【四国】アケボノツツジが眠る三百名山「篠山」ハイキング

四国

四国には日本三百名山が9座ありますが、その中でも一番南にあるのが愛媛県と高知県の県境にある標高1065mの篠山です。

山頂には篠山神社があって古くから山岳信仰の山として知られてきましたが、4月から5月にかけて頂上周辺にアケボノツツジやシャクナゲの花が咲き誇ります。


アケボノツツジは淡いピンク色の花びらが特徴で、紀伊半島と四国に分布しています。
桜に似ていますが、全体的に丸みがあって柔らかい印象の花です。
篠山は最短ルートだと50分程度で頂上まで行く事ができるので、普段山に登らない初心者や高齢の方でも自分のペースで進むことができます。

5月のゴールデンウィーク、どこに行こうか迷っている方はお花見ハイキングなんていかがでしょうか?

目次

アクセス

第一駐車場ルート

  • コースタイム(往復) 90分
  • 体力レベル ★☆☆☆
  • 技術レベル ★☆☆☆

篠山第一駐車場までのアクセス方法

  • バス等の公共交通機関はなし
  • マイカー(愛媛県から):国道56号から県道4号(宇和島市津島町宿毛津島線)に入り、祓川温泉方面へ。篠山トンネルを過ぎた後左折。宇和島市街から40km1時間。
  • マイカー(高知県から):国道56号から県道332号(篠山公園線)へ。篠山トンネル手前で右折。宿毛市街から27km40分。

登りはじめてから50分程度で頂上まで行ける篠山ですが、県境に位置していることもあり四国の市街地からは少し時間がかかります。

主な登山ルートは3つあって、県境から登るルートと愛媛県側から登る2つのルートです。
今回ご紹介するルートはかつて篠山荘があった第一駐車場から出発するルートで、トイレも完備されています。

普段はほとんど登山する人を見かけないひっそりとした篠山ですが、アケボノツツジが開花する時期になると多くの人で混雑します。
特に篠山トンネルから駐車場へ向かう道が一部狭くなっている箇所があるので、運転に十分注意しましょう。

篠山トンネルから第一駐車場へ

篠山は足摺宇和海国立公園内にあるので周辺では公園も整備されています。篠山トンネル
から篠山に向かう交差点には森林公園があります。

秋になると園内の紅葉と滝のコントラストが魅力的になる場所です。
ここから第一駐車場まで4.3km。大きな標識がある道をまっすぐ進むと広い駐車場に到着です。

トイレもありますので登山の前準備をここで行いましょう。
奥にはコンクリート造りの立派な篠山荘(昭和46年建設)がありますが、今は営業していません。

登山口から観世音寺跡へ

篠山案内図のうしろにある道を登っていきます。
ここから頂上までは1km、健脚な方なら1時間かからないと思います。

なだらかな登り道をゆっくり進んでいきましょう。
道の途中には標識が設置されていますので安心ですね。

ただ山の中腹まで登ってみた印象としては結構枯れている木々が多かったのです。


山岳信仰の地として多くの人が山を目指した時代は過ぎ去り、今は春の開花シーズン以外は静寂に包まれている篠山。
間伐など山を手入れする人も減っているせいか、山全体としての元気が見られない事が気がかりでした。

登山口から歩くこと30分、少し広い場所に着きました。

ここにはかつて四国霊場八十八ヶ所の番外札所として開山された「観世音(かんぜおん)寺」がありました。
明治元年に政府の神仏分離により廃寺となり、今ではその建物は残されていません。
番外札所は現在四国内に四国別格二十霊場として多くのお遍路さんが参拝していますが、もし観世音寺も霊場として残されていれば篠山も年間を通して多くの登山客や参拝客で賑わっていたかもしれません。

観世音寺跡から頂上へ


ここから頂上までは20~30分程度ですが、頂上の周囲2kmには鹿よけの防護ネットが設置されています。
四国の山では近年鹿の食害による草木の被害が深刻になっていて、特に徳島県では山の景色が一変。
隣接する愛媛県や高知県も例外ではなく、この篠山でもミヤコザサが被害にあっているようです。
扉が開放状態にならないようフックを確実に掛けて中に入りましょう。

少し急な上り坂になりますが、前方に空が少しずつ見えてきます。


登った時期が2月という事もあり、登山道には雪が残っていました。
四国の南は暖かいというイメージがありますが、標高1000mぐらいでも雪が積もることもあります。

山頂の手前には入らずの森と呼ばれる尾根上になった道が続いていますが、こちらも鹿の食害防止の為にネットが設置されていて立ち入り禁止になっています。


本来ならみやこざさが広がっている景観豊かな場所ですが、篠山は昔から猪や猿、鹿など野生動物の多い地域でした。
人間の手が入らない影響が山の自然を変えてしまうという現実があったのです。

石段の先に鎮座するのが篠山神社(昭和62年改築)です。

そして神社左横の小道を進むと標高1065mの篠山頂上に到着です。


天気が良ければ宇和海や九州まで見通すことができる絶景が広がっています。
アケボノツツジが咲く春にぜひ登ってみたいですね。

頂上には明治16年に建立された大きな石柱があります。
篠山は信仰の山として長い歴史がありますが、その文化遺産や森林資源を巡って高知県の土佐藩と愛媛県の宇和島藩両藩が自分達の領土だと主張していたようです。

現代の国境紛争とも言える争いで、その面影が頂上の石柱なのです。

石柱には「南 伊予国 境」「北 土佐国 境」と記されていて、すぐ近くには矢筈の池という水たまりがあり、昔はその池の中央に立石があってそこを国境と決めていたようです。

今回登山した時は冬ということもあり、矢筈の池は凍っていました。

頂上周辺のアケボノツツジはまだ冬眠中でしたが、小さなつぼみらしきものも見ることができましたので、寒い冬でもじっと春が来るのを待っている姿が印象的でした。

まとめ


この篠山が一番賑わうのが4月から5月にかけての開花シーズンです。

登山道は綺麗に整備されていて案内標識もあり安心して登ることができますが、マイカーで行くしかないという理由もあって、篠山トンネルから駐車場までの山道が渋滞する可能性があります。
一部道が狭くなっている箇所もあるので運転には注意して下さいね。
頂上では春の花とどこまでも広がる山並みと青い海があなたを出迎えてくれるでしょう。