市街地でも段々と秋の気配が感じられるようになりましたが、標高の高い山では紅葉最盛期の便りも聞こえてくる頃となりました。
ここでは、この時期だからこそ歩いてみたい、北八ヶ岳北部の三つの池(亀甲池、双子池、雨池)をめぐるトレッキングコースをご紹介したいと思います。
山域最高峰・赤岳を擁する南八ヶ岳以上に樹林帯の多い北八ヶ岳には、秋にしか見られない光景も広がっていることでしょう。
コース概要
北八ヶ岳ロープウェイを利用したコースとなります。
山頂駅より、北八ヶ岳屈指の名峰「北横岳」を経由、標高を大きく落としながら三つの池をめぐる全長約11㎞(累積標高差約800m)のコースです。
1日のコースタイムも休憩を除いて約6時間半となりますので、日の短い秋には「早出早着」の基本に忠実であると安心でしょう。
アクセス・北八ヶ岳ロープウェイ
- マイカー
中央自動車道、諏訪ICよりビーナスライン経由、約25㎞
- 電車・バス
JR中央線、茅野駅より約1時間
- 公式サイト
コース紹介
今回は、ロープウェイの利用が可能で、老若男女問わず多くのハイカーに人気の「北横岳(2,480m)」からのスタートとなります。
北横岳からロープウェイ方面に引き返すハイカーが多い中、まずは指導標に従って反対方向の登山道を亀甲池(きっこういけ)方面に下っていきます。
北横岳までの賑わう登山道とは一変し、ほとんどハイカーの姿が見られない静かなコースとなります。
ソロハイクではついつい敬遠がちなマイナーコースですが、グループならばトライしてみたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
北横岳から亀甲池までは、標高差約400m(約1時間~1時間半)の下りとなります。
傾斜は比較的急で、所々荒れている箇所もあるため、経験の浅い方の場合は登山ツール(ストックや正しいシューズ)に頼ることも大切でしょう。ここは、心に余裕を持ちながらゆっくりと下ります。
岩の大きい場所も見られるため、手を使いながら三点支持の要領で下っていきます。
傾斜が緩くなってくると、木々の合間から亀甲池の姿が見えてきます。
開かれた気持ちの良い湖畔は休憩適地となっており、紅葉も徐々に始まっているのが分かります。
亀甲池の次は、双子池(ふたごいけ)を目指して出発です。
二つの池の間は小さな峠で区切られており、両方の池の行き来には50mほど登り返す必要があります。
峠付近には、沈没船を思わせる大きな朽ち木がありました。
亀甲池から30分ほどで、グリーンに輝く双子池(雌池)に到着です。
湖畔は幕営指定地となっており、テント泊の場合はゆったりとした八ヶ岳の夜を過ごすことができるでしょう。
双子池ヒュッテは、トイレ・売店を併設したエリアのオアシスとなっています。
ヒュッテの横には、双子池のもう一つの池(雄池)が林間に水をたたえています。
この双子池周辺からは、大河原峠方面と雨池方面へのルートが分かれています。
道標に従って、ロープウェイ(雨池から北八ヶ岳ロープウェイに抜けることが可能)・雨池方面へのトレイルを進んでいきます。
双子池から林道を30分ほど下ると、うっそうとした沢沿いから雨池方面の登山道入口が現れます。
入口周辺の登山道は若干荒れていますが、尾根筋に乗るとほどなくして安定した道となります。
「初心者向き」といわれることの多い北八ヶ岳ですが、ハイカーの少ない静かなトレイルは少し不安になります。
所々、丈の高いササが登山道を覆っており、不明瞭なトレースを外れないよう足元に注意しながら進みます。
1時間ほど緩やかな登り坂を進むと、前方に雨池の姿が浮かび上がってきます。
幻想的な雨池は、至近の距離にある北横岳の賑わいを忘れさせてくれます。
雨池からの帰路ですが、雨池峠経由で1時間強の場所にあるロープウェイ駅、もしくは1時間半ほどの距離にある麦草峠への下山が可能です。
雨池から上記の下山口までは、「登る」必要があるため、コース後半への体力・時間配分が大切になってくることでしょう。
おわりに
以上、北八ヶ岳北部の三つの山上池をめぐるトレッキングコースの紹介でした。
標高の高いエリアでは、秋から冬への準備も始まっています。皆様も、万全な防寒対策や時間管理の上で山を歩かれてみてはいかがでしょうか。