向に注意を要します。露岩帯の岩には「矢印」がペイントされているため、下山方向の参考にすることもできます。

入浴

冬はスキー場を兼ね備えた富士見高原リゾート「八峯苑 鹿の湯」が日帰り入浴可能です。

天然空感 – 富士見高原リゾート | オールシーズン楽しめる 八ヶ岳の天空リゾート (fujimikogen-resort.jp)

立寄り

道の駅「こぶちさわ」:地元産の新鮮な農産物の直売所やレストラン、パンに手作りジャム、敷地内には温泉や体験工房、観光案内所などを併設(公式webサイトより)

おわりに

Pixta

以上、八ヶ岳・編笠山への登山コースを紹介させて頂きました。山麓市街地ではポカポカと春の陽気がみられるようになってくる一方で、山岳地帯は依然として厳冬期に準ずる寒さ、それから変化しやすい気象・積雪状態がみられる時季となります。万全な装備と計画のうえ、美しい雪上の登山を楽しまれてはいかがでしょうか。