チェーンスパイク・軽アイゼンの違い・選び方・つけ方を徹底解説

登山用品・登山装備

目次

軽アイゼンっていつ使う?

筆者撮影

軽アイゼンは雪が降っているところや凍結している冬の山だけでなく、夏の雪渓でも使います。

靴の裏に爪を付けることによって、滑りやすい場所でも安全に歩けるんです。

とは言え軽アイゼンと一口に言ってもチェーンスパイクもあれば、爪の本数も様々です。

それぞれの軽アイゼンの違いと使用用途、付け方を徹底解説していきます。

軽アイゼンの違いは?

チェーンスパイク

筆者撮影

チェーンスパイクは軽アイゼンの中で、もっとも初心者向けのタイプです。

靴下のように靴の上から履くことで、グリップ力を得られます。

爪が靴の裏全体に付くので、「フラットフッティング(べた足)で歩くのが苦手」という方でも使いやすいです。

ただし爪の長さが軽アイゼンに比べると短いため、グリップ力は低いです。

またゴムを使用しているため、テープタイプの軽アイゼンよりも劣化は早いです。

積雪量が多いところではなく、路面にうっすら積もっていたり、凍結しているところで使用しましょう。

おすすめの使用用途

  • 標高1,000m以下の冬の低山
  • 夏の高山登山で雪渓があったとき

4本爪

筆者撮影

4本爪の軽アイゼンは今回紹介する4種類の中で、もっとも軽量・コンパクト性に優れます。

靴のかかとの前にある段差に付けて使用するため、靴によっては合わないものもあります。

チェーンスパイクより爪が長いので、グリップ力は高いです。

ですが爪の範囲が狭いため、地面に対してしっかり垂直に刺さっていないとグリップ力が発揮されません。

かかとやつま先から足を接着してしまうと、滑ってしまいます。

フラットフッティングが苦手な方には使いにくい軽アイゼンです。

おすすめの使用用途

  • 標高1,000m以下の冬の低山
  • 夏の高山登山で雪渓があったとき

6本爪

筆者撮影

6本爪は爪の範囲も広く、長さもあるのでグリップ力に優れます。

フラットフッティングが苦手な方は4本爪より使いやすいです。

ただし靴のつま先部分には爪がないため、足を前に出すときにつま先で蹴り出さないようにしましょう。

10本爪や12本爪のアイゼンに比べると軽量で、グリップ力もそれなりにあるのでバランスの良い軽アイゼンです。

チェーンスパイクや4本爪の軽アイゼンに比べると、付け方が少し複雑になります。

ですが慣れてしまえば汎用性が高いので、幅広いシーンで使えます。

おすすめの使用用途

  • 標高1,500m前後の傾斜が急でない冬の低山
  • 夏の高山の雪渓歩き(白馬大雪渓など)

10本爪

出典:モンベル(モンベル | オンラインショップ | スノースパイク 10 (montbell.jp))

10本爪は軽アイゼンの中で、もっともグリップ力が高いモデルです。

足の裏全体に長い爪が付くので、フラットフッティングが苦手な方でも安心して使えます。

ただし付け方が少し複雑になりますし、重量も増して収納サイズも大きくなります。

軽アイゼンの中で一番グリップ力が高い物を使いたい方には良いですが、12本爪のアイゼンを持っている、または買う予定という方は6本爪以下のモデルがおすすめです。

ちなみにつま先の前に付いている爪は、12本アイゼンの前爪に比べると小さくなっています。

急な傾斜に立ちこむためではなく、あくまでも蹴り出しがしやすいようにするための前爪です。

「10本爪の軽アイゼンには前爪が付いているから、冬のアルプスも行ける」と思わないように注意してください。

おすすめの使用用途

  • 標高1,500m以下の冬の低山
  • 夏の高山の雪渓歩き(白馬大雪渓など)

軽アイゼンの選び方

自分の使用用途をチェック

筆者撮影

軽アイゼンを選ぶときは、まず自分が行きたい山を考えましょう。

例えば「夏の高山しか行かない。冬山は行かない」という方が、10本爪の軽アイゼンを買ってしまうとオーバースペックです。

何より荷物も重たく、かさばってしまいます。

逆に「冬山も低山でしっかり楽しみたい」という方が4本爪やチェーンスパイクを買ってしまうと、さらにグリップ力の高いアイゼンを買い足す必要があるんです。

このようなことがないように自分の使用用途や行きたい山を考えて、軽アイゼンを選びましょう。

用途別におすすめの軽アイゼンをまとめました。

チェーンスパイク・夏のアルプス登山(思いがけな  い雪渓に備えて)
・高尾山や六甲山などの雪が少ない低山
・フラットフッティングが苦手な方
4本爪・夏のアルプス登山(思いがけない雪渓に備えて)
・高尾山や六甲山などの雪が少ない低山
・軽量・コンパクトなものがほしい方
6本爪・夏のアルプス登山(白馬大雪渓などあらかじめ雪渓があると分かっている場合)
・丹沢山や高見山など、やや傾斜があり積雪量も多い低山
10本爪・夏のアルプス登山(白馬大雪渓などあらかじめ雪渓があると分かっている場合)
・グリップ力重視の方
・フラットフッティングが苦手な方

自分の持っている靴に合うかをチェック

軽アイゼンを買う時は自分の登山靴に合うかどうかもチェックすべきポイントです。

6本爪のテープバンドで固定するタイプは特に問題ないです。

ですがチェーンスパイク、4本爪、10本爪はそれぞれ注意すべきポイントがあります。

チェーンスパイク

出典:モンベル(モンベル | オンラインショップ | チェーンスパイク (montbell.jp))

靴のサイズによってチェーンスパイクのサイズが区切られています。

例えばモンベルのチェーンスパイクであればSサイズが20.5cm~23.5cmで、Mサイズは23.0~26.0cmに対応しています。

靴のサイズが23.0cmの方がSサイズを買ってしまうと非常に付けずらいです。

チェーンスパイクはゴムの部分を引っ張って着用します。

強度を持たせるために硬めのゴムが使用されているため、対応サイズギリギリのものを買ってしまうと、付けるときにかなりの力が必要です。

チェーンスパイクを選ぶとき、自分の靴のサイズが2サイズにまたがっている場合は大きいサイズを選ぶようにしましょう。

4本爪

筆者撮影

4本爪の軽アイゼンはかかと前の窪み部分に付けるタイプです。

登山靴によってはその窪みがないことがあり、付けられないものもあります。

4本爪の購入を検討する場合は、自分の靴に窪みがあるのかどうか確認しましょう。

10本爪

10本爪の軽アイゼンはサイズ選びが重要です。

分かりにくいのが、靴のサイズ=適応サイズではないということです。

10本爪の軽アイゼンで有名なモンベルの適応サイズ表を見てみましょう。

出典:モンベル(モンベル | オンラインショップ | スノースパイク 10 (montbell.jp))

上のサイズ表のAの長さが対応しているサイズになるんです。

「自分で選べるか不安」という方は、実際に装着したい靴をお店に持って行ってフィッティングしてもらいましょう。

軽アイゼンの付け方

チェーンスパイク

筆者撮影

つま先にチェーンスパイクのゴムの部分をかぶせます。

この時爪がきちんと地面側を向いているか確認しましょう。

そのままかかとまでゴムを引っ張り、かかとにもかぶせれば装着完了です。

最後にチェーン部分に緩みがないかどうか確認しましょう。

もし緩みがある場合は、後ろのゴムを上に引っ張り上げると改善されます。

4本爪

筆者撮影

4本爪のアイゼンは登山靴の土踏まず部分に装着します。

装着する位置をきちんと確認して、ずれないように靴の甲側でバンドを留めれば装着完了です。

6本爪

筆者撮影

6本爪の軽アイゼンは左右があるので、間違えないように付けましょう。

クリップが足の外側にくるようにするのが正しい向きです。

まずかかとの位置を後ろのテープにしっかり合わせます。

そこからテープで留めていきます。

まず斜め下、続いて横、最後に斜め上に引っ張り上げてクリップを開き、下から上に通せば完了です。

爪部分がしっかり靴に付いているか確認しましょう。

緩みがあると靴と爪が付いているプレートの間にすき間ができてしまいます。

テープが長すぎる分には、手袋を付けたまま脱着ができるだけの長さを残してカットしましょう。

10本爪

筆者撮影(※装着しているのは12本爪のアイゼン)

10本爪も左右を間違えないように注意が必要です。

クリップが付いている方が足の外側です。

まずつま先から入れて、かかとを合わせます。

つま先部分にテープを通すのですが、上から下に通しましょう。

上から通すことによって、テープが緩みにくくなるんです。

そのあとの付け方は6本爪と同じです。

最後に緩みがないかどうか確認しましょう。

6本爪にも10本爪にも言えることですが、テープは緩すぎてもきつすぎてもいけません。

緩すぎると爪が効きませんし、きつすぎると足の血流が悪くなり、うっ血してしまいます。

一度アイゼンを装着して痛みを感じた場合はきついということなので、テープを少し緩めましょう。

軽アイゼンのお手入れ方法

まず使った後はすぐに乾かすことが重要です。

軽アイゼンの爪は金属でできているため、水分が残ったままだと錆びてしまいます。

錆が付いたまま使ってしまうと、爪に雪が付いて雪団子になってしまい、グリップ力がなくなってしまうんです。

そして爪の先が丸くなってきたと思ったらヤスリで研ぎましょう。

筆者撮影

爪の先に向かって平行にヤスリを当てて研ぎます。

あまりに鋭角に研いでしまうと、再度爪が丸くなった時に研ぐ部分がなくなってしまい、軽アイゼンの寿命が短くなるんです。

もし爪がさびてしまった場合は、紙やすりでこすってあげるときれいになります。

筆者撮影

シーズン終わりには錆止めを塗ってから保管すると、錆を防いで長く使えますよ。

軽アイゼンで安全な冬山登山を楽しもう!

筆者撮影

軽アイゼンの選び方や使用用途、着用方法を説明しました。

軽アイゼンは安全に冬の山を楽しむための必須装備です。

「冬山デビューしたいけれど、どれを選んでいいか分からない」という方は、自分の行きたい山や使用シーンに合わせて選んでみてください。

軽アイゼンを使って安心・快適に冬の山を楽しみましょう。