ここでは、冷え込む冬場だからこそ登っておきたい、ポカポカ南斜面の丹沢の低山3つをご紹介いたします。
広い山頂でのんびり食事を楽しむことができるコースから、クサリ場が連続する少しスリリングなコースまで、初めてのグループ登山でも無理なく登ることができる標高1,000m未満の山を編集部で取材しました。
西丹沢・大野山(おおのやま)723m
山頂付近が牧場となっており、広大な草地が広がる展望景観が見どころのコースとなります。
特に山頂からの風景は秀逸で、富士裾野を従えた雄大な富士の姿を見渡すことができ、眼下には丹沢湖も望むことができます。
コース概要
山頂に至るまでのコースには、「登山道」を経由する一般的なハイキングコースから、「山間集落を結ぶ林道経由コース」まで揃っており、万一の際には状況に応じて舗装路(や車両)でも下山することができます。
初めてグループ登山を募集する時など、お互いを知るための山行にはおすすめのエリアです。
JR山北駅からは10分ほど線路沿いの街並みの中を歩きます。
一旦国道に出るとすぐに発電水路のトンネルをくぐり、指導標に従い舗装路を山のほうへ進んでいくことになります。昔ながらの山間部の集落を進んでいくと、約60分ほどで登山道「地蔵岩コース」の入り口です。
登山道はよく整備されており、山頂直下までは樹林帯の尾根筋を進んでいきます。
1時間半ほど登山道を歩くと稜線付近で牧草地となり、展望が一気に広がります。
心臓破りの階段を登り切り、車道を15分ほど歩くとまもなく山頂です。山頂は広いため、野外での食事をしながらグループ内コミュニケーションもよく図れるのではないでしょうか。
わかりやすい下山路は大きく4つとなります。
- 元の地蔵岩コースを「山北」駅方面にピストン②
- JR御殿場線「谷峨(やが)」駅方面に好展望の登山道を下る
- 今回取材時に歩いた「谷峨方面」の登山道を途中で折れ、大野山中腹の車道で「山北駅」方面に戻るか
- 山頂から自家用車用の車道を下るかの選択となります。
下山後には、山北駅前に公営の入浴施設(山北町さくらの湯)も隣接しておりますので、汗を流してから帰宅をすることもできます。
西丹沢・高松山(たかまつやま)801m
山頂からの眺望に優れた、大野山に隣接する南斜面のハイキングコースとなります。
高松山も山頂付近は草地となっており、腰を下ろしてゆったりとした時間を過ごすことができます。山頂までは登山道のみが繋がっておりますので、前述の大野山よりも山登りの趣向が出てきます。
コース概要
スタートは山間に位置する東山北の集落となります。
まずは柑橘類が栽培されている農道を歩きながら高度を上げていきます。取材日は太陽の日差しも柔らかい暖かさで、真冬にも関わらず上着を脱いでしまうほどの陽気でした。
登山道に入ると、最初は建設中の高速道路脇の仮設路を進んでいきますが、かなり傾斜がきついために登山道以上に息が切れてきます。仮設路が終わると従来の登山道と合流し、山頂までのハイキングが開始となります。
山頂直下の一部で、倒木等により一部トレースが不明瞭な箇所や荒れている箇所がありましたので、道を見失わないよう注意が必要です。
山頂は富士山から海までが見渡せる好展望の草地となっており、レジャーシートを出しながらゆっくりと時間を過ごしてみるのも気持ちが良さそうです。この日は、山頂で読書やトランプを楽しんでいるグループも見かけました。
下山は、指導標「第六天(だいろくてん)」方面に向かっていくことになります。車道に出るまでの約30分は気持ちの良い尾根コースとなり、冬場は落葉した木々の合間から丹沢中心部の山並みを望むこともできます。
東丹沢・大山三峰山(おおやまみつみねさん)、935m
三角形のシルエットが特徴で、古くから信仰の対象ともなっている大山(おおやま)の隣に位置する山岳となります。
コースの見どころは山頂付近に連続するクサリ場や痩せ尾根のアップダウンとなっており、丹沢では珍しいモミやツガの群生をコース上で観察できるのもポイントです。
コース概要
ここでは、核心部となる大山三峰山頂周辺にスポットをあててご紹介いたします。
山頂付近には山名のとおり大きく3つのピークが連なっており、大山方面からの尾根線に合流すると早速ザレ気味のクサリ場が始まります。核心部が始まる前にベンチが設置されておりますので、グループ登山の場合は皆で一呼吸おいてから取り掛かると余裕を持てることでしょう。
登山道は非常に良く整備されており、樹林帯を進むため高度感こそ少しは紛れますが、それでも両側が切れ落ちている痩せた箇所、あるいは三点支持を要する箇所が連続するために緊張が続きます。無理して前について行こうとの焦りは禁物なため、リーダーは最も経験の浅い方のリズムに合わせるなど、この区間はお互い声を掛け合いながら進むことが大切です。
山頂を過ぎても引続き核心部が続きますので、ゆったりと食事をとりたい場合は最後のピークを過ぎ、クサリ連続箇所やザレ気味の下り坂を終えた場所にあるベンチでの休憩が良いかもしれません。
最後は、稜線から清川村の煤ケ谷(すすがや)集落に至る下山路を1時間ほど下り、民家が見え始めると下山口に到着となります。
下山後は、特産品を販売する道の駅(神奈川県「道の駅 清川」 (michinoeki-kiyokawa.jp))や山系水源のダム(ぐるり宮ヶ瀬湖 (miyagase.or.jp))などのスポットもありますので、時間がある際には立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
おわりに
このグラフは、ある登山系のSNSサイトで登山者が公開した山行記録を集計し、8月末に槍ヶ岳登山を行った方が1月から登ってきた山を標高別に区分したものです。
特に冬場は、今回ご紹介をした1,000m未満の登山をされる方の割合も多いようですので、夏に憧れの山域を目指そうとしている方も、是非無雪の低山から始めてみてはいかがでしょうか。