愛媛県松山市の南方向に、お皿を逆さにしたような山頂の山があります。
それが標高1278mの「皿ヶ嶺」です。
皿ヶ嶺一帯は県立自然公園として整備されていて、複数の登山道、スややブナの巨木や四季折々の草花、冷たい冷気が岩場から出ている風穴など多くの見どころがあり1年を通して多くの人で賑わっています。
駐車場やトイレがある風穴登山口から最短ルートで90分程で頂上に行くことができる気軽さもあって、初心者の方も安心して登ることができる山です。
季節の草花が出迎えてくれる皿ヶ嶺へ出かけてみましょう。
1.登山口へのアクセスと難易度
登山口までマイカー使用
松山自動車道「川内IC」→国道11号→県道209号→林道を経由して風穴駐車場
川内ICから約14km、30分
登山コース
風穴登山口→愛大小屋→皿ヶ嶺山頂
コースタイム(往復) | 体力レベル | 技術レベル |
3時間20分 | ★☆☆☆ | ★☆☆☆ |
皿ヶ嶺への登山口は複数ありますが、公共交通機関でのアクセスは困難なのでマイカーで向かいます。
県道209号線から5km程林道を走行しますが、車1台がやっと通行できる程狭い個所があり見通しも悪いので運転には十分注意が必要です。
今回ご案内する風穴登山口近くには数十台駐車できる駐車場とトイレがあります。
風穴登山口から皿ヶ嶺山頂までもコースが複数ありますが、最短で1時間30分、ギンバイソウなど季節の草花を鑑賞できるコースで2時間20分程です。
登山道はかなり整備されていて分岐点に案内看板も設置されていますので、子供から高齢の方まで多くの方が登ることができます。
例え頂上まで登らなくても季節の草花を鑑賞するだけで十分楽しめる山となっています。
2.夏のクールスポット!ヒマラヤケシが神秘的な風穴へ
ではさっそく駐車場から登山口へ向かいましょう。
駐車場の先に風穴への案内看板があるので、ここの階段を登っていきます。
階段の先にはアジサイが綺麗に咲いていました。
通常6月が見頃のアジサイですが、こちらでは7月下旬でもほとんど散らずに咲き誇っていましたよ。
8月上旬ぐらいまで楽しめそうです。
そして更に階段を登った先に登山口があるのですが、その前に風穴へ立ち寄ってみましょう。
登ってきた階段を更にまっすぐ進んだ先に、フェンスで囲まれた穴が風穴です。
地下の空間に雨水等が浸透して、冬の冷たい冷気がそこに流れ込むことで、地下氷が成長します。
この地下氷が冷風の元になっているようで、夏でも冷たい風が吹き出してくるのです。
まさに天然のクーラーで、その冷気を利用して高山帯に分布している植物「ヒマラヤの青いケシ」を栽培しています。
開花時期は6月中旬から7月下旬の約1カ月間。
7月下旬でもこのような青い花を見ることができました。
フェンスがあるので近くで見る事はできませんが、カメラがある方はぜひ望遠レンズで撮影してみてください。
ちなみにケシの種類によっては栽培や譲渡が法律で禁止されていますが、こちらで栽培されている「メコノプシス」「ベトニキフォリア」に関しては禁止されていません。
3.風穴登山口からかつての湿原が広がる竜神平へ
青いケシを楽しんだ後は、いよいよ登山口から皿が嶺山頂へ向かいましょう。
ブナの巨木をはじめとする木々に囲まれた登山道はなだらかな勾配で道も広く、とても歩きやすい道です。
つづら折りの道を登って最初の分岐は左方向、竜神平方面に進みます。
この登山道周囲に広がっているのがギンバイソウの大群生です。
白い5弁の花を梅に見立てて銀梅草と呼ばれているこの花は、7月から8月にかけて本州の関東から西、四国と九州の山地で見ることができます。
この皿ヶ嶺では風穴登山口から竜神平と呼ばれる地点までの約1時間、ギンバイソウ群生が続きます。
そしてギンバイソウ以外にも色鮮やかな草花を楽しむことができます。
こちらは大根草、黄色い小さい花が特徴です。
薄紅色のクサアジサイ、高さは50㎝ぐらいまでしか伸びないので登山道をゆっくり歩いて見つけてみましょう。
キク科のオオバヨメナ、白くて長い花びらが特徴です。
何かを包みこんでしまいそうなウバユリ、ユリに似た花ですが葉の違いから区別できます。このように夏には皿ヶ嶺登山道の至る所でお花鑑賞を楽しむことができますよ。
そしてしばらく歩くと樹林帯から笹原の道へと変わり、分岐地点を右に曲がると一気に視界が広がります。
そのすぐ先には愛媛大学山岳会の竜神小屋がありますが、この目の前に広がる草原が竜神平です。
本来ここはブナ林に囲まれた盆地状の広大な湿原でしたが、徐々に乾燥化が進んで今ではその面影を見る事はできません。
ただ今でも湿地自体は残っているのでむやみに中に入らないようにしましょう。
この竜神平を30分で周回できるルートもありますので、時間のある方は空が広がるかつての湿原を歩いてみてはいかがでしょうか。
4.竜神平から皿ヶ嶺山頂へ
竜神平で一息ついたら山頂へ向かいましょう。
引き続きなだらかで笹原が広がる樹林帯を進んでいきます。
そして徐々に勾配が急になり樹木の根が露出している箇所が多くなってきます。
ロープも設置されていますので、慎重に足を進めましょう。
そして竜神平から歩く事約40分で、標高1278mの皿が嶺に到着です。
頂上は少し広くなっていてベンチもありますが、周囲は樹木があって視界はあまり良くありません。
街並みを望むことはできませんが、遠くには石鎚連峰が見えます。
5.十字峠を経由して風穴登山口へ戻る
このまま歩いてきたルートを引き返してもいいのですが、今回は風穴登山口から最短ルートである十字峠を経由して戻る事にしましょう。
頂上に引地山への案内看板があるので、写真左側の道を進みましょう。
しばらく笹原の道を下っていくと、急に前方の視界が開けてきます。
左前方に松山市街や瀬戸内海が一望できるビュースポットです。
涼しい風が注ぎ込む気持ち良い道と海の景色を楽しみながら下山しましょう。
そして4つ又に道が分かれる十字峠に着きますので、ここをまっすぐ進みます。
次に引地山と風穴との分岐点を、風穴方面にまっすぐ進みます。
ギンバイソウが咲く登山道を進むと登ってきた道の最初の分岐に戻ってきますので、ここをまっすぐ進むと風穴登山口に到着です。
6.まとめ
今回ご紹介した皿ヶ嶺は愛媛県松山市から近く、日帰り登山が楽しめるので休日には多くの方で賑わいます。
そして標高が1000mを超えているので夏でも大変涼しく、快適な山歩きが楽しめます。
登山道は綺麗に整備されていて休憩用のベンチも用意されています。
山頂を目指す人、風穴でヒマラヤの青いケシを眺める人、竜神平までの草花を楽しむ人、さまざまな思いの人が集まる愛媛県皿ヶ嶺でした。